The KeMCo Review
Online ISSN : 2758-7452
Print ISSN : 2758-7444
最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 2026 年4 巻 p. 3-4
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
  • 戸塚 愛美
    2026 年4 巻 p. 133-145
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、展覧会に付随するポスターやチラシ、リーフレット、ダイレクトメールといった印刷物を、従来の「広報物」や「副次的資料」としてではなく、美的価値を備えた批評的対象として再考する試みである。デジタル広報が主流化し、印刷物は予算削減や環境配慮の観点から軽視されがちであるが、鑑賞者にとっては展示との最初の接点となりえるものであり、体験の枠組みや記憶を形づくる重要な要素となる。本稿では、印刷物の「見せる/導く/保存する」という三層的機能に着目し、筆者自身の関与した事例や国際的な実践を通じて、展覧会印刷物がどのように展覧会の認知や鑑賞態度、さらに展示の鑑賞体験と記録に関わるのかを考察した。その過程で、印刷物は展示体験を拡張する機能をもつと同時に、制度的条件や文化的背景を可視化する契機ともなり得ることが示唆され、展覧会の質や公共性を支えるうえで再評価の余地があることが浮かび上がった。
  • 宮北 剛己
    2026 年4 巻 p. 147-155
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    大学美術館において「学生」という活動主体は、その世代固有の感覚や感性によって、展覧会に新たな視座・新たなコミュニケーションのかたちを創出する。慶應義塾ミュージアム・コモンズの学生メンバーKeMCoMが発行するZINE「CoZ(コズ)」は、そうした学生たちによる創造的表現の実験(物(マター))である。2022年から計6冊発刊してきたCoZは、既存の権威(性)にとらわれない視点から、大学美術館で開催される展覧会にアプローチしてきた。この行為は、アカデミックな知と日常的な感覚/感性とを接続する実践としても機能している。本稿では、表現媒体としてZINE=プリンテッドマターが選択されている点に注目しつつ、デジタルネイティブである学生らが、あえて物質的な制約のあるプリンテッドマターを用いて「思考(思索)」をかたちにしていることの意義(意味)を考察し、さらにはZINEという媒体がもつ教育的価値を展望する。
  • 長谷川 紫穂
    2026 年4 巻 p. 159-170
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    慶應義塾ミュージアム・コモンズでは2024年に三原聡 一郎との展覧会「三原聡一郎 レシピ:空気の芸術」展を開催した。本展覧会は、テクノロジーを介してさまざまな現象にアプローチする「空気の芸術」を展開する作家自身が、作品の展示とともにアーカイダへの試みを具現化させた機会であった。一方で、制作の準備から記録集の制作までを通して、彼が作品を語る上で「装置」という語を意識的に使用する様子が散見された。これは彼の出発点がメディアアートにあったことと深く関係していると考えられる。メディアアートにおいて技術やメディア環境への意識は不可欠であり、その発露である装置への着目は重要な視座である。本論では、三原聡一郎の実践を起点に、装置と芸術の関係とその芸術学的可能性を検討する。
  • 棚橋 沙由理, 白岩 志康, Suzie Thomas
    2026 年4 巻 p. 171-185
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    ロンドン大学では2020年、「OBL ラボ」が新たに設置され、第一著者は2024年3月、OBL ラボで実施されたコースの実地調査を実施した。学問分野の垣根を取り払い全学開講したこのコースでは、前半でオブジェクトの取り扱いを修得させた後、後半で展覧会の企画を立案させるという構成である。石器、装飾具、医療器具、動物標本および人体の遺体、犯罪者・自殺者の頭部からつくられた頭部石膏模型といった多彩なオブジェクトを用いて、生と死そしてそのはざまにあるものについて、議論の展開される点が最大の特徴である。学生展覧会では、グループメンバーが一体となって内容を設計するものの、コンテンツは各人一つのオブジェクトを選定し、考察を通じて展覧会の立案を経験させる。本研究ノートでは、イギリスの大学における事例を参照しながら、OBLによるダーク・エキシビションのキュレーション結果にもとづいて、高等教育における倫理性陶治について分析を試みた。
