〔目的〕VNTR法を用いた日本国内の結核菌型別法開発のために各ローカスの識別能を評価した。〔方法〕全国から集めた325株および院内感染・集団発生疑い例の24事例,74株を対象にし,IS6110RFLP,スポリゴタイピングおよびVNTR分析(35loci)を行った。〔結果・考察〕4カ所(VNTR2163a,3232,3820および4120)を除き,
h値の上位12カ所(VNTRO424,0960,1955,2074,2163b,2372,2996,3155,3192,3336,4052および4156)を分析すると,識別能はIS
6110RFLP分析より優れていた。このVNTRシステムをJATA(12)-VNTR分析法と名付け,次にヨーロッパ諸国で採用されているsupply(15)-VNTR分析法と識別能を比較した。JATA(12)-VNTR分析法は12カ所の分析にもかかわらず,15カ所分析するSupPlyらのVNTRシステムより優れた識別能をもっていた。よって,本JATA(12)-VNTR分析法は,日本だけでなく北京型結核菌の割合が高い地域でVNTR分析の標準法として利用できると考えられる。
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