マウス円形皮膚全層欠損創において、円形を保つために創周囲に板状皮膚保護材を貼付した副子が有効であるかを非肥満と肥満マウス(体重が非肥満マウスの1.4倍)を用いて検討した。マウスの背部に直径4mmの円形皮膚全層欠損創を作製し、副子貼付群と非副子貼付群に無作為分類した。副子貼付群に用いた副子は中央に直径1.5cmの円形の穴を開けた板状皮膚保護材(縦2cm、横2.5cm)とした。副子の穴の中央に創が位置するようにマウスの背部皮膚に貼付後、創にはハイドロコロイド被覆材を貼付し、ハイドロコロイド被覆材と副子を固定するために極低刺激テープで体幹を覆った。非副子貼付群の創にはハイドロコロイド被覆材を貼付し、極低刺激テープで体幹を覆った。非肥満マウスと肥満マウスでそれぞれ副子貼付群と非副子貼付群の創傷治癒過程を比較した。
非肥満マウスの創の形状は、副子貼付群と非副子貼付群でほぼ円形を保っており、明確な差は認められなかった。一方で、肥満マウスの創の形状は、非副子貼付群では左右方向に長く頭尾方向が短い楕円形を呈したが、副子貼付群ではほぼ円形を保っていた。
すなわち、肥満マウスにおいて円形皮膚全層欠損創の創部にかかる張力を防止し、創形状を保持するためには、板状皮膚保護材を副子として使用することが有用と考えられる。
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