結核
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83 巻, 12 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • ラグラダ・ リーゼル・パーラン, 上原 鳴夫, 河原 和夫
    2008 年 83 巻 12 号 p. 765-772
    発行日: 2008/12/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕マニラ首都圏でのDOTSの成否に関連する患者と医療機関双方の要因を調べた。〔対象〕2003年から2005年にかけて14カ所のDOTS施設の登録結核患者394人に対してインタビューし,治療完了群と非完了群について症例対照研究を実施した。解析はX2検定とロジスティック回帰分析を用いた。〔結果〕患者側因子は中年女性,貧因ラインを越えている者,結核症状自覚者,医療従事者の治療パートナーを有する者等が,結核治療を終了する割合が有意に高かった。医療機関側因子としては,政府が運営しDOTSを提供している公的医療機関(Purely public DOTS facilities)より政府が民間医療機関と協力してDOTSを行っている施設(Public-private mix DOTS facilities)で,DOTSについて患者に十分に説明している施設で治療完了者が多かった。〔考察〕社会経済因子に加えて結核治療の完遂には患者および医療側の結核に関する正しい知識の理解や普及の程度が関係し,個人および施設問格差を招来すると考える。〔まとめ〕今後,これらの因子を考慮しながら,医療施設の特性に応じた結核対策を推進する必要がある。
  • 豊田 恵美子, 川辺 芳子, 四元 秀毅, 坂谷 光則, 露口 一成, 前倉 亮治, 藤川 健弥, 高嶋 哲也, 小川 賢二, 吉山 崇, ...
    2008 年 83 巻 12 号 p. 773-777
    発行日: 2008/12/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕世界では多剤耐性結核に加えさらに広汎な薬剤に耐性を示す超多剤耐性結核が注目されるようになった。日本でも菌株検査で多剤耐性菌に占めるその割合が大きいことが報告された。その実態を確認するため全国調査を実施した。〔対象と方法〕2006年1月から12月に新規入院した多剤耐性結核症例および調査時点で持続的に排菌しているその他の症例について全国調査を行った。2006年に多剤耐性結核で新規に入院した症例および持続排菌が続いている症例,その背景,薬剤感受性検査結果,治療と予後に関する調査票を作成して,入院結核病床をもつ270施設にアンケートを依頼した。〔結果〕回答は81%の施設から得られ,1年間に新規入院した多剤耐性(MDR)結核は93例,うち超多剤耐性(XDR)結核は12例でMDRの13%を占めていたが,初回超多剤耐性例は1例のみであった。その他の持続排菌例は103例でこのうち44例(43%)がXDRであった。全体としてMDR96例中56例(28.6%)がXDRで,近畿地方と関東地方に多かった。〔結論〕2006年に新規入1院したMDR-TBは93例で,そのうちXDRは12例,13%であったが,持続排菌例を加えた196例中ではXDRが29%に及び,国内でもDOTSに加えて多剤耐性結核対策が必要と考える。
  • 小橋 吉博, 岡 三喜男
    2008 年 83 巻 12 号 p. 779-784
    発行日: 2008/12/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ガイドラインに沿った治療開始後長期にわたり経過観察しえた肺MAC症の症例を集積し,治療終了時期について検討した。〔対象と方法〕対象は1998年4月以降,1年以上ガイドラインに沿った治療ができ,その後1年以上経過観察しえた90例とした。これらの症例の背景因子,治療成績,治療終了後の臨床経過に関して検討した。〔結果〕対象90例の平均年齢は64.8歳,男性34例に対し,女性56例であった。治療成績は,菌陰性化が54例(60%)に比して,臨床的改善は35例(39%)であった。菌陰性化がみられた54例中30例は治療を中止し経過観察していたが,うち18例(60%)はその後再排菌を認めたのに対し,同じ治療を継続していた24例では10例(42%)の再排菌であった。臨床的改善がみられた35例中17例は治療を中止して経過観察していたが,うち9例(53%)はその後再排菌を認めたのに対して,同じ治療を継続していた18例では悪化は6例(33%)にとどまっていた。〔考察〕肺MAC症に対する治療は菌陰性化が得られても,中止後再排菌をきたす比率が高いことから,ガイドラインに沿った治療はできるかぎり長期にわたり継続するほうがよいと思われた。
  • 肺M.aviumcomplex症を中心に
    田村 厚久, 村木 慶子, 島田 昌裕, 鈴木 純一, 加志崎 史大, 松井 芳憲, 川島 正裕, 鈴木 純子, 有賀 晴之, 大島 信治, ...
    2008 年 83 巻 12 号 p. 785-791
    発行日: 2008/12/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肺非結核性抗酸菌症(PNTM)の診断における気管支鏡検査の有用性について,後ろ向き検討を行った。〔対象と方法〕1995年~2006年の当院入院PNTM909例中,喀痰塗抹陰性(100例)または喀痰採取不能(7例)のため気管支鏡検査が行われ,最終的にPNTMと診断された107例(12%)について,気管支鏡検体の塗抹,培養,PCR,生検の結果を臨床像,X線所見や喀痰検査の結果と対比した。〔結果〕107例中92例は肺MAC症で,この92例における気管支鏡検体と喀痰検体の陽性率の比較では培養で100%(92/92例)vs50%(45/90例),PCRで87%(72/83例)vs27%(22/82例)と,気管支鏡検体が有意に高く(共にp<0.0001),気管支鏡検体の塗抹陽性率は66%(61/92例),生検陽性率も63%(36/57例)に達した。他のPNTMでも概ね同様の結果であった。陽性率と肺MAC症のX線所見との間には関連がなかった。検査直後の喀痰検査も含め,気管支鏡検査を施行したことで肺MAC症と診断できた症例は74%(68/92例),生検陽性かつ気管支鏡検体のPCR陽性より肺MAC症診断の予測ができた症例は47%(17/36例)であった。〔結論〕気管支鏡検査で各種検体を採取することはPNTM/肺MAC症を早く確実に診断するために有用である。
  • 2008 年 83 巻 12 号 p. 793-820
    発行日: 2008/12/15
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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