日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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21 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 星 旦二, 井上 直子, 湯浅 資之, 藤原 佳典, 高城 智圭, 高橋 俊彦, 櫻井 尚子
    21 巻 (2013) 1 号 p. 3-12
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:研究目的は,都市郊外に居住する高齢者を対象として,社会経済的要因と主観的健康感と生活習慣が,その3年後の年間の等価収入額に影響する因果構造を明確にすることである.
    方法:調査方法は,都市高齢者に対する郵送自記式質問紙調査である.初回調査は,2001年9月に東京都郊外A市に居住する在宅高齢者16,462人全員を対象として得られた13,195人(回収率80.2%)を基礎的データベースとした.3年後の2004年9月に同様な質問項目による追跡調査を実施し,85歳未満の8,162人を分析対象者とした.3年後の2004年の等価収入額を規定する,学歴,主観的健康感,生活習慣それに2001年の等価収入額との因果関係についてパス解析を用いて分析した.分析には,SPSS18.0JとAMOS18.0Jを用いた.
    結果:3年後の等価収入額は,男女ともに3年前の等価収入額と有意に関連していた.3年後の等価収入額を規定する総合効果と直接効果が最も大きいのは,3年前の等価収入額であった.学歴から2004年の等価収入額への効果は,男女ともに,学歴を基盤として,生活習慣や主観的健康感を経由する小さな間接効果が示された.本モデルは高い適合度が得られた.3年後の等価収入額の決定係数は,16~45%であった.
    結論:新しい健康支援活動では,学歴に規定される等価収入額が,3年後も関連していることに配慮することが期待される.内的外的妥当性を高める研究が,今後の研究課題である.
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  • 片山 祐実, 原田 和弘, 中村 好男
    21 巻 (2013) 1 号 p. 13-25
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:40~59歳の運動無関心者を対象に,ウォーキング情報を用いた介入方法と比較することで,趣味・余暇活動情報を用いた介入方法がプログラム応募率および準備性に及ぼす効果を明らかにすること.
    方法:本研究は,社会調査会社のモニターを対象にした介入研究である.対象者は,ベースライン時(T1)に運動行動変容ステージが無関心期に属する1,618人であった.対照群を少なく設定した比率に従って,対象者を無作為にウォーキング群683人,趣味・余暇活動群752人,対照群183人に分類した.ウォーキング群,趣味・余暇活動群には,8週間の携帯メールマガジンが配信された.T1 と8週後(T2)に質問紙調査を行い,運動行動変容ステージを評価した.携帯メールマガジンの配信希望者の割合をプログラム応募率とし,χ2 検定を用いて2群間で比較した.また,準備性に及ぼす効果に関して,T2 で運動行動変容ステージが関心期以上に移行した者の割合を,χ2 検定により対照群を含めた3群間で比較した.
    結果:プログラム応募率は,ウォーキング群において18.4%,趣味・余暇活動群において21.4%であり,有意差は認められなかった.一方,T2 において関心期以上へ移行していた者の割合は,対照群が24.5%,趣味・余暇活動群が49.6%,ウォーキング群が71.3%であり,ウォーキング群において最もステージ移行者が多かった(p<0.001).
    結論:趣味・余暇活動プログラムは,ウォーキングプログラムと運動無関心者のプログラム応募率は同程度である.一方,趣味・余暇活動プログラムは対照群よりも準備性を高めるものの,ウォーキングプログラムよりもその効果は劣ることが示唆された.
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短報
  • 猿渡 綾子, 木村 味佐紀, 西 佳奈, 重村 智栄子, 市川 寛, 神原 真規子, 金井 真弓, 浅野 弘明, 東 あかね
    21 巻 (2013) 1 号 p. 26-36
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:京都府中部地域において2型糖尿病予防のために,性格タイプを考慮した集団教育を行い,その効果を次年度健診結果で評価することを目的とした.
