2008年4月から2010年7月までに当院で18F-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET/CT)を施行し,細菌学的に抗酸菌症と診断された9例を検討した。診断は,肺非結核性抗酸菌症4例,肺結核2例,リンパ節結核2例,胸膜結核腫が1例であった。全例がStandardized uptake value max 2.5以上であり,かつ前期相から後期相への上昇を認めた。結核の1例は,結核治療後の胸膜結核腫であったが,他の症例と同様にFDGの高い集積を認めた。今回の検討からは,FDG-PET/CTのみで抗酸菌症と悪性疾患を鑑別することは困難で,確定診断をつけることが大切であると考えられた。
〔目的〕PCR法と核酸クロマトグラフィー法を組み合わせた抗酸菌同定キットSPEED-OLIGO® MYCOBACTERIAの精度を評価した。〔方法〕type strainまたはATCC reference strain 15株(M.tuberculosis H37Rv 1株,非結核性抗酸菌14株),臨床分離非結核性抗酸菌48株,抗酸菌塗抹陽性喀痰17検体を対象とし,SPEED-OLIGO® MYCOBACTERIAと他の同定法を比較した。〔結果〕SPEED-OLIGO® MYCOBACTERIAと参照検査法の一致率はtype/reference strainでは80.0%,臨床分離株で91.7%,臨床検体では88.2%であった。type strainとreference strainではM.celatum,M.fortuitum subsp. fortuitumおよびM.marinum,臨床分離株ではM.intermedium,M.marinumおよびM.szulgaiで同定結果が一致しなかった。〔考察〕SPEED-OLIGO® MYCOBACTERIAは操作が簡便であり,検査時間は約90分と短いため一般検査室での抗酸菌同定に有用であると考えられた。しかしながら,複数の菌種で誤同定が認められた。特にM.marinumの同定には注意が必要と考えられた。