結核
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80 巻, 1 号
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  • 多賀 収, 小川 賢二, 中川 拓, 田野 正夫
    2005 年 80 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肺MAC症に対する多剤併用療法の有効性を3群に分けて比較検討した。〔対象〕最近9年間における当院のMycebacteriumavium-intracellUtare complex検出例101名のうち,2003年の肺非定型抗酸菌感染症に関する見解で示された診断基準を満たし,かつリファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシンの3剤,3剤+レボフロキサシン,もしくは3剤+ストレプトマイシンのいずれかにて6カ月以上治療,観察できた72名を対象とした。〔方法〕3群間の比較は分散分析を,2群間の比較はt検定を用いた。〔結果〕男性30名女性42名,平均年齢68歳,平均観察期間344日で,初回治療例が59名,一次感染型が58名を占めた。対象症例の各治療薬剤はほぼ規定量を使用できていた。年齢やBMIなど患者背景に有意差が見られたが,3群間での症状改善率,血沈,画像改善率,そして排菌陰性化率に差を認めなかった。〔考察〕治療開始後12カ月間観察可能であった60名の症状改善率54.3%,画像改善率65.0%,排菌陰性化率60ゆ%であり従来の報告に比べて高かったが,一次感染型が多かったことがその理由として考えられた。治療開始後12カ月以内の再排菌率は15.3%であり,ストレプトマイシン併用群に低い傾向が見られた。〔結論〕今回の検討からは,レボフロキサシン併用の有効性は認められなかった。
  • 吉山 崇, 伊藤 邦彦, 尾形 英雄, 青野 昭男, 和田 雅子
    2005 年 80 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕イソニコチン酸ヒドラジド(INH or H)耐性リファンピシン(R)感受性結核の予後を検討する。とくに多剤耐性化の危険を評価する。〔方法〕1990年1月より2000年12月に複十字病院で治療を開始した結核症をretrospectiveに検討した。〔結果〕163例の対象症例のうち,4例は治療中に多剤耐性となっていた。77例は菌陰性となり治療を完了しその後2年間再発なく治癒を確認できていた。ほかに38例で治療を完了していたがそのうち1例は再発し,37例は治療終了後の追跡が短く再発の有無については判断できなかった。死亡14例,治療中断13例,転院17例であった。多剤耐性化例と治癒例とを比較したところ,治療開始時薬剤数4剤以上は3剤以下に比して治癒例が多かった。そのほか,糖尿病では多剤耐性化例が多い傾向にあり,また標準治療を開始したものの中ではZを含む治療を行ったものは,Zを含まないものよりも治癒例が多い傾向にあったが有意差はなかった。〔結論〕Zを含む4剤以上を用いた治療開始,薬剤耐性を予測した治療と,治療開始後の速やかな薬剤感受性検査結果の把握と対応が多剤耐性化の予防に有効と思われた。
  • 谷口 浩和, 泉 三郎
    2005 年 80 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性で,INH,RFP,EB,PZAで肺結核の治療を受けた既往がある。治療終了6カ月後より発熱と腹部膨満感が生じ,徐々に増悪してきたため当科受診した。腹水貯留が認められ,試験穿刺にてADAが高値を示したことより結核性腹膜炎と診断し,INH,RFP,EBを開始した。ところが,内服開始3日目に,腹水がほぼ消失,両側胸水が貯留し,急性呼吸窮迫症候群を発症した。呼吸不全の改善のため右胸腔内液を排液し,ステロイドパルス療法を行った結果,呼吸不全は改善したが,その後,全身状態は徐々に悪化して治療開始2カ月半後に死亡した。結核性腹膜炎の患者において腹部膨満の訴えがある時には,減圧のため腹水の排液をすることが胸腔内への腹水の移動を予防する可能性があると思われた。
  • 水口 正義, 田中 栄作, 井上 哲朗, 櫻本 稔, 前田 勇司, 馬庭 厚, 田口 善夫
    2005 年 80 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は27歳男性,右頸部の腫脹・疹痛と発熱のため当院耳鼻咽喉科を受診した。頸部.上縦隔CT検査にて頸部リンパ節の膿瘍形成を指摘され切開排膿が施行された。膿の抗酸菌検査で塗抹2+,PCR検査で結核菌陽性であったため当科紹介となる。CT検査にて縦隔リンパ節の腫大もみられ,頸部・縦隔リンパ節結核として4剤HRZEで治療開始し,3カ月目より3剤HREで治療を継続した。抗結核剤開始6カ月後に咳嗽出現し,胸部単純X線にて右上肺野に浸潤影を認めた。咳嗽出現1カ月後に気管支鏡検査を施行し,右主気管支前壁に白苔をともなうポリープ様病変を認めた。同部位の生検で類上皮性肉芽腫を多数認め,抗酸菌染色は陰性であつたが結核として矛盾しなかつた。縦隔リンパ節の気管支穿孔によって肺内に進展した結核と考えHREによる治療を継続し,リンパ節腫大,肺野の浸潤影はともに改善を認めた。
  • 2005 年 80 巻 1 号 p. 25-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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