日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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19 巻 , 1 号
日本健康教育学会誌
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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巻頭言
原著
  • 尼崎 光洋, 森 和代, 清水 安夫
    19 巻 (2011) 1 号 p. 3-14
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,性感染症の予防行動意図尺度(Preventive Behavioral Intention Scale for Sexually Transmitted Infections:PBIS)を開発することである.
    方法:調査対象者は,第1調査では,大学生335名(男性177名,女性158名)であり,第2調査では,大学生422名(男性136名,女性286名)であった.調査内容は,安全な性行動に関する事柄を測定するSexual Risks Scaleから,性感染症の予防に対する行動意図に関する7項目を用いた.また,性感染症の予防行動として,性交時のコンドームの使用行動について回答を求めた.分析方法は,確認的因子分析,ステップワイズ因子分析,多母集団同時分析,単回帰分析を用い,Cronbachのα係数及びΩ係数を算出した.
    結果:PBISは1因子5項目であることが確認され,信頼性(α=0.829,Ω=0.829)と構成概念妥当性(GFI=0.996,AGFI=0.985,CFI=1.000,RMSEA=0.012)が確認された.また,PBISは.男女間において,因子構造と因子負荷量,観測変数の誤差分散が変わらないことが示された.さらに,単回帰分析の結果,PBISは,コンドームの使用行動を説明することが可能であることが示された(R2=0.321).
    結論:本研究で開発したPBISは,性感染症の予防に対する行動意図を測定する尺度であることから,性交や性的接触などの性行動を経験した大学生だけでなく,性行動を経験していない大学生をも対象とした性感染症の予防教育の効果を評価する指標として用いることが可能な尺度であると示唆された.
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  • 荒井 弘和, 小嶋 宏子, 山崎 由美
    19 巻 (2011) 1 号 p. 15-25
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,知的障害者が,1)身体活動を実施することの障壁,2)好ましい食行動を実施することの障壁,3)メタボリックシンドローム予防のための方策を探索的に検討する目的で行われた.
    方法:知的障害者の親または作業所職員59名に対する自由記述式質問紙調査を行った.内容分析は,川喜田二郎によって開発されたKJ法(「紙切れづくり」および「グループ編成」)を用いて実施された.3名の作業者(保健師2名と心理学者1名)が,知的障害者が身体活動または好ましい食行動を実施することの障壁,およびメタボリックシンドローム予防のための方策を集約した.
    結果:身体活動を実施することの障壁として12の下位カテゴリが,好ましい食行動を実施することの障壁としては10の下位カテゴリが,メタボリックシンドローム予防のための方策としては14の下位カテゴリが得られた.さらに,12の身体活動を実施することの障壁として「本人系(例,始められない)」「施設系(例,施設がない)」「関与者系(例,支援してくれる人がいない)」という上位カテゴリにまとめられた.また,10の好ましい食行動を実施することの障壁は,「本人系(例,食事のバランスが悪い)」と「関与者系(例,本人に食事について学ばせる機会がない)」という上位カテゴリにまとめられた.最後に,14のメタボリックシンドローム予防のための方策は,「食行動系(例,おやつを控える)」「身体活動系(例,歩く)」「食行動・身体活動以外系(例,記録を取る)」という上位カテゴリにまとめられた.
    結論:知的障害者のメタボリックシンドロームを予防するためには,行動科学的な分析結果をもとに,身体活動や好ましい食行動支援のための障壁を克服していくことが重要である.
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  • 溝下 万里恵, 赤松 利恵, 玉浦 有紀, 武見 ゆかり
    19 巻 (2011) 1 号 p. 26-35
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:体重管理のセルフエフィカシーによって分けられた成人男性のクラスターについて,属性,生活習慣,行動変容ステージの特徴を検討すること.