  • 齊藤 有里加
    2026 年4 巻 p. 187-195
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究ノートは、小規模博物館を文化的コモンズの視点から捉え直し、学生との協働実践がもたらす教育的・社会的意義を検討するものである。従来、博物館と学生の関係は学芸員実習などに限定されがちであったが、2024年9月に東京農工大学科学博物館で開催された「第13回小さいとこサミット」では、全国の小規模館と学生による多様な協働の実践が共有された。ライトニングトークの7事例は、学生の専門性や柔軟な発想が館の活性化に寄与し、同時に学生にとっても自己形成やキャリア構築に資する学びの場となることを示した。さらにワークショップと討論では、「相思相愛」「駅」「先輩後輩」といった比喩が提示され、協働が双方向的で持続的な関係性に基づくことが強調された。これらの成果は、文化的コモンズが抽象的理念にとどまらず、小規模館においても実践レベルで確認され、学生協働との適性が高いことを立証するものである。
  • 2026 年4 巻 p. 197-198
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2026 年4 巻 p. 199-
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
  • 池谷 のぞみ
    2026 年4 巻 p. 5-6
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
  • 加藤 文俊
    2026 年4 巻 p. 9-25
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    私は、かねてよりフィールドワークやインタビューを中心に据えた質的な調査研究をおこなっており、つねに現場のようすをどのように記録するかに関心をよせてきた。研究の成果は、最終的には論文や書籍という形で公開されることになるが、日常的に冊子やZINEと呼ばれる私製の出版物にまとめることも習慣づけている。暫定的であっても、ひとまずアイデアを紙に定着させることによって、流通可能な形になる点に意味がある。印刷物は、人と人とのコミュニケーションを促進するメディアであり、同僚をはじめ、興味を持ちそうな読者とやりとりする機会を生む。それを契機に、さらに執筆活動を続けることができる。つまり、印刷物をつくることは、たんなる成果の公開・保存に資するだけではなく、それ自体が対話的な探索の過程だといえる。本論考では、まず日本における「文章運動」の動向を概観し、その上でセルフパブリッシングの性格づけをおこない、近年すすめている実践について紹介する。自らの問題意識にもとづいて闊達にテキストを綴り、私製の出版物をつくるプロセスこそが、私たちの対話的探究の機会を構成することを示したい。
  • 渡部 葉子
    2026 年4 巻 p. 27-43
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    1969-70年は作家が直接コミットした現況展が行われるようになった、現代美術展の転換点であるが、その一連の展覧会の中に位置づけられる第10回日本国際美術展(=東京ビエンナーレ1970、東京都美術館、1970年)のカタログについて、分析・考察し、その意義について検討する。同展のカタログは2分冊から成っており、本編では出品作家が自由に用いるページが提供されると同時に作品リストは掲載されず、会期後に制作された別冊に出品リストと展示写真を掲載している。これは1960年代末から顕著となった雑誌誌面や印刷物を美術表現の場と考える流れを背景としつつ、カタログという印刷物が現代美術展においてどのような意味をもち、役割を果たすかという点に自覚的に取り組んだ例となっている。それは、カタログを表現媒体かつ記録媒体として機能させる試みであった。
  • 新倉 慎右
    2026 年4 巻 p. 45-63
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、ルネサンス期において古代彫刻が単なる過去の遺物ではなく、美術の規範を形成する中心的な参照項として位置づけられた背景に、版画や素描といった視覚資料が決定的な役割を果たしたことを考察する。古代彫刻は版画や素描によって抽象化・アーカイヴ化され、「理想形式」としての古典性を形成していった。本論文ではヘームスケルクの素描帳やアントーニオ・ラフレリの『ローマの壮麗なる鏡』、カッシアーノ・ダル・ポッツォの「紙の博物館」といった実践を手がかりに、古代と同時代の彫刻作品が紙上で併置・比較されることで、ルネサンス期の芸術家や連論家にとっての「古典性」の意味が可視化され、同時に制度化されたことを明らかにしていく。結論として、ルネサンスにおける「古典性」を、実物の彫刻作品のみによってではなく、むしろその複製物の流通と配置、そして紙上の比較によって継続的に再生産された、動態的な知的基盤として再定義する。
