日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
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27 巻, 3 号
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巻頭言
システマティックレビュー
  • 喜屋武 享, 高倉 実
    原稿種別: システマティックレビュー
    2019 年27 巻3 号 p. 229-245
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    目的:教科学習中の学習を伴う身体活動介入(active lesson program,以下,ALP)の質を評価し,介入による身体活動,体格,健康指標,学業への有効性に関するエビデンスを更新すること.

    方法:2015年4月から2018年8月に公刊された学術論文を5つの電子データベース(ERIC, PubMed, Science Direct, Cochrane Library, EMBASE)より選定した.選択基準は1)身体活動と学習内容の双方が含まれた授業であること,2)身体活動量,体格,体力要素,学業成績,学習行動促進要因を介入効果指標としていること,3)ランダム化比較試験,準実験デザイン研究,前後比較研究のいずれかであること,4)5歳~18歳の児童生徒が対象であること,5)介入期間が少なくとも1週間以上であること.学習内容が含まれない身体活動小休止,複合的な介入の一部として実施されたALP,特異的な集団(肥満児や障がい児)を対象とした研究は除外した.研究のバイアスリスクは,the Cochrane Collaboration “risk of bias” assessment toolを用いて評価した.

    結果:10研究が採択・除外基準に適合した.そのうち,6研究は身体活動と学業の双方を,3研究は学業のみを,1研究は身体活動のみを評価した.10研究のうち2研究は,ALPと有酸素運動による小休止を比較したのに対し,その他は身体活動を伴わない授業を対照群として設定していた.全ての研究でALP後の身体活動量の増加を認めた.身体活動を伴わない学習と比較した場合,ALPの標準学力テストに対する積極的効果を示した研究は2研究あったが,その他の研究は群間の差を示さなかった.学習行動促進要因の1つである課題従事行動を評価した4研究が,ALPの積極的効果を示した.バイアスリスクは低程度から高程度であった.

    結論:研究デザインの質は改善しているものの,バイアスリスクは高い.総じてALPは学力を阻害することなく身体活動を促進させることのできるプログラムであるといえるものの,健康指標への有効性について言及するためには更なる検討が必要である.

原著
  • 坂本 達昭, 細田 耕平, バズビートリニティー さくら, 早見(千須和) 直美
    原稿種別: 原著
    2019 年27 巻3 号 p. 246-255
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    目的:食事中のスマートフォン等の利用頻度および食事中にスマートフォン等を利用しないルールの有無とその遵守状況と家の食事の楽しさとの関連を検討すること.

    方法:熊本県と福井県の高校1・2年生1,897名に調査を依頼した(横断調査).調査内容は,属性,家の食事の楽しさ,共食頻度,食事中のスマートフォン等の利用頻度,食事中にスマートフォン等を利用しないルールの有無とその遵守状況である.回答者1,813名から無効回答等を除外し,残った1,718名を解析対象とした.従属変数を家の食事の楽しさ,独立変数を食事中のスマートフォン等の利用頻度,食事中にスマートフォン等を利用しないルールの有無とその遵守状況として,ロジスティック回帰分析を行なった.モデル1は調整変数を投入せず,モデル2は属性,モデル3は属性と共食頻度を調整変数とした.

    結果:モデル3において,食事中にスマートフォン等を利用しないルールがあり守っていること(男子:調整オッズ比2.24,95%信頼区間1.37-3.65,女子:調整オッズ比1.69,95%信頼区間1.13-2.54)は,家の食事の楽しさと関連していた.女子のみ,食事中にスマートフォン等をほぼ毎日利用していることと食事の楽しさには負の関連が認められた.

    結論:男女ともに食事中にスマートフォン等を利用しないルールがあり守っていることは,家の食事の楽しさと関連していた.

  • ―労働者における運動継続への行動変容アプローチに関する研究―
    江口 泰正, 井上 彰臣, 太田 雅規, 大和 浩
    原稿種別: 原著
    2019 年27 巻3 号 p. 256-270
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    目的:忙しい労働者における,運動継続が出来ている人の特性について,特に運動継続の理由・動機に着目して探索的に明らかにし,新たな行動変容アプローチに関する示唆を得ることを目的とした.

    方法:労働者に対して運動実施状況や運動継続の理由等について質問紙による横断的調査を実施し,1,020名から回収できた.無効なデータ等を除いた最終的な分析数は521名分であった.継続理由の強さを1~5点に得点化し,平均値を運動継続群と非継続群で比較した.また継続理由を因子分析した.

    結果:労働者における運動継続者の継続理由の上位[推定平均値(SE)]には,体力向上[4.02(0.12)],体型維持[3.98(0.13)]や健康への好影響[3.90(0.12)]など,健康への利益が多かったが,非継続者も上位は同様で,得られる利益について認識していることが明らかになった.次に継続理由の因子として「楽しさ・高揚感」「依存・自尊」「外観・陶酔」「健康利益」「飲食的充足」の5つが抽出された.このうち運動継続者に見られる顕著な特性として「楽しさ・高揚感」の重要性が示唆された.また「飲食的充足」は,非継続者の方が継続者より有意に得点が高かった.

    結論:労働者における運動継続への動機として「楽しさ・高揚感」が最も重要であることが示唆され,この因子に対する良いフィードバックが継続へのアプローチとして有効となる可能性がある.

実践報告
  • 吉村 喜代美, 赤松 利恵, 吉村 悦郎
    原稿種別: 実践報告
    2019 年27 巻3 号 p. 271-281
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    目的:高齢男性が講師役を務める同性代の男性を対象とした料理教室を開催した.本稿ではその教室の内容を報告するとともに,受講生の本料理教室に対する評価と,講師役の意識変化を検討した結果を報告する.

    活動内容:2017年1月,H市社会福祉会館にて活動している男性料理倶楽部会員8名(平均年齢72.0歳)が講師役となる料理教室を開催し,男性16名(平均年齢68.1歳)が受講した.受講生に対しては質問紙調査,講師役に対しては質問紙調査および料理教室開催前後のグループインタビュー調査を行った.さらに会食時における双方の自由発言を記録し分析した.

    結果:受講生参加動機では,「今後必要だと思ったから」と「男性による料理教室に興味があったから」が参加者総数16名の内の80%を超えていた.教室の内容や男性講師については90%近くが高評価であり,教室が再開催した場合の参加希望は100%であった.受講生から男性講師役に対しては「同性ならではの共感」,「同じレベルゆえのメリット」などのカテゴリが抽出され,講師役からは「自覚の芽生え」,さらに双方から「今後への意欲」が見られた.

    結論:高齢男性が講師役となって実施した料理教室は,受講生,講師役双方の調理への関心を増加させることが示唆された.また,再開催の要請もあり,今後も継続し発展していく可能性も示唆された.

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