[目的]咬合力、口唇閉鎖力、舌圧を含めた口腔機能は多くの研究より、高齢者の身体・精神・認知機能、栄養状態などと関係があることが明らかになっている。しかし、口腔機能と健康関連QOLとの関係について報告は少ない。本研究の目的は地域在住高齢者を対象に口腔機能と健康関連QOLとの関連性を明らかにすることである。[対象と方法]Y市A地域であり、そこで行われている介護予防体操やサロン活動に参加している65歳以上の女性36名を対象とした(75.2±5.2歳)。基本属性、口腔機能として咬合力、口唇閉鎖力、舌圧、健康関連QOLとしてSF-12を調査した。[結果]PCSと握力(ρ=0.42, p<0.05)、RCSと咬合力(ρ=0.36, p<0.05)、握力と咬合力(ρ=0.55, p<0.01)は正の相関関係を認めた。年齢とPCS(ρ=-0.43, p<0.01)、PCSと舌圧(ρ=-0.39, p<0.05)は負の相関関係を認めた。[結論]口腔機能のうち、咬合力は、握力とMCSに関わり、心身機能と健康関連QOLに反映することを示唆する。
過去の研究からマイナスイオンの様々な効果が報告されている。本研究では、マイナス電位治療器が発生させるマイナスイオンが皮膚創傷治癒にどのような影響を与えるかを正常マウス(実験1)と糖尿病マウス(実験2)を用いて検討した。マウスの背部に左右1個ずつの直径8mmの円形皮膚全層欠損創を作製し、マイナスイオン曝露群と非曝露群に分け創面積の縮小を観察した。さらに、実験1では光学顕微鏡における創の性状を観察した。結果、実験1・実験2の両群とも同じような治癒過程を辿り、創面積の縮小において両群間に有意差は見られなかった。実験1においては創作製後10日目までに、実験2においては13日目までに創面積は創作製時の約20%に縮小し、実験1の組織学的所見において、血管新生や膠原線維の発達に両群間で明確な差は見られなかった。すなわち、マイナスイオンの皮膚創傷治癒促進に対する効果は不明であった。