    方法:無記名自記式質問紙を用いた横断研究を行った.解析対象は男性518名であった.質問紙には,属性,体重管理のセルフエフィカシー,生活習慣,体重管理の行動変容ステージ,体重管理の知識,現体重の認識が含まれる.セルフエフィカシーの6つの下位尺度(入手可能性,社会的圧力,報酬,否定的な感情,空腹,リラックス)を用いてクラスター分析を行い,得られたクラスターごとの特徴を検討するためKruskal-Wallis検定,χ2検定と多重比較を行った.
    結果:セルフエフィカシーの下位尺度得点が全て高い群(高群),全て低い群(低群),平均点と近似している群(平均群)の3つのクラスターが得られた.低群のBMI(body mass index)(24.8kg/m2)は,平均群(23.7kg/m2)や高群(23.2kg/m2)のBMIより高かった(低群と平均群:p=0.004,低群と高群:p<0.001).また,既往歴がある者は低群(72.3%)の方が高群(54.7%)に比べて多かった(p=0.003).同様に,低群は生活習慣においても望ましくない傾向がみられた.
    結論:セルフエフィカシーが高いことは,成人男性において望ましい生活習慣,健康状態に関連すると示唆された.今後はセルフエフィカシーを高めるために講じる方法を検討していく必要がある.
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  • 井上 直子, 星 旦二
    19 巻 (2011) 1 号 p. 36-47
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:地域高齢者における身体・社会・精神的健康三要因と「閉じこもり」や「外出頻度」を反映する「外出能力」について,構造的にみた因果関係を明らかにすることである.
    方法:地域在住後期高齢者に対する郵送自記式調査による縦断研究である.要介護認定を受けていない75歳~79歳の2,941人を対象とし,2,430人(回収率82.6%)を基礎調査とした.3年後の2009年に追跡調査を行い,両調査に回答した1,758人を分析対象とし,共分散構造分析を行った.
    結果:探索的因子分析の結果より,「歩行筋力」「転倒リスク」「閉じこもり度」「外出頻度」と関連する潜在変数を『外出能力』(『』は潜在変数)と命名した.『外出能力』は,『精神的健康度』から直接的に規定され,『社会的健康度』は,『精神的健康度』から規定されるとともに『身体的健康度』を規定していた.『外出能力』は女性では『身体的健康度』から統計学的に有意に規定されたものの,男性は統計学的に有意差はみられずに,『精神的健康度』から強く規定されることが示された.
    結論:『外出能力』を規定する身体・社会・精神的要因との総合的な因果関係を構造的に分析すると,『外出能力』は,男女ともに『精神的健康度』が基盤となる可能性が示唆された.3年後の『外出能力』を規定するのは,男性では,『精神的要因』であり,女性は『身体的要因』であることが示唆された.
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実践報告
  • 山蔦 圭輔
    19 巻 (2011) 1 号 p. 48-56
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,非評価的感情体験に基づく心理教育プログラムを実施し,公的自己意識の低減効果を検討することであった.
    方法:専門学校男女学生,39名(男性15名;平均19.5(SD1.8)歳,女性23名;平均18.9(SD1.6)歳)の公的自己意識を調査した.調査結果を用い,公的自己意識高群―介入群・公的自己意識高―介入なし群(待機群)・公的自己意識低群(公的低群)に分類した.この内,公的自己意識高―介入群に対してプログラムを実施し,プログラム実施前後および実施後1週間の公的自己意識の変化を確認した.加えて,同様の測定段階で待機群および公的低群の公的自己意識の変化を確認した.
    結果:検討の結果,介入群において実施後の公的自己意識が有意に低減し(Z=2.44,p=0.015),実施後1週間の短期的効果が認められた(Z=2.26,p=0.024).一方,待機群および公的低群では,測定段階において公的自己意識に変化は認められなかった(待機群:x2(2)=0.45,p=0.0798;公的低群:x2(2)=1.72,p=0.424).
    結論:本プログラムを実施することで,高い公的自己意識が低減し,その効果は少なくとも実施後1週間持続されることが示された.
