結核
Online ISSN : 1884-2410
Print ISSN : 0022-9776
ISSN-L : 0022-9776
89 巻, 6 号
選択された号の論文の1件中1~1を表示しています
原著
  • 松本 健二, 小向 潤, 笠井 幸, 廣田 理, 甲田 伸一, 寺川 和彦, 下内 昭
    2014 年 89 巻 6 号 p. 593-599
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

    〔目的〕服薬中断リスクと治療成績の関連を分析評価することにより治療成績の向上に役立てる。〔方法〕大阪市における2011年の新登録肺結核患者のうち,外来治療を要した患者を対象とした。治療成績は治癒,治療完了を「治療成功」,治療失敗,脱落・中断を「失敗中断」とし,関連する要因として,服薬中断リスク,DOTSの実施状況,治療予定期間等を検討した。服薬中断リスクは医学的リスク項目として,①薬剤耐性(INH/RFP),②糖尿病,③免疫抑制剤・抗がん剤使用,④副腎皮質ホルモン剤使用,⑤人工透析,⑥HIV/AIDS,⑦肝障害,⑧副作用,社会的リスク項目として,①登録時住所不定,②治療中断歴,③服薬協力者なし(単身等),④介護の必要な高齢者,⑤アルコール・薬物依存,⑥重篤な精神疾患,⑦経済的な問題,⑧病識の低さ,⑨不規則な生活,⑩その他,とした。〔結果〕「治療成功」が568例,「失敗中断」が41例であった。従属変数0を「治療成功」,従属変数1を「失敗中断」とし,医学的・社会的リスク項目,喀痰塗抹陰性陽性,治療予定期間(6カ月9カ月以上),Bタイプ以上のDOTS実施の有無を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を実施した。医学的リスク項目で,「薬剤耐性(INH/RFP)」「免疫抑制剤・抗がん剤使用」「副作用」に有意差を認め,オッズ比はそれぞれ4.55,4.68,2.68であった。それ以外の項目では治療予定期間9カ月以上とBタイプ以上のDOTS実施で,オッズ比はそれぞれ4.51,0.35であった。〔結論〕中断リスクを適切に評価し,DOTSのタイプなど個々の事例に合わせた対応が必要と考えられた。

feedback
Top