〔目的〕新コホート判定方式について,治療結果に影響する因子や精度向上のための留意点を検討する。〔方法〕複十字病院に2004年に入院した喀痰塗抹陽性肺結核患者を用いて,新判定方式を検討した。〔結果〕初回治療例166名は,「治療成功」104名(62.7%),「死亡」27名〔16.3%:結核死18名,結核外死が9名(悪性腫瘍4名,肺炎3名,他2名)〕,「失敗」2名(1.2%:2名とも多剤耐性結核),「脱落」9名(5.4%:自己中止6名,副作用に対する医師の指示中止等3名),「12カ月以上の治療」7名(4.2%:薬剤耐性結核4名,副作用3名),「判定不能」2名(1.2%),「転院」15名(9.0%)だった。再治療例28名は,「治療成功」15名,「失敗」4名(すべて多剤耐性結核),「転院」5名,「12カ月以上の治療」2名(共に多剤耐性結核),「判定不能」2名だった。〔考察〕新判定方式は,「脱落」を要因で分けた点や「12カ月以上の治療」の追加が有用である。課題としては,死亡原因による分類,副作用と薬剤耐性の影響を考慮した長期治療の評価方法の開発があり,留意点としては入院期間の短縮や転出への対応が挙げられる。
抄録全体を表示