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資料
  • 會退 友美, 関口 沙織, 赤松 利恵, 長幡(伊藤) 友実, 松田 充代, 伊能 由美子, 藤原 葉子
    19 巻 (2011) 1 号 p. 57-65
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,栄養教育実習を引き受ける際,克服すべき課題の少ない者の特徴と課題が多い者が必要だと考えているスキルについて検討を行った.
    方法:2008年11~12月,東京都の栄養教諭と学校栄養職員1,627名を対象に自己記入式質問紙調査による横断研究を実施した.質問紙では,教育実習に関して克服すべき課題としてあらかじめ設定した9項目について,4段階評価で回答を得た.その後,対象者を「課題が多い群」,「課題が少ない群」の2群に分け,実習を引き受ける際の課題が少ない者の特徴を調べ,課題が多い者自身が必要と考えるスキルを検討した.
    結果:多変量ロジスティック回帰分析の結果,「課題が少ない群」には,栄養教諭免許を有している(オッズ比(OR): 1.51,95%信頼区間(CI):1.14- 2.01),15年以上学校栄養士として経験を積んでいる(OR:2.57,95%CI:1.95- 3.38),小学校で勤務している(OR: 1.38,95%CI: 1.04- 1.82)の3つの特徴がみられた.一方,「課題が多い群」は,授業を実践するスキル(p<0.001),学習指導案の立て方(p<0.001),食に関する指導(食育)の年間計画の立て方(p<0.001)などの教育的スキルを必要としていた.
    まとめ:学校栄養士として経験を積むこと,栄養教諭の資格を修得すること,小学校で勤務することは,栄養教育実習を引き受ける際の課題が少ないことに関連していた.本研究の結果から,栄養教諭免許取得の重要性を周知させること,学習指導案の立て方など,教育方法について学習する機会を提供するための支援の強化が必要であると考える.
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  • 中原 俊隆
    19 巻 (2011) 1 号 p. 67-70
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    本稿は,ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(International Union for Health Promotion and Education, IUHPE)の定義,組織及び構成を紹介した.日本は,北部西太平洋地域(Northern part of the Western Pacific, NPWP)に属し,筆者は2期6年においてNPWP会長を務めてきた.本稿は,2004年から2010年までのIUHPE及びIUHPE/NPWP活動についても記述し,特に日本の貢献について概括した.
    NPWP地域は,世界的に見ても発展が著しい地域である.今後この地域におけるヘルスプロモーション・健康教育活動を発展させていくためには,NGOや民間活動がさらに発展・深化していくことが期待される
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  • 守山 正樹
    19 巻 (2011) 1 号 p. 71-76
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    IUHPEはWHOと共に発展してきたNPOである.IUHPEの動向を見極めるために,WHO戦略の理解は必須であり,その出発点がWHO憲章前文の健康の定義である.わが国ではこの定義を1951年に和訳した際,英単語Completeが本来持つ二つの意味(完全な,完結した)のうち前者を採用し,半世紀以上,その定義を使い続けて来た.本稿前半では,その翻訳によって,英語とニュアンスとは異なった理解がなされ,その結果,日本における健康やヘルスプロモーションの理解と実践が,英語圏とは異なる独自の方向に展開された可能性を論じた.また後半では,日本に住む私たちが,また健康教育学会が,今後も世界に先駆けて,健康教育やヘルスプロモーションの分野で,情報を発信し続けるための方策について論じた.国際交流無しに,わが国の健康科学は存在し得ない.私たちと健康教育学会にとって,IUHPE,中でも身近なアジア諸国のダイナミックなヘルスプロモーションの動きを肌で感じられるNPWPは,将来への発展ための必須の場,舞台装置である.
