日本健康教育学会誌
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20 巻, 4 号
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巻頭言
実践報告
  • ―アロマセラピー・有酸素運動・筋弛緩法を用いて―
    上田 真寿美, 中田 智恵, 齊田 菜穂子, 堤 雅恵, 岡野 こずえ, 生田 奈美可, 木下 みゆき, 砂川 公美子, 亀崎 明子, 田中 ...
    2012 年 20 巻 4 号 p. 276-287
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    目的:現代,中年期以降の女性は従来とは異なるストレス環境下にある.ストレスや心身の不調を訴える者は増えているがストレス緩和やその実践方法に関する研究は少ない.このことから自分に合ったストレス緩和法を見つけ,実施できるようになる教育が必要である.そこで,本研究では自身でできるストレス緩和法(アロマセラピー,有酸素運動,漸進的筋弛緩法)を3か月間実施してもらい,実施前後のストレス指標の変化を検討した.
    方法:35歳以上の女性46名を対象とした自己選択によるストレス緩和法を用いた介入を行った.すなわち,対象者をストレス症状の程度や本人の希望を参考にアロマセラピー群(n=12),有酸素運動群(n=12),漸進的筋弛緩法群(n=12)及び対照群(n=10)に分けた.各々の緩和法は3か月間実施され,群間及び介入前後の諸指標の変化を比較した.評価は,簡略更年期指数(以下;SMI),Quality of Life SF 36v.2(以下;QOL),心理的ストレス反応尺度(以下;SRS-18),血液より白血球数,血小板数,好中球数,リンパ球数,単球数,唾液よりクロモグラニンAを用いた.
    結果:対象者の各緩和法の実施状況はアロマセラピー群の1名を除いて実施条件を満たしていた.SMIは筋弛緩群で介入により有意に低下した.QOLはアロマセラピー群で「全体的健康感」と「社会生活機能」,有酸素運動群で「身体の痛み」,「活力」,「日常役割機能・精神」,「心の健康」が介入前より介入後で改善されていた.SRS-18 は有酸素運動群で「無気力」が介入によって低下していた.血液中のリンパ球数が有酸素運動群で介入後に減少していた.
    結論:3か月間の緩和療法によって更年期症状やQOLは改善され,特に有酸素運動群,アロマセラピー群でその傾向が強かった.ただ,嗜好の個人差もあり,自身に合った方法を選択・実践することも必要であると示唆された.
  • ―社会的認知理論を活用したパネルシアター―
    會退 友美, 赤松 利恵
    2012 年 20 巻 4 号 p. 288-296
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    目的:社会的認知理論を活用した幼児の偏食に関する教材を開発した.本稿では,本教材の紹介とそれを用いた実践のプロセス評価を報告する.
    方法:2011年5月から7月,都内幼稚園3園の園児,児童館2館の幼児クラブに通う子どもとその保護者を対象にパネルシアターを実践し,プロセス評価を行った.パネルシアターのテーマは,「苦手な食べ物にチャレンジしよう!」とした.まず,親子を対象にパネルシアターを実施し,その後,保護者を対象にパネルシアターの内容を社会的認知理論に基づいて解説した.パネルシアターが終了後,その場で無記名自記式質問紙によるプロセス評価を実施した.
    結果:計135名の保護者がパネルシアターの鑑賞会に参加した.プロセス評価の結果,ほとんどの者が内容に興味深かった(97.0%),わかりやすかった(96.3%)と回答した.また,自由記述において,幼稚園の保護者では,偏食のプレッシャーが軽減したなど,教材に対する肯定的なコメントが得られた.また,行動技法に関しては,モデリングを取り入れたいというコメントが幼稚園の保護者で多かった.一方,児童館では,対象の子どもの年齢が2歳前後であったことから,集中力の維持が難しいという意見があった.
    結論:パネルシアター会参加者を対象に教材を用いた実践のプロセス評価を行った結果,教材に対して一定の評価が得られた.また,幼稚園の保護者から,偏食のプレッシャーが軽減されたという感想が寄せられ,教材として活用できる可能性が示唆された.
  • 新保 みさ, 赤松 利恵, 山本 久美子, 玉浦 有紀, 武見 ゆかり
    2012 年 20 巻 4 号 p. 297-306
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/21
    ジャーナル フリー
    目的:体重管理の誘惑場面における対策に関するカード教材「ベストアドバイザーFORダイエット」のゲーム編の実行可能性を検討すること.
    方法:2011年12月~1月,A市内で行われた健康教室の参加者68名を対象に,ゲームを実施し,その前後に無記名自記式の質問紙調査を行った.事前調査では誘惑場面(入手可能性,社会的圧力,リラックス,報酬,否定的感情,空腹;各下位尺度3項目,6段階)におけるセルフエフィカシー,体格,属性をたずねた.事後調査ではセルフエフィカシー,ゲームへの評価の他,感想や意見を自由記述で回答させた.事前と事後のセルフエフィカシー得点は男女および誘惑場面ごとにWilcoxonの符号付き順位検定を用いて比較した.
    結果:解析対象者は64名であり,女性が40名(62.5%),60歳代以上が25名(39.1%)だった.全体および男女別の全ての誘惑場面において,事後にセルフエフィカシー得点が有意に高くなった.例えば,全体でみると,空腹におけるセルフエフィカシー得点(最小値:3点,最大値:18点)の中央値(25,75パーセンタイル値)は事前が3.0(3.0,6.8)点,事後が7.0(4.3,10.0)点だった(p<0.001).自由記述では,自分では思いつかない対策があって発見があったなどの肯定的な意見や,慣れるまでに時間がかかるなどの指摘があがった.
    結論:ゲーム実施後,誘惑場面におけるセルフエフィカシーが向上した.ゲームの体験者の意見から,カード教材は楽しく学習できる教材であるが,ゲームの遊び方には難しい部分もあることが分かった.
特別報告
feedback
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