ヒトの臍帯血管は、胎児-胎盤循環の必須構造である。本研究では、血管構造と血管収縮の関係を明らかにするために、正常分娩後に得られたヒト新生児の臍帯の拡張動脈と静脈を形態学的に比較した。光学顕微鏡下での観察には、パラフィン切片をヘマトキシリン・エオシンまたはアルデヒドフクシン/ライトグリーンで染色した。またNaOH浸軟組織ブロックを用いた走査型電子顕微鏡を用いて血管構造を明らかにした。
臍帯静脈と比較すると、臍帯動脈は中膜内層の構造が厚く、強い弾性線維染色性があった。臍帯動脈の管腔は閉鎖されていたのに対して、臍帯静脈の管腔は開存していた。動脈中膜内層の構造では、縦方向に配向した平滑筋細胞を取り囲む広範な弾性線維ネットワークがあったのに対し、臍帯静脈には内弾性板と薄い中膜内層が観察された。動脈と静脈両者で共通なのは、中膜外層が主として円形の平滑筋細胞で構成され、かなりの数の細胞が斜めに交差していることであった。
臍帯血管の平滑筋細胞と弾性線維に特異的な超微細構造は、分娩直後の新生児の出血を阻止するために、臍帯動脈の血管壁の収縮と伸展の柔軟性に重要な役割を果たすことが示唆された。
抄録全体を表示