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総説
  • 春山 康夫
    19 巻 (2011) 1 号 p. 77-82
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    本研究では,Health Impact Assessment(HIA)に関する概念,方法,内容,及び現状をレビューし,わが国の地域ヘルスプロモーションへの応用の可能性について検討することを目的とした.欧米ではHIAが取り入れられつつあり,これまでに報告されている151事例のうちその4割が健康都市に関する総合政策に用いられていた. 第20回IUHPE世界会議のワークショップでは, イギリス,スイス,カナダ及びオーストラリアのプレゼンテーターがHIAに関する内容を報告した.HIAは,地域ヘルスプロモーションのマルチレベルのツールとして,健康政策決定者への支援,健康格差への取組み,関係部門の連携,市民の参加などに積極的に関与していた.その一方,わが国の地域ヘルスプロモーションにおいてはHIAの活用に関する報告は殆ど無かった.
    わが国でより効率的効果的な健康政策を形成していくためには,国と地域においてHIAを用いることが重要な方法の1つである.地域で第一線の保健専門職は,政策決定者,専門家,住民の中心的位置にいることで,イニシアチブをとることが期待される.まずはHIAの基本的な手順と手法に従い日本の文化にあった具体的な方法をつくりあげ,実践的に活用することが大切であり,それによってHIAの実例を増やしていくことが重要である.
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  • 小林 敏生
    19 巻 (2011) 1 号 p. 83-88
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    本稿では,第20回IUHPE世界会議で発表された産業保健に関するセッションや演題を概観し,職域におけるヘルスプロモーション(HP)の現状と課題,および今後の方向性について考察した.
    本学会の職域のHPに関するシンポジウムである「産業保健における健康生成論的アプローチ」では,職域におけるHPの視点に立った包括的モデルや考え方として,健康生成論(Salutogenesis)と首尾一貫感覚(SOC)が議論された。その結果,それらのモデルに基づいたエビデンスが職域のHPの有力な理論やモデルを提供し得る可能性があり,今後は個人ならびに組織をターゲットとした介入研究の必要性が示された.
    近年,仕事に関連するポジティブで充実した心理状態で,活力,熱意,没頭によって特徴づけられる,ワーク・エンゲイジメントの概念が注目されつつあり,このポジティブ心理学的な考え方は,本学会で取り上げられた健康生成論的なHPの推進とオーバーラップするものであった.
    今後,職域におけるHPの推進において,個人だけでなく組織的なレベルでの健康生成論的,あるいはポジティブな健康への取り組みとエビデンスの蓄積が重要である.また,HPへの取り組みは,産業保健の専門家だけでなく,労働者や経営者と協働した取り組みが必要であり,その際には心理学,経営学,政策科学などの多様な専門家,さらには行政,公的・民間シンクタンク,健康コンサルタントなどが連携した持続的取り組みが重要となると考えられる.
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  • 野津 有司, 中山 直子
    19 巻 (2011) 1 号 p. 89-96
    公開日: 2012/11/17
    ジャーナル フリー
    本稿では,第20回IUHPE世界会議において発表された青少年の危険行動に関する研究を対象に,「実態の動向に着目したもの」,「危険行動の関連要因に着目したもの」および「介入評価に関連したもの」の3つの観点から概観し,今後の我が国および諸外国における危険行動研究のための示唆を得ることを目的とした.その際,現地で直接収集できた情報に加え,一部についてはその後に関係者へ問い合わせて詳細を確認したり調査票などを入手したりした.
    その結果を基に,我が国はじめ諸外国における危険行動研究の更なる発展に向けて,次のことが提言された.
    1)日本の青少年における危険行動の動向を把握するための全国調査の実施および継続的な全国調査を実現するためのシステムの確立が強く求められる.
    2)青少年の危険行動に関連する要因については,今後もより幅広く捉えて明らかにすることが求められる.また,包括的な危険行動に関する構造的要因モデルを構築する研究の推進も望まれる.
    3)青少年の危険行動に関する介入評価研究は,着実に成果が示されつつあるが,さらに実験デザインや長期的な追跡評価なども工夫して,より説得力のある研究成果の創出が期待される.
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