〔目的〕大規模な接触者検診の場において,QuantiFERoN®TB-2G(QFT)の有用性を検討した。〔対象および方法〕医療機関職員が初発患者(G7)である集団感染事例において,最濃厚接触群ll人,濃厚接触群33人および非濃厚接触群3,791人に分け,最濃厚接触群と濃厚接触群にはツ反,胸部X線検査およびQFT検査を実施した。非濃厚接触群のQFT検査については,ツ反陽性者と胸部x線結果から感染の可能性がある者について行った。〔結果〕最濃厚接触群,濃厚接触群および非濃厚接触群においてツ反の発赤長径30mm以上(BCG未接種者は10mm以上)の者は,各群7名,7名,277名であった。一方QFT検査の陽性者は,最濃厚接触群で3名,濃厚接触群で2名,非濃厚接触群においては検査可能だった225名中5名が陽性であった。〔結論〕今回の事例を,ツ反の結果のみで評価した場合,非常に大規模な集団感染と見なすことになったが,QFT検査の結果では,初発患者からの感染者は,最濃厚接触群にとどまることが示唆された。QFT検査を導入し,特異度高く結核感染を診断することは,今後の接触者検診に多大なる恩恵をもたらすと考えられる。
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