日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
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18 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 脇本 景子, 西岡 伸紀
    18 巻 (2010) 1 号 p. 3-13
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,児童期の子どもの給食時間における健康行動として,給食を残さず食べる行動(以下給食完食)と,食後のブラッシングをとりあげ,自己効力感に関する質問紙を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること,および行動変容段階との関係を知ることを目的とした.
    方法:2008年7月兵庫県内6市の公立小学校7校の5,6年生児童880名を対象に質問紙調査を行った.因子分析による項目選定の後,内的整合性,再検査による尺度得点の相関,検証的因子分析における適合度の確認により,尺度の信頼性と構成概念妥当性を検討した.また,尺度得点に関する一元配置の分散分析により,再カテゴリー化した行動変容段階との関係を調べた.
    結果:因子分析により給食完食6項目,ブラッシング4項目の自己効力感尺度が得られ,クロンバックのα係数は,給食完食が0.81,ブラッシングが0.81であった.再検査による尺度得点の相関係数(Pearsonのr)は,給食完食がr=0.84,ブラッシングがr=0.67(ともにp<0.01)であった.また,検証的因子分析後の適合度指標は,給食完食GFI=0.974,AGFI=0.961,CFI=0.966,RMSEA=0.055,ブラッシングGFI=0.981,AGFI=0.961,CFI=0.976,RMSEA=0.062であった.尺度得点に関する分散分析では,再カテゴリー化した行動変容段階の主効果が認められ(給食完食F(2/846)=155.16,ブラッシングF(2/791)=50.98,p<0.001),段階が後期に移行するにしたがって自己効力感が高くなる傾向が得られた.
    結論:作成した給食の完食とブラッシング行動に関する自己効力感尺度について,その信頼性と妥当性が確認され,本尺度の使用可能性が示された.また,行動変容段階との関係については,理論に合致した結果が得られた.
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実践報告
  • 上田 由喜子, 窪 紗耶加
    18 巻 (2010) 1 号 p. 14-23
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    目的 就労者の健康づくりには,定期的な健康教育が有効であるが,単回の指導でも行動変容が可能であるとされている.そこで,行動変容ステージ変化に着目した教室・教材融合型健康教育の有効性を評価することを目的とした.
    方法 事前調査に回答した就労者63名(20歳代~60歳代)に大学生協にて食事と運動に関する健康教育を実施し,その後無作為に教材介入群と対照群に振り分けた.教材介入群には,食事バランスガイドやエクササイズガイドに関する理解から望ましい態度形成のきっかけとなる通信教材を月に1回(計3回)配布した.解析対象は,事後調査の返信を得た40名(介入群17名,対照群23名)とした.
    結果 教材介入群では,介入前後で食習慣スコアの総得点,意識の高揚,環境的再評価,自己再評価,援助関係の得点に有意な差が認められた.しかし両群間においては,食習慣および運動習慣スコア,各変容プロセス得点,行動変容ステージ変化に有意な差は認められなかった.教材に50%以上取り組んだ者は,17名のうち10名であり,そのうちのほとんどが準備ステージ以降であった.実践できなかった者(7名)の多くは,時間がないことを理由にあげていた.
    考察 今回の教室・教材融合型健康教育は,健康に関心があり具体的な方法や情報を必要としている準備ステージの対象者には有効であると考えられた.
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総説
  • 衞藤 隆
    18 巻 (2010) 1 号 p. 26-31
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    カナダとスウェーデンにある2つのセーフティ(safety)と傷害(injury)の予防にかかわる世界保健機関(WHO)協同センターの協議によりセーフティを以下のように定義している.「セーフティとは,身体的傷害や心理的危害,また物質的危害などにつながるような様々な危険や状態が,個人や地域社会が健康でよい状態であることが保たれるように統制された状態である.それは,個人や地域社会が個々の願望を達成する上で必要な日々の生活に不可欠の資源である.」また,セーフティプロモーション(safety promotion)の概念については,以下のように説明されている.すなわち「セーフティプロモーションとは,安全の最適レベルに到達して,それを維持するのに必要な状態が存在し,しかもその状態を継続させることを確かにすることを目指した過程である」.
    セーフティプロモーション,ヘルスプロモーションは,いずれもおよそ1980年代にヨーロッパから提唱されて来た概念であり,それぞれ事故(傷害)予防,疾病予防からより包括的な概念に発展してきた.目標設定がセーフティプロモーションとヘルスプロモーションでは異なるものの,組織横断的な取り組みを重視することや,個人だけでなく環境や社会の関与や支援の必要性を説いている共通点がある.生活レベルに即して人々が理解し,実践出来るようにすることが大切である.セーフティプロモーションについては,地域における実践としてセーフコミュニティが提唱され,世界的に拡大している.
