〔目的〕INHの薬剤感受性検査について,BACTECMGIT960結核菌薬剤感受性検査用ミジットシリーズ(MGITAST)の精度を評価した。〔方法〕2002年に実施された入院時薬剤感受性調査株を使用し,小川標準法とMGITASTでINHの感受性検査を行った。結果は小川標準法を基準とし,感度,特異度,一致率,κ 指数にて評価した。また,不一致例の臨床経過も検討した。〔結果〕最終的に1,109株を検討した。小川標準法に対するMGITASTのINH感度は100%,特異度は97.1%となり,一致率は97.3%,κ 指数は0,798であった。不一致(MGITAST耐性・小川感受性)を示した30株(2.7%)について,予後の明らかな11例で再発は認めなかった。初回治療例のINH耐性頻度はMGITASTで5.3%,小川標準法で2.7%であった。〔考察〕MGITASTによるINH感受性検査は,感度,特異度,一致率のすべてで95%を超えており,小川標準法に照らして十分な精度を有していた。しかし,MGITASTによるINH耐性頻度は小川標準法に比べて有意に高くなり,さらなる検討が必要である。
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