    方法:研究デザインは比較試験とし,2004,2006~2008年度健診の結果,軽度肥満を伴う糖代謝異常者を対象に集団教育を実施した.教育に参加し次年度健診を受診した34人,66.5(四分位範囲:7.3)歳を介入群とした.比較群は不参加者から介入群と性,年齢,地域をマッチさせ同数抽出した.3ヶ月間に5回の教室で食事・運動に関する講義や性格タイプ別グループワーク等を行った.介入群と比較群間,さらに介入群において性格タイプの外向的群(18人)と内向的群(14人)間で,介入前健診と1年後の健診の変化量を,性,年齢と介入前健診結果を共変量とし,共分散分析で比較した.
    結果:介入群では比較群に比べ,体格指数BMI(-1.3 kg/m2,p=0.02),収縮期,拡張期血圧(-7.5,-6.0 mmHg,p=0.05,p<0.01),HDL-コレステロール(7.7 mg/dl,p<0.01),外向的群では内向的群に比べ,中性脂肪が有意に改善した(-34.5 mg/dl,p<0.01).
    結論:性格タイプを考慮した集団教育の結果,介入群において1年後の健診でBMI,血圧,HDL-コレステロールが,さらに介入群の外向的群で中性脂肪が改善し,教育の効果が示唆された.
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  • 串田 修, 村山 伸子
    21 巻 (2013) 1 号 p. 37-45
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:野菜摂取行動に関する意思決定バランス尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討すること.
    方法:新潟市内の20の企業施設に属する20~59歳の成人男性勤労者を対象に,2009年9月に自記式質問紙調査を実施した.意思決定バランスは海外の既存尺度から項目選定し,野菜摂取行動に関するpros(恩恵)とcons(負担)各3項目について,重要度をたずねる6項目の尺度としてまとめた.尺度について,Cronbachのアルファを用い信頼性を,確証的因子分析により構成概念妥当性を,行動変容ステージとの関連性により基準関連妥当性を検討した.
    結果:回答が得られた600名のうち,527名(平均41.1歳)を解析対象とした.作成した意思決定バランス尺度は項目分析により4項目(pros 2 項目,cons 2 項目)に修正した.意思決定バランス尺度のCronbachのアルファはprosが0.76,consが0.74と各々一定の信頼性が確認された.また,モデル適合度を確認したところ概ね良好な結果が得られた(カイ2乗値=0.024,p=0.878,GFI=1.000,AGFI=1.000,RMSEA=0.000).行動変容ステージとの関連について,prosの得点は,前熟考期に比し準備期で有意な高値を示した(p<0.05).一方,consでは,前熟考期に比し準備期及び実行・維持期で有意な低値を示し(p<0.05),実行・維持期は熟考期に対し有意に得点が低かった(p<0.05).
    結論:作成した意思決定バランス尺度は尺度の内的整合性とともに妥当性も確認されたことから,男性勤労者を対象とした場合,一定の信頼性・妥当性を有することが示唆された.
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資料
  • 河村 洋子, Arvind SINGHAL
    21 巻 (2013) 1 号 p. 46-54
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:わが国におけるマスメディアの状況を鑑みると,健康医療を含む社会的課題についてマスコミ産業界と協働を進め,メディアアドボカシーの醸成を進めていくことが望まれる.エンターテイメント・エデュケーション(E-E)は人類が普遍的に活用してきた物語の力を,社会的な課題に対して戦略的に応用するものであり,協働の実現に向けて有用な手法である.本稿は開発途上国と米国などの先進諸国でも活用されてきたにもかかわらず,わが国では認知が低いE-Eの概念の理解を広げ,活用につなげていくための資料を提示することを目的とした.
    方法:E-E関連文献,2011年米国での学会報告を参考に,共著者であるArvind Singhalとのディスカッションと最近の英文論文を基に,定義,歴史と現状,研究についてまとめた.
    結果:1969年の『Simplemente Maria』に端を発し,主に開発途上国での実践と研究によりE-Eの方法論は積み上げられてきた.一方,米国などの先進諸国では,飽和状態にあるメディア環境に対応するように,E-Eの実践は発展してきた.近年のE-Eの実践は,ITの進歩により多様化している.
    考察:我が国のメディア環境を踏まえてE-Eの活用実効性の可能性は高く,特に地域メディアとの協働とデジタルゲームの活用においては大きく期待できると考える.効果検証研究の実施における難しさを否定できないが,対処策として複数種のデータを活用した多面的な研究デザインが有用であると思われる.
