九州歯科学会雑誌
Online ISSN : 1880-8719
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78 巻, 3 号
KDUエンドクラウンバーセットを用いた大臼歯エンドクラウン修復の一症例
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 加来 伸哉, 渡辺 崇文, 駒形 裕也, 吉居 慎二, 正木 千尋, 池田 弘
    原稿種別: 臨床報告
    2024 年 78 巻 3 号 p. CR00001-
    発行日: 2024/09/11
    公開日: 2024/09/13
    ジャーナル フリー
    エンドクラウンは,低侵襲な大臼歯修復の方法として期待されている.しかし,エンドクラウンの支台歯形成は従来のクラウンとは異なるため,既存のダイヤモンドバーでは理想的な形成が難しい場合がある.そこで著者らは,エンドクラウンの形成に適した数種類のダイヤモンドバーで構成される専用のセット(KDUエンドクラウンバーセット)を開発した.本症例報告では,このKDUエンドクラウンバーセットを使用して低侵襲に支台歯形成を行った大臼歯エンドクラウン修復について報告する.
  • ―インフォームド・コンセントと論文構成―
    森本 泰宏, 小野 堅太郎
    2024 年 78 巻 3 号 p. ER00001-
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/08/01
    ジャーナル フリー
    九州歯科学会雑誌では、研修医や開業医・勤務医からの症例報告の投稿を積極的に奨励している。症例報告は、個別の臨床経験を共有することで、多くの医療従事者にとって貴重な治療指標となるだけでなく、将来的にはランダム化比較試験へと発展する可能性を秘めている。症例報告は、臨床現場での新たな知見や治療法の開発に寄与する重要な学術活動の一環である。本稿では、九州歯科学会雑誌への症例報告の投稿を目指す医療従事者に向けて、歯科疾患の診断および治療に関する症例報告を作成する際の具体的な注意点とガイドラインを提示する。まず、症例報告におけるインフォームドコンセントの取得方法および患者プライバシー保護の重要性について詳細に解説している。これらは、症例報告を行う際の基本的かつ必須の要件となる。次に、過去の症例報告論文を具体例として取り上げ、緒言、症例および考察部分において記載すべき重要な事項を具体的に示した。緒言では、報告する症例の背景と意義を明確にし、症例では、診断、経過、予後を客観的に述べる必要がある。考察では、症例から得られた知見を基に、臨床的な意義や今後の研究の方向性について論じる。本稿が、多くの医療従事者にとって症例報告作成の参考となり、質の高い報告が増えることを期待している。
  • 黒石 加代子, 川元 龍夫
    2024 年 78 巻 3 号 p. RV00001-
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/08/28
    ジャーナル フリー
    患者を一口腔単位で治療するためには幅広い知識だけでなく、専門性や高い技術を必要とし診療科間の連携が必須である。特に小児期における歯科の問題は成長と発達に密接に関連し、早期に発見・対処することが重要である。小児歯科では、主に口腔の健康管理や乳歯から永久歯への正常な交換の観察に焦点を当てており、矯正歯科では不正咬合や顎の発育に関する問題を治療として扱っている。これらの歯科領域は密接に関わり合い、連携を取ることで総合的な歯科医療を提供することが可能となる。しかしながら小児歯科と矯正歯科が連携体制をとる医療機関は極めて少ない。 そこで九州歯科大学附属病院(以下、当院と記載)では小児歯科と矯正歯科が協働し患者の成長と発達に合わせた適切な治療を提供できるよう、2015年9月より小児歯科・矯正歯科によるカンファレンス『成長発育系カンファレンス』を立ち上げた。カンファレンスは、年に8~11回程度の頻度で定期的に開催し、小児歯科と矯正歯科が情報の交換・共有を行っている。当初は対面方式で開催していたが、COVID-19の影響で2020年4月からリモート会議方式に切り替えた。また、齲蝕、埋伏歯、口腔筋機能療法、障がいのある患者への対応方法等の学術的研修、症例検討、公的医療保険(以下、保険と記載)に関する研修を行っている。 本稿では、当院における小児歯科と矯正歯科の連携体制の現状、連携症例として頻度の高い埋伏歯について述べる。
  • 矯正歯科と口腔外科のコラボレーション
    鶴島 弘基
    2024 年 78 巻 3 号 p. RV00002-
