著名なHill and Gaddy (2004) は,現代ロシアにおける空間経済の歪みの象徴として,ロシアの都市集積が十分な成長を遂げていないということを挙げる.これは端的には,ロシアの都市構造が順位・規模法則に沿っていないということで示され,HillとGaddyはこれをソ連の行政的・指令的計画経済の遺産であるとした.しかしながら本研究は,旧ソ連共和国の全ての都市に関するデータセットを全人口センサスから構築し,それぞれのセンサス年における順位・規模法則の妥当性を検証した結果,より包括的な結論が得られた.第一に,現代ロシアの都市階層構造とは異なり,ソ連の都市階層構造は順位・規模法則に適合していた.第二に,ソ連の都市構造は大きな変遷を見せた.帝政末期およびソ連時代初期においては,当該都市構造は順位・規模法則に従っていた.しかしながら1939年から1959年の間にソ連の順位・規模法則はそこからの乖離を示す.そののち,1989年に至るソ連末期には逆に,ソ連の階層型都市構造は伝統的な順位・規模法則に収斂する傾向を示したのである.これらがデータによって裏付けられ,ソ連の階層型都市構造の変遷は,必ずしも行政的・指令的計画経済システムによる開発政策の産物であるとは言えないものと考えられ得る.
本コラムでは、著者が2023年に発表した学術論文、Pablo A. Guerron-Quintana, Tomohiro Hirano, and Ryo Jinnai. “Bubbles, Crashes, and Economic Growth: Theory and Evidence.”American Economic Journal: Macroeconomics, Vol.15, No.2, 333–371(2023年4月)の貢献を一般向けにわかりやすく解説する。
本コラムでは、著者のJournal of Human Resourcesに掲載予定の学術論文、Tanaka Mari, Taisuke Kameda, Takuma Kawamoto, Shigeru Sugihara, and Ryo Kambayashi. “Managing Long Working Hours: Evidence from a Management Survey”の内容を一般向けにわかりやすく解説する。
本コラムでは、著者が2022年に発表した学術論文、Tanaka,Shinsuke,Kensuke Teshima,and Eric Verhoogen. 2022. “North-South Displacement Effects of Environmental Regulation: The Case of Battery Recycling.” American Economic Review: Insights,4(3): 271–88,の内容、特にその実証手法をわかりやすく解説する。