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  • 今井 博之
    18 巻 (2010) 1 号 p. 32-41
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    傷害(injury)は子どもや比較的若年の成人に多いので社会的損失が大きい.より若年の早死に焦点を当てたYPLL(損失生存可能年数)によると,傷害はガンや心疾患を凌駕する第一位の座を占めており,公衆衛生上の重要問題の一つである.
    かつて事故予防(accident prevention)と呼ばれていた分野は,今日では傷害制御(injury control)と呼ばれるようになった.その背景にはこの分野での過去数十年の進歩による概念の変遷がある.つまり,感染症制御モデルに倣った公衆衛生学的アプローチがその主軸となっている.
    傷害制御の基本的原理は,(1) Haddonマトリックスに示されるように,必ずしも事故の発生頻度を減らさないでも傷害の重症度を減らすことは可能であり,また,それらの対策には予防-介入-事後対策など包括的な実践が可能であるという考え方である.さらに,(2) 受動的-vs-能動的対策,(3) 3E(教育,工学,法制化)アプローチ,などの理解も不可欠である.本稿は,これらの基本的原理を解説することを主な目的とした.
    そしてさらに,近年発展をとげてきた行動科学的アプローチ(傷害氷山のエコロジカル・モデル,プリシード・プロシード・モデル,Haddonマトリックスの第3の軸)や,セーフコミュニティ運動が,傷害制御にどのように関わっているのかについても言及した.
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  • 白石 陽子
    18 巻 (2010) 1 号 p. 42-50
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    本稿では,世界レベルで急速に普及している,傷害予防を通して安全なまちをめざす「セーフコミュニティ(SC)」について理解を深めるために,その取り組みの誕生と世界の多様なコミュニティで導入されてきた経緯をたどった.そのうえで,現在の世界レベルでの展開の状況を整理し,SCが多様なコミュニティで導入される要因について考察を行った.研究方法としては,SC活動のこれまでの経緯についてはWHOおよび関連機関などによる報告書などの文献調査を行った.また,現在のSC活動の展開の状況についてはSC認証申請書から得た情報を分析した.その結果,明らかになったのは,SCの取り組みが誕生した背景には,新公衆衛生運動(ニューパブリックヘルス)の潮流の中でWHOが傷害を健康課題として認識し,その予防に着手した経緯がある.WHOは,傷害予防をコミュニティのレベルで推進するために,当時すでに傷害予防プログラムの実績を有していたスウェーデンのカロリンスカ研究所(医科大学)との協働によりSC活動モデルを構築した.コミュニティは,このモデルを導入することによって,環境や社会状況,安全課題が異なっていても,それぞれが有する社会資源を活用し,地域の実情にみあった方法により安全なまちづくりを推進するフレームワークを得ることができる.このSCモデルが包括的,体系的な安全向上のアプローチでありながら地域の実情に見合った取り組みを可能とする点が,先進国や発展途上国を問わず多くのコミュニティの注目を集め,また我が国においても新たな安全向上のアプローチとして関心が高まっている所以である.
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  • 反町 吉秀
    18 巻 (2010) 1 号 p. 51-62
    公開日: 2011/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文は,日本におけるsafety promotion(SP)とWHO Safe Community(SC)の概念及び実践の両者のプロセスを概説し,SC活動はどのようにして住民の安全を改善しうるのか,そしてそのための課題を論じることを目的としている.最初に,SP/SC概念導入の経緯について述べる.2002年のLeif Svanstrom教授の来日により,SP/SC概念は実際的に日本に導入された.保健所による市町村におけるSP/SC活動の支援を目的とする公衆衛生医師らによる研究グループと京都セーフコミュニティ研究会は,いずれも,2004年に設立され,SP/SCを概念の導入から,実践へとつなげる役割を果たした.次に,日本におけるいくつかの市町村,亀岡市,十和田市,厚木市におけるセーフコミュニティ活動実践プロセスについてアウトラインを示すと共に,それらの市町村の取り組みの異動について論じる.3市におけるSC活動は,その導入や推進のプロセス,重点領域等大きく異なっているが,いずれも,ヘルスプロモーションの3つの基本戦略であるadvocacy,enabling,mediationに基づいて進められたこと等,共通点も認められた.最後に,日本におけるセーフコミュニティ活動はいかにして住民の安全とQOLの改善に役に立ちうるかについて検討し,そのための課題について示す.
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