日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
23 巻 , 4 号
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巻頭言
総説
  • 會退 友美, 衛藤 久美
    2015 年 23 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    目的:共食行動と健康・栄養状態ならびに食物・栄養素摂取との関連について国内の研究動向を把握すること.
    方法:発行年は2001年~2011年までとし,データベース検索では,CiNiiと医学中央雑誌を用いて「共食OR孤食OR(家族AND一緒AND食事)」で検索した.ハンドサーチでは,日本健康教育学会誌,栄養学雑誌,日本家政学会誌の3誌を対象とした.表題,抄録,本文を精査し,採択基準を満たす20件を採択した.
    結果:全ての研究が横断研究であり,最も多い研究対象者は学童・思春期の11件であった.共食行動の調査項目で最も多かったのは,共食頻度(回数)をたずねた論文11件であり,回答の選択肢は1週間単位の頻度であった.全ての採択論文を分析した結果,食行動と健康・栄養状態の関連では,体格との関連はなかったが,共食頻度と良好な精神的健康状態には正の関連がみられた(6件/7件).食物・栄養素摂取との関連では,共食頻度とよい食事内容の間には正の関連があった(3件/3件).その他,健康的な食品の摂取頻度(3件/6件),食事の質と正の関連がみられた(1件/1件)が,栄養素と関連はみられなかった(0件/1件).
    結論:共食頻度と,良好な精神的健康状態および健康的な食品の摂取頻度には正の関連がみられた.しかし全ての報告が横断研究であり,子どもを対象とした報告が多かったことから,今後縦断研究も含めた国内での研究の積み重ねが必要である.
原著
  • 冬賀 史織, 山川 千絵, 吹越 悠子, 赤松 利恵
    2015 年 23 巻 4 号 p. 290-298
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    目的:1年間の食べる速さの変化と,体格・身体検査値の変化との関連を検討した.
    方法:2009年度,2010年度に特定健診を受診したA健康保険組合員の2年度分の属性,標準的な質問票の回答,身長,体重,検査値の横断調査結果を解析した.質問票の項目「人と比較して食べる速度が速い」に対し,2009年度に「ふつう」または「遅い」と回答し,2010年度も同項目に回答した1,794名(男性825名,女性969名)を解析対象者とした(適格率47.2%).2010年度に食べる速さが「速い」と回答した者を変化群,「ふつう」または「遅い」と回答した者を継続群とし,属性,生活習慣変化を比較した.継続群,変化群の2009年度から2010年度にかけての検査値変化量を,年齢,2009年度の生活習慣,検査値結果を調整し,共分散分析を用いて比較した.解析は男女別に行った.
    結果:1,651名(92.0%)が継続群,143名(8.0%)が変化群であった.継続群,変化群の平均年齢(標準偏差)はそれぞれ41.0(8.0)歳,40.0(9.4)歳であり,変化群のほうが低かった(p=0.007).共分散分析の結果,男性では,変化群の方が継続群より,BMI,腹囲の増加量が大きかった(BMI:p=0.020,腹囲:p=0.003).女性も男性同様,変化群の方が継続群より,BMI,腹囲の増加量が大きかった(BMI:p=0.002,腹囲:p=0.002).
    結論:1年間で食べる速さが速くなることは,男女ともに,BMI,腹囲の増加と正の関連が認められた.
実践報告
  • 石井 香織, 高橋 亮平, 青柳 健隆, 間野 義之, 岡 浩一朗
    2015 年 23 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は休み時間に用具を提供することによる小学校児童の身体活動への効果を検討することである.
    方法:介入校(n=39)及び統制校(n=59)の各1校の小学校に在籍する5年生合計98名(男子63名)を対象とし介入研究を行った.介入校にはバレーボールや楕円球などのボールを用具として提供した.身体活動の測定には加速度計を用い,用具提供前とその3ヵ月後に測定を行った.業間休み,昼休み,平日1日の座位行動,低強度身体活動,中等度身体活動,高強度身体活動を評価した.介入校と統制校における用具提供3ヵ月後の身体活動の差を検討するため,性,BMI,用具提供前の身体活動を共変量とした共分散分析を行った.
    結果:分析対象者は,介入群では業間休みが23名(男子13名),昼休みが25名(15名),1日全体では18名(男子10名),統制群は業間休みが41名(男子28名),昼休みが42名(29名),1日全体では37名(男子26名)であった.業間の休み時間において,介入群は統制群と比較し,有意に座位行動[F(1, 62)=7.70;p=0.01]及び高強度身体活動の割合[F(1, 62)=6.31;p=0.02]が低く,低強度身体活動の割合[F(1, 62)=28.73;p<0.01]が高かった.昼休みでは,介入群は座位行動の割合[F(1, 65)=18.36;p<0.01]が低く低強度身体活動の割合[F(1, 65)=17.11;p<0.01]が有意に高かった.また,1日全体では介入群の方が統制群よりも有意に中等度身体活動の実施割合[F(1, 53)=5.06;p=0.03]が高かった.
    結論:休み時間に使用できる用具を提供することは,身体活動レベルの高さに影響を与えていた.本研究より,用具の提供は休み時間及び1日の身体活動促進に貢献することが示された.
特別報告
  • 島内 憲夫
    2015 年 23 巻 4 号 p. 307-317
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    筆者の教育講演の焦点は,次の10点にある.①オタワ憲章設立前夜1980年代前半の動き,②オタワ憲章とバンコク憲章の特徴と相違,③健康の社会的決定要因(SDH),④Kickbuschの構想~健康教育からヘルスプロモーションへ~,⑤著者の日本でのヘルスプロモーション推進戦略,⑥人々の健康の捉え方,⑦健康はどこで・誰によって創られているのか,⑧健康格差社会の切り札,⑨幸福な生き方を支えるヘルスプロモーション,⑩ヘルスプロモーション哲学.
    ヘルスプロモーション活動は,人々の健康課題を共有し,解決し,共に推進することに焦点を置いている.その理由は,「健康は共に生み出すものだ」と考えているからである.それゆえ,分野間協力・住民参加等の人々の協働を必要としている.この協働は,人類が経験したことのないワクワクするほどの価値がある活動であり,人間性復活への活動(健康のルネサンス)であり,健康格差時代を力強く生き抜くための知恵なのである.
    21世紀を生きる我々人間は,未来をコントロールし,人生をあらゆる面において豊かなものとする,かつてないチャンスを与えられている.だからこそ,我々人間は自分の能力を全面的に発揮し人生を楽しみながら,世界のすべての人々と共にヘルスプロモーション活動を実践しなければならない.
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