F市保健推進員活動の継続経験が与える保健行動と,家族や地域へのはたらきかけの影響を明らかにするために,保健推進員と非保健推進員を対象にして,保健推進員を1-2年の者,3-6年の者,7年以上の者に分け,非保健推進員との比較を試みた。その結果,以下のことが明らかになった。1.年齢および主観的健康感年齢については有意な関連が見られ,活動経験のない非保健推進員がもっとも若く,活動経験年数が長くなるにつれて年齢も上昇していた。主観的健康感については有意な関連が見られ,非保健推進員は7年目以上の保健推進員に比べて主観的健康感が有意に高かった。2.保健行動スコア,家族および地域への働きかけスコア対象者の4群間で,保健行動,家族およひ地域への働きかけのそれぞれのスコアについて検討した結果,保健行動スコアは4群間で有意な関連が見られ,非保健推進員が最も低く,次に3-6年の者,1-2年の者,7年以上と高くなっていた。地域への動きかけスコアは,非保健推進員,1-2年の者,3-6年の者および7年以上の4群間に有意差があり,経験を積み重ねることで地域への動きかけスコアが高くなっていた。家族への働きかけスコアは,4群間で有意な関連は見られなかったものの,保健推進員の各群の家族への働きかけスコアの平均は,非保健推進員にくらべて高かった。
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