本研究は、健常若年者を対象に口腔機能を評価する上で重要である咬合力と口唇閉鎖力の関連を調査した。対象は健常若年者71名(男性34名、女性37名)であった。測定項目は咬合力、口唇閉鎖力、握力とした。その結果、咬合力は、男性で699.4±165.7N、女性で465.9±150.9N であった。口唇閉鎖力は、男性で6.6±1.5N、女性で4.4±1.3N であった。握力は、男性で46.9±5.9kg、女性で29.2±4.8kg であった。性差に関しては、咬合力、口唇閉鎖力、握力ともに女性より男性の方が有意に高値であった(p<0.01)。また、咬合力、口唇閉鎖力、握力の3項目で有意な相関関係を示したのは、男性、女性とも咬合力と握力であり、相関係数0.37(p<0.05)、0.44(p<0.01)であった。しかし、咬合力と口唇閉鎖力には相関関係は認められなかった。以上の結果より、咬合力と口唇閉鎖力との相関関係が低値であるため、口腔機能を評価する上では咬合力と口唇閉鎖力はそれぞれ測定する必要があると考える。