結核
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78 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 近藤 信哉, 伊藤 真樹
    2003 年 78 巻 11 号 p. 677-682
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的] 今後の乳幼児接触者検診における方針決定に役立てるため, 現行の検診の有用性, 特に予防内服の発病阻止効果を後方視的に検討した。 [対象と方法] 活動性肺結核患者と家庭内接触して接触者検診に来院し, 少なくとも2年間経過観察できた0~4歳児273名とした。 [結果] 初回検診で発病児は273名中60名 (22%), 発病が疑われた児は37名 (14%) であった。すべての発病, 発病が疑われた児において治療は完了され, 再燃を認めなかった。26名 (9%) が未感染と診断された。その25名において発病を認めなかったが, 1名に2カ月後の2回目検診時に発病を認めた。150名 (55%) が初感染と診断され, 6カ月間イソニアジド (10mg/kg/日) を服用した。服薬開始直後, 1名に発病が認められた。他の149名において内服は完了されて発病を認めず, 服薬中に血清GOT, GPTが100単位/Lを超す肝機能障害を生じなかった。 [考察] 現状の家族検診は有用であり, 発病の有無を明確にして治療, 予防内服を行えば再燃, 発病をほぼ完全に, 安全に阻止していることを示した。また, 感染の証拠が得られずに未感染とされた児を含めて未発病家庭内接触乳幼児全員に, 予防内服を躊躇なく始めることが潜在結核感染症を減少させる選択肢の1つであることを示唆する。
  • 4症例の提示と文献的考察
    宍戸 雄一郎, 長山 直弘, 益田 公彦, 馬場 基男, 田村 厚久, 永井 英明, 赤川 志のぶ, 川辺 芳子, 町田 和子, 倉島 篤行 ...
    2003 年 78 巻 11 号 p. 683-689
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    981~2002年当院入院新規結核患者約6, 400例 (ほぼ全例治療初期は標準治療施行) のうち抗結核薬による無顆粒球症 (うち1例は汎血球減少症) を4例 (男性2例, 女性2例) 認めた (0.06%) 。2例はRFP, 1例はPZAまたはアロプリノール, 1例はRFP, INH, SMのいずれかが原因と思われた。文献上, first line抗結核薬による無顆粒球症は10例認められたが, ほとんどの場合INHが原因薬剤であり, RFPを原因薬剤とする報告はなかった。抗結核薬による無顆粒球症は女性に多く (男性5例, 女性8例), 化療開始1~3カ月後に発症しやすく, 骨髄低形成となり, 全身発赤, 好酸球増多症, 薬剤性肝炎等を伴うことがあり, 骨髄抑制の機序としてはアレルギー性が考えられた。治療としてはステロイド剤やG-CSF製剤が奏効するが自然経過でも改善の見られることがある。また無穎粒球症の際に末梢リンパ球数は減少しなかった。
  • 宍戸 真司, 星野 斉之, 石川 信克, 森 亨, 高里 紀子
    2003 年 78 巻 11 号 p. 691-697
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的] 高齢者施設において結核発病時の実態およびそれへの対応について検討し, 高齢者施設での結核早期発見, 感染予防対策改善に寄与することを目的とした。 [対象] 高齢者施設23施設を有する保健所管内の特別養護老人ホームにおいて, 平成10年から14年にかけて15例の結核患者が発生し, この15例を対象とした。 [方法] 発病した15例について診断に至るまでの経緯, 診断時の病態, 接触者健診の内容と予防内服状況について, ビジブルカード等からの情報収集, 関連施設と病院への問い合わせや訪問, 事例検討等を行った。 [結果] 入所者の結核発見から死亡までの期間が10日以内と短期間であったのが4例あり, 受診が遅れている傾向にあった。症状発見では発熱発見が多く, 次いで咳による発見であった。 [結論] 入所者の結核早期発見には, 身体的諸種異常の継続的観察記録と異常時に早期に対処できる組織的取り組み強化が最も大切である。また, 職員の二段階ツベルクリン反応検査を行っておくことが, 接触者健診対応上大切である。
  • 平田 世雄, 辻 英一
    2003 年 78 巻 11 号 p. 699-704
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は52歳男性, Wolff-Parkinson-White's syndrome (以下WPW症候群と略) を合併し, 短期間に肺病変が進行拡大して病期lII2で来院, 検痰の結果Mycobact6rium intracellulare (以下MACと略) と判明した。化学療法開始10カ月後より気胸を併発し, 難治で緊張性気胸に移行したため受診1年2カ月で左肺を全摘した。上葉は舌区の欠損, S3に鶏卵大の含気性の先天性肺嚢胞形成と, 残余の後肺尖区はMAC症による無気肺硬化を認めた。一方下葉は胸膜の短縮による変形, 下縁の鈍化挙上とS6のMAC症病変で, 左肺は一層含気の低下を招き合併した気胸は難治と判明した。術後PaO2が初診時の76.6torrより99.2torrに上昇し, 合併症もなく, 患者は早期に軽快退院した。本症例は肺の末梢気道と肺実質の形成不全であり, このような形成不全肺は感染を受けやすいといわれているが, 抗酸菌感染の報告は少ない。
  • Enrico TORTOLI
    2003 年 78 巻 11 号 p. 705-709
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    Mucobacterium kansasiiは最もよく知られた一非結核性抗酸菌種であり, “immunocompetent”ならびに“immunocompromised”な患者における疾患の原因菌として注目を惹いている。この菌種にはモルモットに対するビルレンスを異にする2表現型変異株の存在することが1962年に初めて見出された。しかし, 極めて多様性のあることが見出されたのは近年の遺伝学的研究の進歩によるものである。これらの知見の解明には, DNAプローブハイブリダイゼーション, 16SrDNA塩基配列決定法, 内転写スペーサー (ITS) および反復DNAシークエンス多型の諸分析に負うところ大なるものがある。現在M.kansasii にはITSシークエンスおよび異なる制限酵素に基づいた技術により明らかにされた5亜種が認められている。これらのうち, i型はヒトから, ii型は環境ならびにヒトから, 他の型 (iii, ivおよびV型) は環境のみから分離され, 疫学的見地からも異なる。M. kansasiiの分類学の現状の改訂, および異種あるいは亜種への分離が今や必要と思われる。
  • 2003 年 78 巻 11 号 p. 711-722
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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