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/08/28
    ジャーナル フリー
    近年、顎変形症や顎矯正手術に対する社会的認知度の向上により、本邦における顎矯正手術件数は増加傾向にある。本邦においても年間3,000件を超える手術が施行されている。当院においても顎矯正手術件数は増加傾向にあり、今後も重要度の増加が期待される疾患の一つである。  顎変形症治療は、矯正歯科医と口腔外科医のコラボレーションの下に行われる。顎矯正治療を的確かつ円滑に行うためには、特に初診時と術前矯正終了時における矯正歯科医と口腔外科医の間の治療計画の策定とすり合わせが非常に重要である。当院では毎月定例で「顎変形症カンファレンス」を開催し、多くの矯正歯科医と口腔外科医で症例を検討することで、症例の問題点の抽出と治療ゴールの確認を行い円滑な顎変形症治療を目指している。この「顎変形症カンファレンス」は当院における顎変形症治療の質の向上にも寄与していると考える。  また、今後は補綴前治療としての顎変形症治療や、唇顎口蓋裂患者の顎変形症治療が増加してくることも期待されるため、補綴科や唇顎口蓋裂カンファレンス、成長発育カンファレンス等の他科との連携がさらに重要になってくると思われる。
  • 森川 和政
    2024 年 78 巻 3 号 p. RV00003-
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/08/28
    ジャーナル フリー
    医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、新生児集中治療室(NICU)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃瘻等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことである。現在、医療的ケア児は全国で約2万人いると推計されており、10年前に比べて2倍に増加している。福岡県では約800人、北九州市では200人程度と推計している。 令和3年9月18日に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行された。この法律の基本理念で重要なことは、子どもだけでなくその家族も支援対象であることにある。医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的としている。 その様な背景の中、医療的ケア児に対する歯科訪問診療の提供体制を拡充することが急務であると考えられる。また医療的ケア児に関わる多くの職種との意見交換の場や、知識・技術の向上の場として、研修会の開催や、広く情報提供を行うことも必要であると考える。
  • 土生 学, 水原 正博, 早川 真奈, 藤田 優子, 緒方 祐子, 藤井 航, 森川 和政, 川元 龍夫, 吉岡 泉, 笹栗 正明
    2024 年 78 巻 3 号 p. RV00004-
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/09/21
    ジャーナル フリー
    九州歯科大学附属病院は,2014年に口唇口蓋裂セン ターを立ち上げ,連携病院医科診療科とともにチーム医 療を行っている.出生前カウンセリング・出生後の往診 は産科,新生児科と,乳幼児の術前診察・術後対応は小 児科と連携をとっている.滲出性中耳炎は,乳児期より 耳鼻咽喉科で経過観察を行っている.合併異常があり当 院での周術期管理が困難な症例は,連携病院小児科入院 管理下に手術を行っている.2014年から10年間の新患 総数は178例(一次症例93例,二次症例85例)であった. 一次症例は唇(顎)裂14例,唇顎口蓋裂22例,口蓋裂20 例,粘膜下口蓋裂37例であった.新生児科からの紹介 が多く,患者居住地は北九州市,隣接市郡が約70%を 占めていた.受診時年齢は唇裂,唇顎口蓋裂,および口 蓋裂はほとんど1か月以内であったが,粘膜口蓋裂は2 歳を過ぎた症例が多かった.一次症例の合併異常の頻度 は28%で,心臓・血管系の異常が最も多かった.先天 性異常症候群は22q11.2欠失症候群が4例で最も多く, すべて粘膜下口蓋裂症例であった.手術施行症例91例 の内訳は,口唇形成術31例,口蓋形成術29例,および 顎裂部骨移植14例で初回手術が多かった.91例中15例 は重篤な心疾患のため,連携病院小児科入院管理下に, 当センターから往診して手術を行った.当院入院下に手 術を行った症例で,術後に治療が必要な合併症を生じた 症例はなかった.
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