九州歯科学会雑誌
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62 巻, 6 号
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原著
  • 上運天 修, 井上 勝一郎, 鱒見 進一
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 6 号 p. 215-223
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,光重合型コンポジットレジンペーストの粘性率,引き剥ぎ速度,外力のような測定可能な値(客観的テスト,レオロジー的性質)と歯科医師の指感覚による計測値(主観的テスト)間の関係を調べ,コンポジットレジンペーストの好ましい性質を決定することである.レオロジー的性質は天秤式プラストメーターを用いて計測した.主観的テストは,4年以上の経験をもつ18名の歯科医師で4回繰り返して行った.主観的テストは次の4種類である.A.ペーストの硬さ,B.形態の保持力,C.粘着性,D.充填時の器具からのリリース特性.対数目盛で表示した外力(log F)と引き剥ぎ速度(logν)との間には全材料で十分な相関関係(r=0.950~0.997)が認められた.デグフィルウルトラ,ヘリオモーラー,ライトフィルIIA,シラックスプラスを除いて他の全ての材料においても粘性率(logη)とlogνの間に十分な相関関係(r=0.870~0.995)が認められた,主観的テストで好ましいとした性質,log PA,log PB,log PDとlog Fまたlogηとの関係はそれぞれ二次相関で近似できた.
  • 稲永 清敏, 森本 泰宏, 瀬田 祐司, 大住 伴子, 鯨 吉夫, 粟野 秀慈
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 6 号 p. 224-230
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    平成19年度に行った九州歯科大学研究室配属のアンケート調査および平成18年度・19年度の研究室配属資料を基に解析を行った.88%の学生が第一希望に配属され,第2希望までに97%の学生が配属された.各分野の学生受け入れ体制に対しては72%がよく計画されていたと回答した.80%の学生は教員の研究室配属に対して熱意があったと感じており,98%の学生が多少なりとも興味を持って研究を行ったと回答した.研究テーマに興味をもてたかという設問と教官の熱意を感じたかという設問との間には強い相関が認められた.さらに研究テーマに興味を持ったことと文献などを積極的に調べたかとの設問の間にも強い相関が認められた.このように,学生は教員の教育意欲に対して敏感に反応しており,それによって研究テーマに一層興味を示し,文献検索などを自ら進んで行うことがわかった.逆に教員が熱意を示さない場合には,学生は研究に興味を示さないことが考えられた.また,基礎系の研究室にだけに配属が限られていた基礎配属から,九州歯科大学の全研究室に配属が可能となった研究室配属にカリキュラムが変更になって,学生が臨床系の研究室に偏って配属されるのではないかと懸念されたが,大きな偏りは認められなかった.
  • 高田 豊
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 6 号 p. 231-237
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    九州歯科大学附属図書館における入館者数を平成14年4月から平成20年7月の間で分析した.年間入館者数は平均69,810名で,平日一日入館者数は平均291名であった.新図書館となった平成19年度は旧図書館入館者数よりも年間入館者数で14,039名,一日入館者数で39名増加していた.月間と一日入館者数では最も多い月は2月と9月で最も少ない月は8月であった.平成19年度に開始された土・日の週末入館者数は平成19年度より20年度で増加の傾向であった.平成20年4月から実施された20:00~22:00の開館延長時間帯の入館者数も4月から7月と漸増していた.平日入館者数が最も多い時間帯は16:00~17:00で,次に多いのは12:00~13:00と14:00~15:00であったが,週末入館者数は平日とは異なり19:00~20:00が最も多かった.図書館開館時間延長は利用者にとって最も有用なサービスの向上になるが,より効率的なサービス提供のためには月別,曜日別,時間別,平日・週末別での入館者数の詳細な分析が必要と考えられた.
症例
  • 柳田 泰志, 土生 学, 吉岡 泉, 冨永 和宏
    原稿種別: 症例
    2009 年 62 巻 6 号 p. 238-243
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    われわれは,下顎骨に生じた再発エナメル上皮腫に対してダイナミックブリッジングプレートを内固定装置に応用した骨延長術を行ない,良好な結果を得た.患者は52歳男性で左側下顎臼歯部の無痛性腫脹を主訴に来院した.同部は26年前にエナメル上皮腫にて左側下顎第一臼歯部の腫瘍切除術を受けていた.周囲の軟組織を含めた広範囲な辺縁切除を必要とした再発エナメル上皮腫に対し,ダイナミックブリッジングプレートを下顎骨下縁に設置するSegmental Bone Transport法にて骨延長術を行った.骨移植に対して仮骨延長の優れる点は組織に機械的伸展を加え組織補填する方法であるため,骨組織だけでなく粘膜や神経など周囲軟組織も同時に再建できることである.しかし通法では切除する範囲が広範であり残存骨の強度が不足する場合,強度補償装置の設置位置に問題をのこしたままであった.ダイナミックブリッジングプレートはひねりを含む任意な屈曲が可能であり,患者固有の湾曲を持つ下顎骨下縁に合わせて変形することができる.この強度補償装置を下顎骨下縁に設置することで通法ではブリッジングプレートでおおわれてしまう下顎骨頬側面を骨延長装置の設置場所として確保できた.現在,術後5年の現在再発はなく,部分床義歯での機能回復も良好である.本法は今回のような良性腫瘍だけでなく,常に硬軟両組織の切除が必要とされる悪性腫瘍の手術にも応用が可能で,組織内延長装置を用いた骨延長術の可能性を拡大させる有益な方法であると考えられた.
  • —レントゲンデジタル処理による判別能の検討を加えて—
    土生 学, 吉岡 泉, 岩永 賢二郎, 兒玉 正明, Khanal Amit, 田中 達朗, 森本 泰宏, 冨永 和宏
    原稿種別: 症例
    2009 年 62 巻 6 号 p. 244-248
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    われわれは,ガラス片の頬部への迷入により,遷延性に開口障害をきたした症例を経験した.患者は81歳男性で ガラス製の額縁に後頭部から衝突し外傷を受け,ガラス片の摘出を他院で受けた.1年9か月後に開口障害が出現したため当科を紹介された.初診時,開口量は20mmで左頬部にび慢性硬結と軽度圧痛を認めた.単純X線検査およびCTにて左頬部隙にガラス片と考えられる2つの棒状不透過像を認めたため,全身麻酔下に摘出した.ガラス片はX線透過性が高く,単純X線撮影では描出しにくいことが報告されている.本症例ではガラス片の位置をデジタル処理された単純X線画像で診断できた.そこで,われわれはデジタル画像処理された単純X線写真がどの程度ガラスに対する描出能があるかについて,未処理の単純X線写真と比較して検討した.その結果,デジタル画像処理により単純X線写真では判別できない2-4mmのガラス片も描出できるようになることが分かった.
  • 高橋 理, 古田 功彦, 兒玉 正明, 岩永 賢二郎, 吉岡 泉, 冨永 和宏
    原稿種別: 症例
    2009 年 62 巻 6 号 p. 249-252
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    今回われわれは著しい骨吸収を伴う鼻歯槽嚢胞の一例を経験したので報告する.
    症例は58歳女性.左鼻翼基部にびまん性の腫脹を認め,当科受診.パノラマX線写真およびCTにて左側上顎骨に単房性の嚢胞様透過像を認めた.また骨吸収は,一部口蓋の骨膜下まで達していた.同年4月に全身麻酔下にて嚢胞摘出術を施行.術後病理組織検査にて,嚢胞壁は立方上皮と線維性結合組識の層から形成されていた.
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