呼吸器感染症の診断は,病歴,身体所見,微生物検査,および画像診断などを用いて総合的に行うべきものであることはいうまでもない.もちろん最終診断は微生物検査,または病理所見であるものの,呼吸器感染症の多くにおいては,病理検体は得られにくいことが多い。これを補助するものが画像診断であり,近年HRCTの詳細な解析により,pathologic-radiologiccorrelationが確立したことにより,HRCT所見から病理所見を推定することが可能になってきている。本総説においては,主として抗酸菌感染症を対象に,呼吸器系の正常解剖に立脚した画像診断を行うことにより,病変の部位を明らかにすることを試みた。さらに病変の部位のみならず,大葉,小葉,細葉,または病変の分布などの画像パターンから結核と非結核性抗酸菌とを鑑別しうるか否かを探りたい。さらにある種の起炎菌が特有の画像所見を呈するには,その菌と宿主の生体反応の結果が複合されて画像診断に反映されると考えられる。肺の正常解剖に基づく部位診断菌の種類と増殖メカニズム,および宿主の生体反応に基づいた総合的な病態・画像診断の可能性について概説した。
抄録全体を表示