九州歯科学会雑誌
Online ISSN : 1880-8719
Print ISSN : 0368-6833
ISSN-L : 0368-6833
最新号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 竹内(山下) 紗智子, 白川 智彦, 岡本 秀人, 奥村 暢章, 松原 琢磨, 古株 彰一郎
    2025 年 79 巻 2 号 p. RV00009-
    発行日: 2025/06/25
    公開日: 2025/04/18
    ジャーナル フリー
    日本は世界一の長寿国でありながら,「平均寿命」と「健康寿命」には約10年の差が存在している.これは,多くの国民が晩年に健康を損なって生活の質が低下した状態や介護が必要な状態が数年続いたのちに生涯を閉じることを意味する.骨粗しょう症やサルコペニア(骨格筋の衰弱)は要支援・要介護の原因となり,フレイル(加齢に伴う虚弱)に進展しうる.したがって,超高齢社会を迎えた我が国においては,国民の健康の維持・増進を図り,活力ある豊かな経済社会を実現するために,骨粗しょう症とサルコペニアに対する効果的な予防法・治療法の確立は急務である.「医食同源」という栄養バランスの整った食生活を通じて病気を予防する概念に基づき,骨粗しょう症やサルコペニアは日常の食事によって予防すべき疾患であるとされる.我々はVignacyanidinやNobiletinなどのフラボノイド,ミツバチ関連素材のローヤルゼリー,ゲラニルゲラニオール,およびビタミンCといった食品成分に注目し,骨や筋肉の代謝における機能解明を進めている.本総説では,骨粗しょう症やサルコペニアに対する,食を通じた予防法の可能性について議論を展開する.
  • 大久保 正彦, 佐藤 毅, 古株 彰一郎
    2025 年 79 巻 2 号 p. RV00010-
    発行日: 2025/06/25
    公開日: 2025/05/14
    ジャーナル フリー
    嚥下障害患者の誤嚥性肺炎予防と嚥下機能維持・向上 において,口腔健康管理(Oral health care)は単なる「口 腔内の細菌数減少を目的とした清掃行為」を超えた役割 を担っていると考えられるようになってきた.本総説で は,口腔ケアを「摂食嚥下リハビリテーション(dysphagia rehabilitation)」の一環と位置づけ,口腔内への刺激に よる口腔周囲筋の活性化,唾液分泌促進,サブスタンス P放出,脳覚醒度向上など多面的なメカニズムとその臨 床的意義を論じる.また,周術期管理や人生の最終段階 における医療の場面において,口腔ケアが合併症の予防 や経口摂取の可能性を高め,QOL向上にも寄与し得るこ とについて言及する.さらに,多職種連携による栄養管理や嚥下訓練と統合しながら口腔ケアを包括的に活用す る重要性についても議論を深める.このような,総合的 視点が,摂食嚥下障害の長期管理において安全な食事摂 取と誤嚥予防,さらには,リハビリテーション効果の最 大化につながる基盤になると考えられる.
feedback
Top