  • 北村 智仁
    2026 年4 巻 p. 65-88
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、エフェメラという術語を用いた文献を分野横断的に整理することにより、学際領域としてのエフェメラ研究(Ephemera Studies)の変遷と拡大過程を辿る。エフェメラという語の変遷やそれを用いた研究の動向を社会的背景や地理的・言語的広がり、語義の変化等に留意しつつ、術語の成立以前(20世紀前半まで)、術語の成立期(1960~1975)、実践と研究の拡大期(1975~2000)、デジタル技術の浸透と批判の深化による変革期(2000~2025)の4期に分けて分析する。特に近年、メディア、映画、パフォーマンス、物質文化等多様な分野の理論を背景としてエフェメラを分析する事例や、図書館、博物館、アーカイブズが諸学と共有する批判理論の影響により、エフェメラの資料的意義に対する認識の変化が見られることを指摘し、学際的な共有地にして各時代の資料認識に対するパラテクストとしてのエフェメラ研究の意義を確認する。
  • 都倉 武之
    2026 年4 巻 p. 89-102
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、明治15年3月に福沢諭吉が創刊した時事新報の原稿の形態に着目し、それがどのように作成され、どのように手が加えられたかを検討した。現存する原稿を比較検討すると、まず原稿用紙に大きな変遷があること、福沢が書き上げた原稿に対して編集者が加えていく一連の加工が存在すること、また印刷工程の担当者が加えて行く加工も存在すること、さらに作業工程を終えた後に福沢の筆跡を記念に保存しようとする人々によっても、さらなる加工が加えられて今日まで伝えられていることが明らかとなる。またこの検討によって、福沢が時事新報記事を執筆して世に出す工程自体には大きな変遷が見られないこともわかる。今後時事新報における福沢の言説を研究する上で、資料としての時事新報原稿をどのように解釈するかの前提をなす基礎的調査である。
  • 山田 志麻子
    2026 年4 巻 p. 103-118
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、2023年9月に慶應義塾ミュージアム・コモンズで行われたトーク・イベント、「エフェメラの住み処:ライブラリー、ミュージアム、アーカイヴ」の内容をもとに、プリンテッド・マターのひとつと言えるアーティスト・ブック(以下、AB)という言葉とその対象について考察するものである。現在ABは、アーティストの本として広く一般的に用いられる言葉である一方、主に1960、70年代に盛んに制作された、アーティスト自身が芸術作品のひとつとして表現した本とそのジャンルを示す用語でもある。この言葉がいつ、どのような背景で誕生し広がって行ったか、そしてその意味や対象がどのように変化して行ったのかを、これまでの言説や作品、展覧会例等を参照しつつ整理する。また、ABはその特性上、図書館、美術館、アーカイヴといった複数機関で扱われるが、本稿では美術館の視点から見た現実と可能性にも触れる。
  • 桐島 美帆
    2026 年4 巻 p. 119-132
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、英国における最初期のアクアチント作品であるポール・サンドビー『ウェールズ十二景』(1777年)を取り上げ、郡山市立美術館所蔵の作例を対象に、18世紀後半の製紙状況との関係から画家の用紙選択の実際を検討することを目的とするものである。18世紀後半の英国では版画が広く普及しており、その支持体である「紙」は、産業革命の進展とともに改良が重ねられていた。当時、紙の表面特性や強度、インクの定着具合といった物理的側面が芸術制作においても重要な関心事項となっていたが、個々の作品に使用された紙に関する詳細な事例研究は未だ十分とはいえない。そのため本稿では、上記作例の調査結果を精査することで、18世紀後半の英国における版画制作およびサンドビー作品研究に資する事例を提示することを目指す。
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