結核
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88 巻, 11 号
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原著
  • ―入院前の抗酸菌検査非施行例と施行例との比較―
    森 彩, 中山 雅之, 坂東 政司, 大圃 美穂, 間藤 尚子, 森澤 雄司, 杉山 幸比古
    2013 年 88 巻 11 号 p. 721-726
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

    〔目的〕入院前に結核が疑われず,入院後に結核と診断された症例の臨床的特徴を比較すること。〔対象方法〕2007年4月から2011年3月までに当院入院後に結核と診断された39症例を対象とし,入院前の抗酸菌検査非施行群と施行群とに分けて2群の臨床的特徴を比較検討した。〔結果〕非施行群22例,施行群17例であった。非施行群では施行群と比べて,悪性腫瘍合併症例(9例 vs. 2例,p=0.04),肺結核を伴わない肺外結核症例(9例 vs. 2例,p=0.04),塗抹陰性結核症例(16例 vs. 7例,p=0.04)が有意に多く,肺結核症例の胸部CT所見において,コンソリデーション(2例 vs. 11例,p< 0.01)と空洞病変(0例 vs. 6例,p<0.01)が有意に少なく,結節病変(8例 vs. 2例,p<0.01)が有意に多かった。また39例を悪性腫瘍合併の有無で2群に分けて比較検討したところ,入院から結核診断までの日数は悪性腫瘍合併群で有意に長かった(23.5日 vs. 10.5日,p<0.01)。〔考察・結論〕入院前に抗酸菌検査が施行されず入院後に結核と診断された症例は,基礎疾患に悪性腫瘍を有することが多く,また悪性腫瘍合併は結核診断の遅れの一因になるため,注意が必要であると考えられた。

  • 吉多 仁子, 小野原 健一, 田澤 友美, 釣永 雄希, 黒川 雅史, 韓 由紀, 田村 嘉孝, 永井 崇之, 橋本 章司, 川瀬 一郎
    2013 年 88 巻 11 号 p. 727-733
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

    〔目的〕塗抹陰性・MGIT法陽性検体での結核菌群核酸増幅迅速診断におけるコバス®TaqMan法(TaqMan法)とLoop-Mediated Isothermal Amplifi cation(LAMP法)との有用性の比較検討をしたので報告する。〔期間・方法〕2012年5月~7月の2カ月間にMGIT法を実施した690検体のうち,結核菌陽性は70検体であった。対象は治療開始後1週間以内に採取された48検体(喀痰43検体,胃液2検体,胸水2検体,膿汁1検体)を用いた。前処理後の検体を1000 rpm,1分間遠心し,上清は100μlTaqMan法,沈渣の60μlをLAMP法に用いた。〔結果〕塗抹陰性25検体ではTaqMan法陽性が16検体(64%),LAMP法陽性が20検体(80%)であり,塗抹陽性23検体では全例が2法ともに陽性(100%)であった。〔考察〕塗抹陰性検体ではLAMP法のほうがTaqMan法よりも陽性率が高く,喀痰内の成分が共沈剤の役目になり沈渣中により多くの菌が分布したことも一因と考えられた。沈渣を用いたLAMP法は,TaqMan法よりも迅速診断法としての有用性が高いと考えられた。

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