結核
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77 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大畠 律子, 多田 敦彦
    2002 年 77 巻 10 号 p. 629-637
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    結核菌DNAのRestriction fragment length polymorphism (RFLP) 分析を正確かつ有効に結核対策に活用するため, 県内の結核菌分離株のRFLPパターンにどの程度類似性が見られるかを, 1999年12月から2001年12月までに分離された395株を用いて調査した。RFLPパターンは多様性を示し, 342種類が見られた。パターンが完全に一致した同一クラスターは, 34種類 (87株) あり, 同一クラスター内における感染源の一致率は20%であった。しかし, これを59歳以下の患者間で見ると60%であり, RFLPパターンの一致は, 特に若い世代の患者間において重要な感染源の指標となることが示唆された。全体的な類似性としては, 4種類の主要な流行株を中心に, 近縁の株が約40%を占めていた。また, これらの流行株は, 日本人に多いと言われるパターンに一致しており, 岡山県の地域特異株ではなく, 全国レベルで伝播している株であることも判明した。
  • BCG再接種の廃止と硬結径による判定を採用した場合のツベルクリン反応への影響
    西尾 恵子, 鈴木 公典, 角南 祐子, 志村 昭光, 猪狩 英俊, 長尾 啓一
    2002 年 77 巻 10 号 p. 639-645
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    「千葉結核ダイヤル110番」には開設時より平成12年9月までの3年間に延べ1453件の相談があり, その中でツベルクリン反応検査 (以下, ツ反応) に関するものが383件 (26.4%) と多かった。今回, ツ反応の何に疑問があるのか, またなぜツ反応に関する質問が多いのかを知るため, ツ反応前, 中, 後の時期的区分別と相談者の職種別に質問内容を分析検討した。その結果から現在のツ反応の問題点と今後の課題について考察した。
    相談はツ反応実施後のものが最も多くあった。その中では, 判定結果の解釈に関係するものが専門職で74.2%, 一般市民で91.8%を占めていた。判定結果の解釈が困難な原因としては, BCG接種が広く実施されていることとブースター現象の影響が考えられ, さらに発赤径による計測, 特に二重発赤ではばらつきが大きくなり, 結核感染の診断に影響を与えることもある。BCG再接種を廃止すること, およびツ反応の繰り返しをなくし, ブースター現象の影響を除外できれば, ツ反応による感染の有無の判断が容易となると考えられた。また, 硬結径を発赤径と同様に計測し併記し, 解釈の際には硬結径を参考にするのがわが国の現状からは実際的であると考えられた。
  • 方法論の検討と副作用への対応
    大森 正子, 和田 雅子, 西井 研治, 中園 智昭, 増山 英則, 吉山 崇, 稲葉 恵子, 伊藤 邦彦, 内村 和広, 三枝 美穂子, ...
