日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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22 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 奥村 昌子, 後藤 ゆり, 新井 明日奈, 玉城 英彦
    22 巻 (2014) 1 号 p. 3-12
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:地域の教育行政に大きな影響力を持つ地方議会議員を対象に,彼らの性別役割分業意識からみたジェンダー視点と性教育に対する意識・関心との関連を明らかにすることを目的とした.
    方法:北海道・市町村議会議員全2,731人を対象として,無記名・自記式質問票を用いて,青少年の健康教育,特に性教育に対する意識と関心および性別役割分業意識について横断調査を実施した(回収率55.9%).性別役割分業意識に関する3項目(「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきだ」「男性も身の回りのことや家事をすべきだ」「母親が仕事をもつと小学校入学前の子どもによくない影響を与える」)へ否定的な回答ほど高得点になるように点数化し,ジェンダー視点の指標とした.議員のジェンダー視点から,彼らの性教育に対する意識と関心を性・年齢別に分析した.
    結果:82.3%の議員(男性81.0%,女性92.7%)は北海道での性教育やエイズ予防活動への関心を示した.男性では,性別役割分業意識に否定的な回答者,すなわちジェンダーに敏感な視点を持つ議員ほど,議会で青少年の健康問題について質問する傾向があり,またコンドームの配布や使用方法の実演など,より実践的な学校保健活動を支持していた.
    結論:議員のジェンダー視点は,性教育のような健康教育に対する彼らの関心度に影響し,議会での彼らの問題提起にも関連していることが示唆された.
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  • 上野 治香, 山崎 喜比古, 石川 ひろの
    22 巻 (2014) 1 号 p. 13-29
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:慢性疾患患者の服薬継続支援のため,患者の服薬遵守状況以外に医療従事者との関係性や日常生活状況を含めた服薬アドヒアランス尺度を作成し信頼性・妥当性を検討した.
    方法:文献検索,服薬が必要な慢性疾患患者及び処方医へのインタビュー結果をもとに項目を作成し,服薬アドヒアランス尺度を作成した.本調査では,複数の慢性疾患の患者会と病院外来でリクルートした薬物治療中の慢性疾患患者888名に自記式質問紙による横断研究を実施し,509名(有効回答率57.3%)を分析対象とした.
    結果:探索的因子分析の結果,4因子14項目が抽出された.確証的因子分析の結果,χ2/df=4.4,CFI=0.925,RMSEA=0.047であった.因子名は,「服薬における医療従事者との協働性」,「服薬に関する知識情報の入手と利用における積極性」,「服薬の納得度および生活との調和度」,「服薬遵守度」とした.クロンバックのα係数は,「服薬の納得度および生活との調和度」で0.55とやや低かったほかは,0.74~0.92で内的整合性は確認された.各下位尺度得点と併存妥当性の指標との相関は0.43~0.60で,併存妥当性は確認された.対象者の個人属性・特性と服薬アドヒアランスとの関連性については,既婚,大学卒以上,疾患種類別には,1型糖尿病,リウマチ性疾患群で有意に高く,2型糖尿病で有意に低いという結果がみられ先行研究との比較からも構成概念妥当性が推察された.
    結論:一つの下位尺度を構成する一部の項目に改善余地を残しながらも,本尺度は信頼性・妥当性が確認され使用可能性が示された.
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  • 松下 宗洋, 原田 和弘, 荒尾 孝
    22 巻 (2014) 1 号 p. 30-38
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:運動行動を促進する技法の1つとして,インセンティブを用いて動機づけを高める技法が注目されている.インセンティブを効果的に用いるには,インセンティブの内容(種類,金額)や,対象者の運動行動に対する準備性を考慮する必要がある.本研究の目的は,対象者の運動行動変容ステージとインセンティブの内容によって,運動行動を動機づける強さが異なるかを検討することである.
    方法:40~69歳のモニターを対象(N=1,290)にインターネット調査による横断研究を実施した.測定項目は,インセンティブの種類による運動行動の動機づけの強さ(以下,動機強化得点),インセンティブとして希望する相当額,運動行動変容ステージであった.
    結果:動機強化得点は,インセンティブの種類(p<0.01),運動の行動変容ステージ(p<0.01)により有意に異なり,両者の交互作用も有意であった(p<0.01).しかし,各行動変容ステージにおける動機強化得点の高いインセンティブは,現金,商品券,旅行券であり,順位に大きな変動はなかった.各行動変容ステージの運動取組動機率が50%に達するインセンティブ希望金額は,前熟考期が2,000円,熟考期が1,000円,準備&実行期が1,500円,維持期が500円であった.
