日本健康教育学会誌
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2 巻, 1 号
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  • ―一関係者からの提言―
    福渡 靖
    1995 年 2 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • ―CoopersmithのSelf-Esteem Invontory (SEI) ―
    河口 てる子, 川田 智恵子, 吉田 亨
    1995 年 2 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    日本版Coopersmithの自尊感情尺度 (Self-Esteem Inventory, SEIと略す) の信頼性と妥当性の検討を行なうため, 1455名の中学・高校生, および再検査法のため36名の中学2年生と49名の大学生を対象に集合調査による質問紙調査が行なわれた。
    妥当性に関して因子分析結果では, 「家庭―両親」「社会的自己―仲間」は, 抽出できているものの「一般自己」が5因子となり, 「学校―学業」は因子として見出せなかった。内容妥当性が検討された結果, この質問紙で測定する限りにおいては, SEIの各質問内容は, 構成定義に合致しており, また内容的に日本とアメリカとの文化的相違がほとんど問題にならないものであった。
    信頼性のうち内的整合性に関しては, Cronbachのα係数による検討を行ない, SEIのα係数は0.81であり信頼に足りるものであった。「学校―学業」「社会的自己―仲間」の2下位尺度は, α係数が低かった。再検査法による反復信頼性では, 中学2年生には4週間の間隔, 大学1年生には8週間の間隔をおいて, 2度同じ調査が行なわれた。SEIは, 中学生が信頼係数0.89, 大学生が0.81であった。また4下位尺度とも信頼性に足りる値を示していた。
    家族環境尺度 (EES) との関係の検討では, 家庭―両親との関係が理論的に一致しおり, 妥当性を支持する結果となった。
    以上の結果により, この尺度は十分な信頼性と妥当性があると判断された。しかし下位尺度に関しては, 再考の必要があると考えられた。
    〔日健教誌, 1995; 2: 3-14〕
  • 武田 文, 川田 智恵子, 吉田 亨
    1995 年 2 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    都市部の3~4カ月の乳児をもつ母親445名に関する調査結果から, 育児グループへの参加状況や活動実態, 参加者の生活や健康の状況について検討し, 以下の知見を得た。
    1.育児グループ活動への参加者は調査対象集団の1割程度で, すでに第1子がおりグループ参加期間は1年未満から3年未満の者が多かった。非参加者のうち, 約3割が入りたいと考えていた。
    2.参加者の多くは, 地縁を基盤に内発的に結成され, 週1回ないし月1回以上の頻度で公的社会施設あるいはメンバー宅に集まり, 行政や保健医療専門家との関わりをもたず, 親子遊び, 情報交換, 話し合いや相談などの活動を行い, メンバーはほぼ固定しリーダーがいるという, セルフヘルプグループ型の育児グループに参加していた。
    3.グループ参加者は非参加者よりも身体違和感や気力の低下が少なく, 隣近所とのつき合いが密接であり, 夫からの精神的サポートや義親や近所の人や友人からの育児に関わる手段的サポートをよく得ていた。また, 参加者はグループ活動が有意義だと感じ, 積極的な態度で参加しており, 今後も参加し続けたいと考えていることから, 育児グループ活動は, 地域における母親の持続的問題解決能力の一つになり得ると考えられた。
    4.育児グループに対する専門職からの援助として, 現在行われている外発的グループ育成だけでなく, すでに存在する内発的グループに対しても援助を検討することが必要と思われた。地域に所在する各グループに関する情報を収集し提供することや, グループの活動ニーズに応じて公的資源やスペース, 専門的知識や技術を提供することが望まれた。
    〔日健教誌, 1995; 2: 17-26〕
  • ―SOPHEならびにAAHEによる論理規定の検討―
    植田 誠治
    1995 年 2 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    健康教育の倫理的問題とりわけ健康教育者の倫理について検討することは, 健康教育の充実を図るうえで, また健康教育者の専門性を高めるうえで重要な課題である。
    本稿は, アメリカ合衆国における健康教育者の倫理規定に関する研究の動向, Society for Public Health Education (SOPHE) ならびにAssociation for the Advancement of Health Education (AAHE) による倫理規定の内容, ならびにわが国における倫理規定研究の展望, を明らかにすることを目的とするものである。
    1) SOPHEは1976年に初めて健康教育者の倫理規定を作成し, 1983年, 1993年にそれを改訂した。AAHEも倫理規定作成に取り組み, 1994年にSOPHEの倫理規定を発展させて「健康教育者のための倫理規定」を作成した。
    2) SOPHEの倫理規定 (1983) は, ・公衆との関系, ・同僚に対する責任, ・職業に対する責任, ・教育ストラティジィと教育方法を使用するうえでの責任, ・雇用者に対する責任, ・学生に対する責任, ・調査研究と評価における責任の7つの領域から成るものであった。また, AAHEの規定は, ・公衆に対する責任, ・職業の専門性に対する責任, ・雇用者に対する責任, ・健康教育をすすめるうえでの責任, ・研究と評価における責任の5領域から成るものであった。
    3) 健康教育者の倫理規定研究は資格制度確立の問題と相互補完的に進められる必要がある。ただし, わが国では各職種が健康教育者の役割を果たしていること等を十分に考慮せねばならない。また, 倫理規定に, 教育を受ける側の自己決定権と選択の自由あるいはインフォームド・コンセントあるいはインフォームド・チョイスの尊重を明示することや専門機関が合同で倫理規定を作成する必要性が示唆された。
    〔日建教誌, 1995; 2: 27-35〕
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