    2002 年 77 巻 10 号 p. 647-658
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    検診成績を利用し中高年齢者の結核発病予防の方法論と実行可能性を検討した。対象は50~79歳男女, 胸部X線で1年以上変化のない陳旧性結核に合致する陰影があった者 (440名) のうち, 住所の提供, 研究への同意, 事前の諸検査で問題のなかった29名となった。治験対象者を無作為に6カ月のINH服薬群 (14名), 経過観察のみの非服薬群 (15名) に分けた。服薬中副反応を訴えた者は6名 (42.9%), うち治療開始後2週以内に胃腸症状を訴えた2名 (14.3%) は肝酵素値に異常はみられなかったが服薬を中止した。副反応を訴えなかった者でも2名に肝酵素の上昇が認められた。その異常は服薬開始2カ月後から出現し, 長く継続した者でも服薬終了後には正常値に戻った。これまで追跡不能は3名, 1名は服薬終了時X線上活動性結核と診断, 1名は8カ月目に乳癌が再発, 1名は2.5年目に肺腺癌と診断。この他4例で陰影拡大が疑われたが結核発病は確認されていない。副反応, 偶然の事故等がかなり高率であり, 本事業を集団的に推進するには, 副作用の頻度とそれを上回る有効性を確認するより大規模な調査が必要である。それまでは個別の臨床ベースでの実施で対応し, 高齢者対策としては早期発見・治療に重点を置くべきだろう。
  • 在学3年間の変動
    重藤 えり子, 前田 晃宏, 大岩 寛, 横崎 恭之, 村上 功
    2002 年 77 巻 10 号 p. 659-664
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    看護学生における3年間のツベルクリン反応の推移の観察, 特に入学時と卒業時の反応の比較を行い, 医療従事者の結核感染診断のために勧められている二段階ツベルクリン反応検査の意義と感染診断のための基準を検討した。入学時二段階法の基礎値からの変動の平均はわずかであった。一方入学時に1回のみの検査では卒業時に反応の増大がみられ, そのばらつきも大きかった。BCG接種を行った者では, 接種後の反応からの減弱がみられた。発病者を除いた二段階法実施者における検査値の変動の [平均+2× 標準偏差] は15.6mmであった。日本における感染の診断基準である基礎値から10mm以上の増大を示したのは, 二段階法実施40名中4名であり, うち1名は発病者であった。感染の可能性が高い状況では10mm以上, そうでない場合にも, 二段階法から15mm以上の反応の増大があれば強く感染を疑うべきである。
  • 三村 公洋
    2002 年 77 巻 10 号 p. 665-669
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1995年のMatsushimaの報告に基づき, 1994年から2000年までの7年間の, 岡山県におけるM.konsasii感染症に関するアンケート調査を, 県内の主要な医療施設, 32病院に対して行った。その結果, 岡山県内ではこの6年間に, 新たに110症例のM.kansasii感染症が発見されていた。それらの症例について検討した結果, 以前のごとく年ごとに増加する傾向はなくなり, 年間10~20例の新患者が発見されていた。また罹患症例数の地域的分布では, どの地域でも症例数の積み重ねが見られていたが, これまで症例数の多かった地域での新発生が多く, 新たな地域への広がりは認めなかった。従って水島工業地帯を中心として中心部ほど数が多い同心円状の比率で, 現在も分布していることがわかった。すなわち本感染症の岡山県内での動向としては, 罹患症例数の総数は増加しているが, 1995年をピークに年ごとに症例数が増加する傾向は認められず, また県最北部で, これまで未発生地域であった所では, 今回も新しい患者は発見されていなかった。発症地域別の症例数は, 前回の調査同様に水島工業地帯を中心として, 中心部ほど多い同心円状の分布をなしていた。
  • 最近3年間の活動
    山村 淳平, 沢田 貴志
    2002 年 77 巻 10 号 p. 671-677
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    最近の3年間に港町診療所で経験した超過滞在外国人の結核症例32例を検討した。対象症例の男女比は2.5: 1で, 各年齢層ではほぼ均等に分布していた。国籍では東アジアおよび東南アジア出身者が全体の87%を占めていた。超過滞在のため健康保険に加入することができず, 医療機関を受診する機会は少なく, 受診の遅れが多くみられた。しかし, 一方では無料結核検診での発見例も22%にみられ, 早期発見には結核検診と医療機関への受診促進の重要性が示唆された。肺外結核は全症例の28%にみられ, 高い比率を示していた。治療成績について, 1990年から1998年までの治療中断率は41%ときわめて高かったが, 今回は12%と減少していた。以下の点を積極的に実施していったことが治療中断率の減少につながったと考える。 (1) 結核予防法の申請による経済負担の軽減, (2) 多言語での対応, (3) 治療開始時の結核についての充分な説明, (4) 厳重な経過観察, (5) 国内外の団体との連携および情報交換。
  • 2002 年 77 巻 10 号 p. 679-697
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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