    結論:運動行動を動機づける強さは,インセンティブの内容(種類,金額)や運動の行動変容ステージによって異なることが明らかとなった.今後は,本研究を基にしたインセンティブによる運動実践率向上の検証が課題となる.
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  • 山下 留理子, 荒木田 美香子
    22 巻 (2014) 1 号 p. 39-49
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:特定保健指導における保健指導の技術の経験,自信,修得意思について,保健師と管理栄養士で相違を明らかにし,両職種の技術の向上につながる研修への示唆を得ることである.
    方法:全国の自治体及び保健指導実施機関で保健指導に従事する保健師,管理栄養士(1,758人)を対象に横断調査を実施した.49項目の保健指導の技術の経験,自信,修得意思の程度と研修の参加状況等について,郵送による無記名自記式質問紙調査で尋ねた.有効回答率は40.8%で保健師503人,管理栄養士215人を分析対象とした.技術項目ごとにMann-WhitneyのU検定,χ2 検定,t検定を用いて,職種間で比較検討をした.
    結果:管理栄養士の方が「経験が少ない」と回答した割合が高かったものは,49項目のうち20項目あった.「健診・保健指導事業の企画・立案・評価技術」の領域で,すべての技術において経験が少なかった.保健師の方が「自信なし」と回答した割合が高かったのは,「栄養学および食事摂取基準,関連学会ガイドラインの食事療法を理解して活用する」等16項目であった.また,保健師の方が「経験は多いが自信なし」と回答した割合が高かった技術は19項目あった(p<0.05).
    結論:保健師と管理栄養士の保健指導の技術において,経験,自信,修得意思に職種間の相違がみられた.また,保健師の方が経験は多いが自信がないと回答した技術項目が多かった.
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短報
  • 庄司 雅紀, 恩田 光子, 岡田 浩, 田村 啓, 西田 桂大, 東浦 崇光, 荒川 行生, 坂根 直樹
    22 巻 (2014) 1 号 p. 50-56
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:薬局薬剤師が2型糖尿病患者から受ける質問内容を精査し,患者のニーズに対応した服薬指導を実践するための課題を考究する.
    方法:2011年5月と11月,筆者らが実施した2型糖尿病患者の療養支援研究に参加した薬局薬剤師を対象として記述研究を行った.主な調査項目は,回答者属性(年齢,性別,職制),薬局で2型糖尿病患者からよく聞かれる質問内容(以下“質問内容”とする)とした.質問内容は頻度が高い上位3つを上限として自由記述方式で回答を求めた.質問内容について,SPSS Text Analysis For Survey 3.0Jを用いテキストアナリシスを行った.視覚化にはWebグラフを採用した.
    結果:139名の薬剤師(男性48名,女性83名,無回答8名)から回答を得た(回収率100%).回答者の年齢は20代(44.7%)が最も多く,30代(37.1%),40代(12.9%)と続いた.質問内容では366項目の回答が得られた.テキストアナリシスの結果「どのようにすれば」,「食事」,「検査値」,「薬」,「続けるのか」等16個のカテゴリが得られ,記述内容の75.1%をカバーできた.またWebグラフから,「食事-どのようにすれば-良い」,「薬-用法-どのようにすれば」,「薬-一生-続けるのか」等のカテゴリ間の関係が確認された.
    結論:2型糖尿病患者が薬局薬剤師に対して行う質問は“治療”,“生活習慣”,“不安”の3つに大別できた.薬剤師は2型糖尿病患者に対し,精神的な支援や生活習慣を含む包括的な支援が必要であると示唆された.
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特別報告
  • 衞藤 隆
    22 巻 (2014) 1 号 p. 57-58
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
  • 岡田 加奈子
    22 巻 (2014) 1 号 p. 59-62
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    本稿では,特に2011年以降のヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)/北部西太平洋地域(NPWP)の動向について,紹介する.IUHPEでは理事会組織体制を改変し,より活発な活動を目指している.3年に1度行われるIUHPE総会やアジア太平洋ヘルスプロモーション・健康教育学会(Asia-Pacific Conference on Health Promotion and Education: APHPE)への日本を含めたNPWP地域からの参加者・発表者は多い.今後は,会員数の増大を図ることが課題である.
