〔目的〕
M.hansasii株に対する各種遺伝子型別法を用いた分子疫学的解明。〔対象と方法〕2002年6月1日から2005年8月31日の期間,近畿中央胸部疾患センターにおいて臨床検体から分離,同定された
M.kansasii174株を対象として,
hsp65-PRA,ITSシークエンス,PFGE,IS
1652-RFLPならびにMPTR-RFLPを行った。また
hsp65-PRAとITSシークエンスの結果に乖離があった株に対しては65シークエンスを行った。〔結果〕
hsp65-PRAの結果,174株中1型が170株(97.7%)を占め,II hsp型は2株IIb型は1株,VI型は1株に認められた。ITSシークエンスではI型,II型,VI型の
M.hansasii65-PRAと同じ型を認め,IIb型はITS sequevartypeIIと判定された。IS
1652RFLPとMPTR-RFLPの結果,I型の170株は同一のバンドパタ一ンを示し,I型以外の型(II型,IIb型,VI型)を示した4株に多型性が認められた。PFGEでは,159株(91.4%)がクラスターを形成し,残り15株に多型性を認めた。〔結論〕今回各種遺伝子型別法を用いて遺伝子型別を試みた結果,世界的に蔓延しているI型が当センタ一周辺地域においても高い割合で分布している状況が認められ,I型の高いク一ナリティ一が示唆された。またPFGEによりI型に亜分類が存在する可能性が考えられた。
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