今回われわれは, 全国の結核医療専門医を対象としたアンケートを基に, Pyrazinamideを含む標準短期化学療法 [標準治療法 (A) 法: HRE (S) Z] の治療期間の妥当性について検討した。
全国アンケートの結果では, 848症例中約60%が何らかの理由により6カ月を超えて治療されていた。治療延長の理由としては, (1) 他の合併症があった, (2) レントゲンでの改善が不十分, (3) 菌の陰性化が遅れた, (4) 薬剤感受性, (5) 患者の希望の順に多く, (6) その他の理由も多く認められた。
過去4年間の当院 (国立療養所道北病院) の成績では, 治療延長率では (A) 法が86%, 標準治療法 (B) 法 (HRE (S)) は64%であった。 (A) 法は重症例に, (B) 法は高齢者に選択される傾向があった。 (A) 法での延長理由の頻度は全国のアンケートの結果とほぼ同様であった。その他の延長理由についてみると, 「何となく」や「再発などに対する不安」「患者の希望」等あまり根拠のない例が多くみられた。
適切な治療期間の設定を行うためには, 標準短期化学療法での再発率や, 治療期間との合併症の関係などを明らかにする必要がある。今後さらに詳細な臨床研究を基にした治療期間を含めた結核治療の確立が望まれる。
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