形態・機能
Online ISSN : 1884-6084
Print ISSN : 1347-7145
ISSN-L : 1347-7145
15 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著論文
  • ―理学療法士を対象として―
    大谷 拓哉, 雄賀多 聡, 三和 真人
    2016 年 15 巻 2 号 p. 48-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、理学療法士が転子果長測定時にランドマークとする大転子のどの部位を測定点としているかを明らかにすることである。対象は6か所の医療施設に勤務する理学療法士33名とした。大腿骨模型を用いて、転子果長測定時に大転子の中で測定点とする部位にマーカーを貼付してもらった。マーカーをデジタルカメラで撮影し、画像解析ソフトを用いてマーカー座標を同定した。分析の結果、多くのマーカーが大転子の最外突出部付近に存在したが、大転子の上端部、下部、後部にもマーカーが存在し、全体として広範囲な分布が認められた。転子果長測定における検者間信頼性向上のためには大転子測定点の統一が必要と考えられる。

  • 浦井 珠恵, 浅野 きみ, 中島 由加里, 向井 加奈恵, 中谷 壽男
    2016 年 15 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー

    マウス円形皮膚全層欠損創において、円形を保つために創周囲に板状皮膚保護材を貼付した副子が有効であるかを非肥満と肥満マウス(体重が非肥満マウスの1.4倍)を用いて検討した。マウスの背部に直径4mmの円形皮膚全層欠損創を作製し、副子貼付群と非副子貼付群に無作為分類した。副子貼付群に用いた副子は中央に直径1.5cmの円形の穴を開けた板状皮膚保護材(縦2cm、横2.5cm)とした。副子の穴の中央に創が位置するようにマウスの背部皮膚に貼付後、創にはハイドロコロイド被覆材を貼付し、ハイドロコロイド被覆材と副子を固定するために極低刺激テープで体幹を覆った。非副子貼付群の創にはハイドロコロイド被覆材を貼付し、極低刺激テープで体幹を覆った。非肥満マウスと肥満マウスでそれぞれ副子貼付群と非副子貼付群の創傷治癒過程を比較した。

    非肥満マウスの創の形状は、副子貼付群と非副子貼付群でほぼ円形を保っており、明確な差は認められなかった。一方で、肥満マウスの創の形状は、非副子貼付群では左右方向に長く頭尾方向が短い楕円形を呈したが、副子貼付群ではほぼ円形を保っていた。

    すなわち、肥満マウスにおいて円形皮膚全層欠損創の創部にかかる張力を防止し、創形状を保持するためには、板状皮膚保護材を副子として使用することが有用と考えられる。

  • 別府 秀彦, 武田 湖太郎, 富田 豊, Orand Abbas, 水谷 謙明, 玉井 育子, 高柳 尚貴, 高橋 久英, 園田 茂
    2016 年 15 巻 2 号 p. 62-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー

    ヒトでは運動失調の歩行異常に重心動揺が見られる。B6-wob/tマウス(Wob/t)は小脳プルキンエ細胞の変性と脱落により歩行失調が見られことから、重心動揺の測定を試みた。評価するパラメータとして、単位時間あたりの水平方向の軌跡長(trajectory length, TL)と鉛直方向の体重変動(weight variance, WV)を用い、wild typeであるC57BL/6J(B6)マウスと比較した。まず歩行失調を示す四肢の協調運動を見るためにrotarod試験を行ったところ、B6に対しWob/tの回転棒上での歩行持続時間は短く(p<0.001)運動失調であることが示された。さらにオープンフィルド内で、休止状態(standstill state)時のTLとWVを測定したところ、いずれもWob/tの重心動揺はB6に対し有意に強い振幅が見られた(p<0.001)。さらにWob/tに強制歩行訓練(Ex)を行い、体幹振戦に与える影響をWob/t非運動(NEx)群と比較した。その結果、Ex群は、NEx群に対し、TL、WVともに振幅が有意に(p<0.05)弱くなった。またEx群とB6群のTLは有意差(p<0.05)があるものの、WVでは有意差が無くなった。一方、休息時(resting state)はTL、WVともに3群間に差が認められなかった。以上の結果から、B6に対しWob/tは、TLとWVの重心動揺の振幅が大きいことが示された。しかし強制運動歩行訓練を行ったEx群はNEx群よりも重心動揺の振戦が弱められた。以上の結果はWob/tの歩行失調の原因は、小脳プルキンエ細胞脱落による体幹の振戦の影響を受けていること、強制歩行運動により振戦が弱まることが示された。また、resting stateにおいて、B6群、Wob/tのNEx群、Ex群、のTLとWVの重心動揺に有為差が認められなかったのは、休息時が傾眠状態にあり、Wob/tの小脳性振戦はヒトと同様、運動時に現れる姿勢振戦で同じと考えられる。

feedback
Top