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  • 蝦名 玲子
    22 巻 (2014) 1 号 p. 63-68
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:第21回IUHPE世界会議のメインホストを務めたアジア太平洋地域初のヘルスプロモーション・ファンデーションであるThaiHealthの設立としくみ,原則と活動内容,評価方法を概観することを目的とした.
    方法:ThaiHealthでの受講内容を基に,IUHPE世界会議中の発表やインタビュー,関連書籍やウェブサイトにより情報を補い解説した.
    結果:ThaiHealthは2001年に,タイ・ヘルスプロモーション・ファンデーション法により設立された.首相(現在は財務大臣でもある副首相)の管理監督下にある政府機関であるものの,官僚制度のなかには位置づけられていないという特徴を持つ.持続可能な財政システムにするために,たばことアルコールには物品税に加えて2%が生産者から追加徴収され,その追加分がThaiHealthの活動費として分配される.独立した評価委員会が設けられており,責任,透明性,効率の3側面から活動が評価されている.ThaiHealthでは,健康面からみた評価の他に,Social Return on Investment (SROI) という分析手法を用いて,ヘルスプロモーション活動の費用効用を明確にしている.活動としては,健康を支援する公共政策の策定,課題に基づいたプログラムの構築,ホリスティックなアプローチに力を入れており,価値観,ライフスタイル,社会環境を変えることで,国民の健康状態の改善を促すという特徴がある.
    結論:今後,我が国のヘルスプロモーションをさらに発展させていくうえで,ThaiHealthの,特にしくみと評価方法は有益な示唆を与えるものである.
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  • 戸ヶ里 泰典
    22 巻 (2014) 1 号 p. 69-75
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:近年のIUHPEにおいて健康生成論(salutogenesis)とsense of coherence (SOC) に関する研究は一つの大きなトピックとなっている.そこで,第21回IUHPE世界会議における健康生成論とSOCに関する報告を整理・俯瞰し,当該領域における研究の動向と課題を探ることを本報告の目的とした.
    方法:第21回IUHPE世界会議における健康生成論とSOCに関する各報告について,関連するシンポジウムおよびsub-plenaryセッションとその概要,一般演題における報告の概要と特徴,それ以外でみられた報告の概要と特徴,のそれぞれの観点で整理した.
    結果:「Salutogenesis」関連の報告は8月26日の一日に集約されており,その名を冠するものはsub-plenaryセッション「健康生成論的アプローチにより非感染性疾患を減少させるために」1件と,社会的少数集団におけるSOCの検討に関するシンポジウム1件にとどまった.ただし,セッションタイトルにはないものの,ヘルスリテラシーに関するセッション,およびcapacity building,ヘルスプロモーション研究に関するセッションなどの中で報告が見られた.
    考察:全体として健康生成論やSOCに関する報告は,単独セッションよりもヘルスリテラシーをはじめとした各分科会の中でみられ,IUHPEにおいては基礎理論の一つとして明確に位置づけられていた.欧州連合諸国のように,我が国におけるヘルスプロモーション・健康教育学領域において,健康生成論・SOCに関する研究・取組の位置づけを明確化していく必要性が伺われた.
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  • 中山 和弘
    22 巻 (2014) 1 号 p. 76-87
    公開日: 2015/01/13
    ジャーナル フリー
    目的:2013年のInternational Union for Health Promotion and Education(IUHPE)の国際会議における,ヘルスリテラシーのセッションについて紹介する.
    結果:健康情報に基づいた適切な意思決定が困難な人々を支援するためのツールとして,ヘルスリテラシーの測定尺度が必要とされている.より包括的な新しい尺度が紹介され,それらはヘルスリテラシーの定義に個人だけでなく広く社会を含めた形で開発されていた.それは,ヘルスリテラシーが,ヘルスケアと多様化する現代社会のギャップを埋めるうえで重要だからである.とくにEuropean Health Literacy Survey (HLS-EU)に関連した報告では,ヘルスリテラシーに社会格差のあることが指摘され,健康格差の是正と公平のために,その測定と介入を進める必要があるとされた.ヘルスリテラシーは,読み書きなどのリテラシーと同様に,エンパワーメントの問題ととらえられていて,世界中で対象のヘルスリテラシーに合わせた様々なコミュニケーションの取り組みが始まっていることが確認できた.
    結論:ヘルスリテラシーは,ヘルスプロモーションにおける1つのコア概念であり,これまでの多くの関連概念に公平という概念を加えた“アンブレラターム(様々な概念を傘の下に入れた言葉)”でもあるという見解が示された.それはまた,測定して変えられる健康の社会的決定要因の一つでもであると捉えられた.
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