結核
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82 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 布施 閲, 竹田 雄一郎, 豊田 恵美子, 三上 礼子, 小林 信之, 工藤 宏一郎
    2007 年 82 巻 11 号 p. 803-808
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者肺結核患者において,治療完遂不能を予測する因子を解明すること。〔対象と方法〕2000年6月から2002年2月の間に国立国際医療センターに入院した65歳以上の肺結核患者86人を対象とし,臨床的因子を調査し,多変量解析を用いて治療完遂を妨げる因子について検討した。〔結果〕単変量解析で12項日が選択され,相互に独立した5項目:Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のperformance status(PS),薬剤耐性,低酸素血症,睡眠時間・糖尿病でモデルを構築し,多変量解析を実施した。その結果,高齢者で治療完遂を妨げる要因は,治療前のPSが高いことであった(oddsratio:0.41,95%信頼区間:017-0.98,p=0.04)。治療完遂できなかった10人についてその原因を調べると,1人は治療自己中断で,9人は治療中の死亡であった。〔考察〕高齢者で治療前の結核に関連した全身状態が悪いほど患者は治療が完遂できないことがわかった。PSは高齢者肺結核患者管理において重要な指標となる可能性がある。
  • 戸井田 一郎, 中田 志津子
    2007 年 82 巻 11 号 p. 809-824
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1951年の結核予防法大改正によって凍結乾燥BCGワクチンの接種が法制化されてから2004年までに結核予防法によるBCG接種者総数は2億1380万人に達している。そのなかで接種局所および/または所属リンパ節の範囲を超えて身体他部位に重大な副反応が発生した症例を検索し,39症例(接種10万件あたり0.0182件)が同定できた。ほかに,BCGとの関連に疑問があるがBCG接種にひきつづいて起こった重大な有害事象症例として4症例の報告があった。39症例のうち19例では,慢性肉芽腫症(CGD),重症複合型免疫不全(SCID),Mendelian Susceptibility to Mycobacterial Disease(MSMD)などの先天性免疫不全を含め,何らかの細胞性免疫異常が報告されている。死亡の6例には全例に免疫異常が認められている。BCG接種の唯一の機会を逃す子供が生じないように,それと同時に,生後3カ月までの接種を避けて先天性免疫不全児へのBCG接種の危険を回避することができるように,公費によるBCG接種の期間を最短でも生後1年まで延長することが望まれる。
  • 渡部 厚一, 守屋 任, 林原 賢治, 斎藤 武文, 深井 志摩夫, 高久 多希朗, 森本 耕三
    2007 年 82 巻 11 号 p. 825-829
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    抗酸菌培養検査のため同時に前処理した7検体のうち,結核菌液体培養陽性となった5検体についてRFLP分析を行ったところ,4検体でパターンが一致したことから検査室内Cross-contaminationが判明した。汚染源(Source)の喀痰検体の症例は治療開始前の肺結核であったが,偽陽性3検体の臨床診断は治療開始間もない活動性肺結核,非結核性肺炎および肺結核治療後であり,後2者が偽陽性判明のきっかけとなった。処理順序,塗抹菌量,症例の以前の検体のRFLPパターンとの比較から最初に処理された検体をSourceと判断した。検査室内Cross-contaminationの原因として,検体処理段階での喀痰溶解液,NALC-NaOH液,緩衝液分注の際の混入など人為的要因が強く考えられた。検査室内Cross-contaminationによる偽陽性は,液体培地でようやく陽性となる程度のきわめて少量の菌量で生じることが報告されている。偽陽性から不必要な治療や誤った治療変更へとつながる可能性があり,偽陽性が示唆される場合,臨床診断との照合はもちろんのこと,検体処理過程中に起きえた可能性を振り返って検討できるよう一括連続処理した検体やその処理順序を記録保存しておくべきであり,さらにはRFLP分析等で同一菌株かどうかの検討ができるよう,ある一定期間,陽性検体を保存しておくべきである。
  • 奥村 昌夫, 尾形 英雄, 吉山 崇, 国東 博之, 田所 衛司, 窪田 素子, 上山 雅子, 和田 雅子, 中島 由槻
    2007 年 82 巻 11 号 p. 831-835
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性。結核の既往歴はなし。多剤耐性肺結核症の治療目的にて当院に紹介となった。薬剤感受性試験で,カナマイシン, エンビオマイシン以外の抗結核薬に耐性を認めた。画像検査で右上葉を中心、に広範な空洞性病変が認められ,左肺野にも小空洞が認められた。抗結核薬にて治療を行ったが,排菌が持続し,化学療法のみでは改善が期待できなかったため,主病変除去の目的で右肺全摘術を施行した。術後は抗結核薬の継続で,左肺野の小空洞は閉鎖し,排菌も消失した。両側に空洞陰影が認められ,難治性が予想されたが,外科療法併用が奏功したと考えられる貴重な症例と思われたので報告する。
  • ―クリニカルパス使用のための入院時アセスメントシートを作成して―
    光石 淳, 園田 武子, 大島 幹子, 中川 拓, 齋藤 裕子, 小川 賢二
    2007 年 82 巻 11 号 p. 837-844
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的と方法〕国立病院機構で決定された新退院基準にはA・B基準とその他があり・特にA基準では入院期間が大幅に短縮すると予測された。そのため,入院時に退院基準を判断するためのアセスメントシートを使って,A基準適応率と新退院基準導入前後の患者状況に変化があるかどうかを調査した。〔結果〕A基準適応割合は入院患者全体の18%と少なく,不適応の一番の理由は重症や合併症であった。全体の入院期間は4週間以内が25%,8週間以上が42%であった。平均在院日数は平均約20日短縮,一日平均患者数も減少がみられた。〔結論〕アセスメントシートを使用することは,退院基準を統一した見解で決定することができる。また,パスのスムーズな導入やパスに沿った指導も行える。在院日数の短縮は入退院の回転率をあげ,より合理的な結核医療に結びつくと考えられる。今後も,この傾向が続くことが予測されるため,今回の結果は,これからのパス作りに役立てていくことができると考えられた。
  • 2007 年 82 巻 11 号 p. 845-880
    発行日: 2007/11/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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