C57BL / 6- Polycystic kidney disease mouse (B6-cpk) の系統維持中酩酊歩行を示す個体が発見された。その異常行動は、後肢によろめき、ふらつき(wobble about;wob)が見られ、突発的に横転をすることで確認できる。このマウスは我々の手で育種されていることから、B6-wob/takahashi(tentative(t)) と名付けられた。この研究は、B6-wob/tの行動異常の評価を行うこと、その原因はどこにあるのかを明らかにすることにある。我々は、B6-wob/tの行動解析をopen fieldactivity、footprint、 rotarod test、beam walking test、hanging and grip strength test、 pole test で評価を行った。open field activity における frequencies of reverse,moving backward and pivoting の回数は、B6(n=10)に対しB6-wob/t (n=5)は、有意(p<0.05~0.001)な増加がみられた。一方rearing, preening and grooming は回数の減少が有意(p<0.05~0.001)に認められた。またrotarod testではB6のrod上の滞在時間が600±0.0secに対しB6-wob/tは3.42±1.0secで有意に(p<0.001)短かった。 さらに、全身の臓器の病理学的検討を行ったところ、脳の肉眼的所見により、小脳萎縮と重量の低下が認められた。このことは協調運動支配の中心的な小脳の萎縮が運動失調の主な原因であることを示唆している。なおこの論文はB6-wob/tに関する研究の最初の報告である。
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