結核
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81 巻, 5 号
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  • 伊藤 邦彦
    2006 年 81 巻 5 号 p. 357-362
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肺結核の感染性評価における3回目の喀痰集菌塗抹検査の意義を推測する。〔対象と方法〕著者の所属する病院における喀痰結核菌陽性肺結核患者(2002年1月~2003年9月)の診断時3連続検痰を後ろ向きに検討し,3回日の喀痰集菌塗抹検査(蛍光染色による)の陽性率および陽性gradeを調査する。〔結果〕対象患者362症例中3回の検痰で塗抹陽性であった喀痰塗抹陽性肺結核は304例(84.0%),このうち3回目の集菌塗抹で26例(塗抹陽性肺結核中8.6%)が初めて塗抹陽性であった。2回目までにすでに塗抹陽性の278例で3回目の塗抹検査で最も高い塗抹gradeであったものは40例(塗抹陽性肺結核中13.2%)であったが,3回目の塗抹検査でそれまでよりも2grade以上高い塗抹検査結果であったものは6例(塗抹陽性肺結核中2.0%)であった。〔考察と結論〕本調査の結果と文献的考察から,集菌塗抹/蛍光染色による2回の喀痰検査の感度は以前の直接塗抹/Ziehl-Neelsen染色による3回の喀痰検査の感度と同等かそれ以上になるものと推測された。今後肺結核の感染性評価に必要な塗抹検査の回数について再検討していくべきである。
  • 和田 雅子, 溝口 國弘, 奥村 昌夫, 御手洗 聡, 星野 斉之, 大森 正子, 内村 和広, 吉山 崇, 尾形 英雄
    2006 年 81 巻 5 号 p. 363-369
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕間欠療法は,薬剤費が軽減できる,DOTを行いやすい,副作用が少ないなどの理由から世界各国で標準治療として採用されているが,日本ではまだ採用されていない。一般患者に対しDOTを行いやすくするため本研究を行った。〔対象〕初回治療菌陽性肺結核症患者で,イソニアジドとリファンピシンに感受性があり,初期強化化学療法を完了し,その後の維持期間欠療法に同意した者。副作用のために主要3剤(イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド)のいずれかが中止された例,全治療期間観察不可能の例は除外した。また同様の条件を満たす例で維持期間毎日自己服用した例を対照とし臨床諸事項を比較検討した。〔方法〕間欠療法は2HRZE/4H2R2または2HRZE/7H2R2とし調剤薬局でDOT下に服用,毎日療法は2HRZE/4HRまたは2HRZE/7HRとし自己服用した。〔結果〕135例が維持期週2回間欠療法,250例が毎日療法を行った。間欠療法群135例中11例が強化治療を延長したために治療成績の分析から除外した。124例の間欠療法の治療成功率は97.6%で毎日療法の95.6%と差はみられなかった。治療自己中断は問欠療法にはなく,毎日療法では3.2%が中断した。治療終了後の再発率は問欠療法で3.73/100人一年,毎日療法で1.76/100人一年であった。間欠療法中の副作用は135例中5例にみられたが,治療変更を要する副作用は2例(1.5%)にみられたのみであった。〔考察および結論〕調剤薬局薬剤師によるDOT下の維持期間欠療法は有効で,安全な方法と思われた。
  • 八木 毅典, 山岸 文雄, 佐々木 結花, 橋本 友博, 別宮 玲, 山中 満佳子, 露崎 淳一
    2006 年 81 巻 5 号 p. 371-374
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的と方法〕最近,路上生活者に宿泊施設を提供して生活保護受給のもとに社会復帰をめざす,社会福祉事業としての非営利活動法人施設が増加している。千葉市保健所が2002年11月から2004年8月に検診を行った施設入所者1054人中.全体の1.6%にあたる17例が活動性肺結核と診断された。これらの症例を検討した。〔結果〕17例は全例男性で,年齢は44歳から70歳(平均54.9歳)であった。喀痰抗酸菌検査では,塗抹陽性が4例,塗抹陰性培養陽性が3例であった。入院治療が13例,外来治療が4例で,自己退院の2例を除く11例の入院日数は平均146.7日であり,治療終了まで入院を継続した症例が4例あった。転帰は,治癒が12例,脱落・中断が5例であった。〔結論〕路上生活者宿泊提供事業施設の検診では,非常に高率に結核患者が発見された。今後も保健所と医療機関の連携のもとで,このような施設の検診とその後の治療を積極的に行っていく必要がある。比較的長期ないし治療終了までの入院治療を行う傾向にあるにもかかわらず,自己退院や外来通院中断など治療脱落も多く,入院継続支援や保健所などと連携した退院後の通院・服薬支援などが必要であると思われた。
  • 近藤 信哉, 宮川 知士
    2006 年 81 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    結核治療開始後の異なる時期に肺とリンパ節,リンパ節,脳内結核病巣にparadoxical worseningを生じた7カ月~11歳の結核小児3名を報告する。報告例3名の結核病巣拡大は治療開始約14日後,約6カ月後,そして治療終了約3カ月後に生じた。1名において抗結核薬を変更せず,1名において抗結核薬継続に加えてプレドニゾロンを投与し,i名においてプレドニゾロンのみを投与し,全員において1~5カ月後に病巣の改善をみた・この症例報告はparadoxical worseningが肺,リンパ節,脳実質結核病巣において菌量,成分などの結核菌因子と結核菌成分に対する遅延型過敏性などの患者因子との相互作用に基づいて結核治療開始後様々な時期に生じてくる可能性を示唆する。
  • 沼田 尊功, 白井 陽子, 原 弘道, 佐藤 哲夫
    2006 年 81 巻 5 号 p. 381-385
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    肺外結核のなかでも稀な中耳結核を4例経験した。年齢は,20歳から37歳(平均28.3歳)と若く,4症例のうち肺結核の合併は3例であり,1例は原発性中耳結核と考えられた。確定診断までに数カ月以上要すことが多く,感染拡大の面からも重要な疾患であると考えられた。診断方法には,耳漏塗抹検査のほか,文献的には病変部の生検が有用といわれている。また早期診断には耳漏でのPCRが有用である症例もあった。聴力障害を残し外科的治療を必要とした症例もあり,早期発見が重要である。
  • 2006 年 81 巻 5 号 p. 387-397
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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