〔目的〕肺MAC症に対する多剤併用療法の有効性を3群に分けて比較検討した。〔対象〕最近9年間における当院の
Mycebacteriumavium-intracellUtare complex検出例101名のうち,2003年の肺非定型抗酸菌感染症に関する見解で示された診断基準を満たし,かつリファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシンの3剤,3剤+レボフロキサシン,もしくは3剤+ストレプトマイシンのいずれかにて6カ月以上治療,観察できた72名を対象とした。〔方法〕3群間の比較は分散分析を,2群間の比較はt検定を用いた。〔結果〕男性30名女性42名,平均年齢68歳,平均観察期間344日で,初回治療例が59名,一次感染型が58名を占めた。対象症例の各治療薬剤はほぼ規定量を使用できていた。年齢やBMIなど患者背景に有意差が見られたが,3群間での症状改善率,血沈,画像改善率,そして排菌陰性化率に差を認めなかった。〔考察〕治療開始後12カ月間観察可能であった60名の症状改善率54.3%,画像改善率65.0%,排菌陰性化率60ゆ%であり従来の報告に比べて高かったが,一次感染型が多かったことがその理由として考えられた。治療開始後12カ月以内の再排菌率は15.3%であり,ストレプトマイシン併用群に低い傾向が見られた。〔結論〕今回の検討からは,レボフロキサシン併用の有効性は認められなかった。
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