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特別報告
  • 深井 穫博
    21 巻 (2013) 1 号 p. 55-61
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:2011年8月に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された.また,都道府県においても条例制定の動きが広がり,その数はすでに半数以上に達している.このような口腔保健をめぐる施策とその方向性は,口腔と全身の健康を双方向にかつ包括的に捉えるものである.しかしながら,その実施体制と評価指標など課題も多い.
    内容:口腔保健の評価は,(1)健康教育,社会環境整備等の働きかけ,(2)口腔保健行動,(3)口腔疾患,口腔機能およびQOL(4)全身の健康への影響という枠組みで整理できる.これらの評価指標を多職種間で共有することが必要である.また,口腔保健のアウトカムを,全身の健康状態から捉えることによって,口腔保健に対する取り組みを一層推進していくことが可能となる.一方,歯科疾患および口腔機能の低下に関わるリスクは,生活習慣病(NCD)のリスクと共通するものが多い.これらへのアプローチは個々の健康教育の効果を相互に高め,保健医療資源の効率的な活用という点からも重要である.
    結論:口腔保健は,生命の保持と生活の質の確保に欠かすことのできない機能であり,生涯にわたる健康課題の一つである.口腔保健に関わる多領域が,その資源とプログラムおよび評価を共有するシステムと成果の蓄積が急務である.
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  • 大内 章嗣
    21 巻 (2013) 1 号 p. 62-69
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:2011年8月,「歯科口腔保健の推進に関する法律(歯科口腔保健法)」が公布・施行された.一方で,2008年7月に制定された「新潟県歯科保健推進条例」を端緒として,地方自治体で条例制定の動きが続いている.この背景には,成人・産業保健分野を中心に歯科保健対策の法的基盤が脆弱であるとの歯科関係者の問題意識とともに,誤嚥性肺炎の予防を始め,口腔の健康と全身の健康の関係に関する様々な知見が広く一般にも共有されてきたことがある.
    内容:現在の地域保健・健康増進対策に関する法体系の中で,地域保健法を始めとした各法律は,歯科保健をも対象として立法されており,歯科口腔保健法は,歯科口腔保健施策の総合的推進という観点から地域保健法・健康増進法と連携・補足する基本法的性格となっている.歯科口腔保健法では口腔の健康は国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしていると明記するとともに,他の関係施策・関係者との相互連携・協力による総合的な施策の推進,厚生労働大臣による基本的事項の策定等を規定している.2012年7月に相次いで告示された基本方針(健康増進法),基本指針(地域保健法)には,基本的事項(歯科口腔保健法)等の内容が反映されている.一方,新潟県に始まった条例制定の動きは,29道府県23市区町に広がり,今後も続くと見られる.
    提言:国民の口腔状況は大きく改善しているものの,う蝕の個人・地域間格差,糖尿病などの生活習慣病対策等との連携,在宅要介護高齢者等への対応など課題が多く残されている.歯科口腔保健法・条例の制定を契機として,健康で質の高い生活の実現という視点から,住民・幅広い保健医療福祉関係者を交えて真摯な議論を行い,地域のニーズに基づいた歯科口腔保健施策が一体的に展開されるようになることを期待する.
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  • 佐藤 徹
    21 巻 (2013) 1 号 p. 70-76
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:日本歯科医師会は,2005年に,「今後の歯科健診のあり方検討会」報告書を公表した.その提言の主旨は,健診の目的を疾患の早期発見・早期対処から,疾患のリスクを早期に発見し,そのリスクに対応した健康教育・保健指導を行うことへと転換するものであった.その後,2006年から2008年のモデル事業を経て,2009年に日本歯科医師会が,「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」(生活歯援プログラム)を作成した.
    内容:このプログラムは,成人期以降の対象者の口腔保健のアセスメントと目標設定,および保健指導のフォローアップという2段階で構成されている.個人の口腔保健のアセスメントは,口腔内状態,QOL,保健行動,環境等に関する20項目からなる質問紙を用いる.質問紙から判定された受診者の類型化に基づく保健指導を行い,自己決定の要素を取り入れた保健行動目標を設定する.フォローアップと評価は,歯科医療機関等で行い,保健行動と口腔内状況の改善を図る.
