症例は72歳男性。1982年から
Mycobacterium fortuitumの持続排菌があり,咳嗽,発熱,喀血,全身倦怠感などの症状が続き,肺
M.fortuitum感染症として近医にて加療されていた。1999年7月からCAM,EB,RFP,KMの4剤併用療法を中心とした抗菌薬治療を受け一時奏効したが再燃し,Gaffky3-5号の排菌が続いた。2001年8月に当科に紹介され,それまでの抗菌剤はすべて中止とし,人参養栄湯の煎液を投与した。投与開始後,徐々に咳嗽,全身倦怠感などの自覚症状は改善し,10カ月後には,一時喀痰中の
M.fertuitumは塗抹陰性になった。その後,夏期に疲労感が増悪したため漢方医学的所見の変化に従って清暑益気湯に変更して治療を継続しているが,排菌は塗抹(±)以下を維持し2005年12月に至るまで,良好に経過している。われわれは,本症例においては漢方治療が有効であったと考えている。漢方治療を本症例のような非結核性抗酸菌感染症に用いることは一般的ではないが,有用な方法であると考え報告する。
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