〔目的〕IL-12/1FN-γ 経路に先天性に異常のある患者から長期にわたって分離された迅速発育抗酸菌の菌種同定を行うこと。
M.porcinumと同定されたこれら分離株の細菌学的性状を
M.poreinumおよび類縁菌種の基準株と比較すること。〔対象および方法〕IL-12/IFN-γ 経路に先天的に異常のある1人の患者から1996年から2007年の間に7回にわたって頸部・腋窩・鼠径部・腕部のリンパ節と腫瘍部分から分離された迅速発育抗酸菌7株,内視鏡洗浄液から分離された
M.poreinum, M. porcinum基準株ATCC33776,
M.fortuitum基準株ATCC6841について,従来の同定法による細菌学的性状の比較と薬剤に対する感受性試験を行った。さらに,分離菌7株と
M.poreinumおよび類縁菌種の基準株13株について,
rpoB,dnaJ,hsp65遺伝子の塩基配列の相同性を比較した。〔結果〕被検分離菌7株の3遺伝子の塩基配列はすべて100%一致し,薬剤感受性にも菌株間に大きな差はみられなかった。しかし,分離の過程において42℃ における菌の発育は陽性から陰性に,コロニーはS型からR型へと変化し,発育速度は3日から7日と遅くなり,マンニット分解能は陽性から陰性になった。
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