    結論:口腔保健に関する質問紙を用いたアセスメントと効果的な保健指導は,歯科医師,歯科衛生という歯科専門職以外でも行うことができる.本プログラムが,多職種に用いられ,普及することで,成人期以降の口腔保健状態が一層改善されていくことを期待したい.
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  • 佐々木 健
    21 巻 (2013) 1 号 p. 77-83
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:日本歯科医師会が提案する「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル(通称「生活歯援プログラム」)を適用した新しい成人歯科健診プログラムに取組み,その効果を評価した.
    方法:北海道内の29の事業所において実施した歯科健診を受診した者のうち,複数回の歯科保健指導を受け,その前後に2回の質問紙調査に応じた577人(19~64歳)の歯・口腔に関する自覚症状や口腔保健行動のデータを分析した.
    結果:口腔保健行動として,「歯みがき回数」は,1日の3回以上の者が29.7%から38.7%に,「歯間ブラシまたはフロス」を毎日使用する者は10.4%から20.6%に,それぞれ有意に増加した.また,歯・口腔に関する自覚症状として,「歯肉の腫れ」,「冷たいものや熱いものが歯にしみる」などが有意に改善した.
    結論:新しい成人歯科健診プログラムは,職域における成人歯科保健向上のために有用であることが示唆された.
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  • 安藤 雄一
    21 巻 (2013) 1 号 p. 84-91
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:歯の喪失は咀嚼機能と直結する.現状では年齢が高いほど歯の喪失が進んでおり,咀嚼機能に支障を来す人が多い.しかし,歯の喪失は加齢現象ではなく予防が可能である.
    内容:成人期以降のライフステージでは,歯の喪失による咀嚼機能低下が食品・栄養素摂取に影響を与えることが近年の研究から明らかになってきた.健常者については国内外の大規模調査より歯の喪失が適切な食品・栄養素摂取の阻害要因になることを示唆する横断分析結果が得られている.これらの調査結果から,歯の喪失が進んで口腔状態の悪い人たちは,硬い食品の咀嚼に支障を来し,これらの摂取を避けて炭水化物の豊富な食品を摂取し,栄養摂取バランスの崩れを来す,という流れが示唆される.虚弱高齢者では,口腔状態の悪化が低栄養のリスクなることが明らかになっている.また,低栄養のリスクは,口腔機能を高める介入により改善できることを示唆する研究結果も得られている.
    結論:口腔保健と栄養の関係者は,今後一層の連携・協働が必要である.成人期では,口腔状態の悪化が栄養摂取バランスの崩れを来し,各種疾患の発症リスクを高めるという考え方を基本にすべきと考える.高齢期においては「食べること」の支援を役割分担するという考え方が重要である.これらの連携・協働を図っていくためには,口腔保健と栄養の双方の関係者が共に利用できる評価指標を確立していくことが必要と思われる.
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  • 武見 ゆかり, 川畑 輝子
    21 巻 (2013) 1 号 p. 92-99
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:国の第2次食育推進基本計画の目標項目の1つに,「よく噛んで味わって食べる国民の増加」がとりあげられた.栄養と口腔保健の関係は,食育や健康づくりにおいて,一層深まる傾向にある.
    内容:食行動,食習慣および食物摂取状況が,口腔機能の発達や口腔の健康とどのように関連しているのかを,子ども,成人,高齢者について概説した.その結果,口腔保健と栄養の分野が一層連携・協働して健康教育やヘルスプロモーションを進めることの必要性を確認した.
    結論:最後に,栄養と口腔保健の架け橋をより強固なものとしていくために,3つの方策があることを提言する.第1は両分野の共同研究の一層の推進,第2は食育・保健指導・介護等の現場における両分野が連携した実践の推進とその実績を社会に示すこと,そして最後に両分野の専門職,すなわち歯科医師および歯科衛生士と管理栄養士・栄養士が互いに相手の分野や専門性について理解を深めることである.
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