日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
29 巻 , 2 号
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巻頭言
第29回日本健康医学会総会における特別講演のまとめ
  • —日本における経験と世界の現状—
    島 正之
    2020 年 29 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    わが国では高度経済成長期に多くの工業都市で二酸化硫黄(SO2)などによる大気汚染が社会問題となり,四日市喘息に代表される深刻な健康被害が発生した。こうした大気汚染の健康影響を評価するために多くの疫学研究が実施され,その知見は大気汚染防止対策を進める上で重要な役割を果たした。種々の大気汚染防止対策の効果により,1970年以降は工場に由来する大気汚染は改善したが,代わって自動車交通量の増加に伴って自動車排出ガスへの曝露による喘息の増加などの健康影響が問題となった。これに対しても,自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス規制が進められ,改善傾向が認められている。近年は,微小粒子状物質(PM2.5)及び光化学オキシダント(主にオゾン)による大気汚染が問題となっており,人に対して呼吸器・循環器系だけでなく様々な健康影響を与えることが懸念されている。これらの汚染物質は大気中で二次的に生成されるものや越境汚染に由来するものなど,発生源が多様であり,広域的な汚染を引き起こしている。現在の大気汚染は地域的な問題ではなく,地球規模の問題となっており,改善するためには国際的な取り組みが必要である。

  • 吉益 光一
    2020 年 29 巻 2 号 p. 130-141
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    注意欠如多動性障害(ADHD)は児童・思春期だけではなく,成人期においても職場での問題などから,大きな社会的関心が寄せられるようになっており,自閉症と並んで児童期から成人期に至る発達障害の双璧をなしている。病因は極めて多彩かつ複雑であり,遺伝要因,自然環境要因,心理社会的環境要因の全てが関与する先天性の,ないしは幼児期早期に基本的病像が確立される多因子疾患と捉えることができるが,要因相互間の関連性もこの疾患の臨床像の正確な把握を困難にしている。さらに最近の研究により,精神疾患,身体疾患ともに多彩な併存障害を有することが明らかになっており,特に精神科領域においては,併存障害が受診のきっかけとなることもある。さらに忘れてはならないのが,ADHDという病態像をめぐる歴史的な認識の変遷であり,多分に時代ごとの社会的関心や価値基準の影響を受ける病態像において,ADHDという単一類型(カテゴリー)に拘泥して,遺伝要因や環境化学物質を含む種々の生物学的要因を探索しても方法論的に限界があることにも留意する必要がある。本稿ではこのような点を踏まえつつ,主として遺伝要因と環境要因の関係性の視点から,ADHDの疫学と病態について論じた。

総説
  • —重症化予防セルフケアの必要性—
    香月 毅史, 佐藤 千史
    2020 年 29 巻 2 号 p. 142-152
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    目的:COVID-19の病理と対処法に関する最新の知見を基に,2次予防の必要性と可能性を検討した。

    方法:2020年4月4日現在のデータベース「医学中央雑誌」,「MEDLINE」を使用して関連文献の検索を行った。COVID-19の病理と対処法に関する文献を対象とした。検索キーワードは,「コロナウイルス急性呼吸器疾患(2019-nCoV) and 免疫 and 治療」とした。

    結果:医学中央雑誌の検索結果は0件,MEDLINEの検索結果は32件であった。サイトカインストームを中心としたCOVID-19の病理の概要を伝えるもの,免疫力の調整を中心とした治療法を検討しているもの,治療法としてモノクローナル抗体を検討しているものなどが中心であった。

    考察:検討した文献の知見から,COVID-19 の病理の一端には免疫機能の過剰反応が含まれていること,ウイルスが体内に入った後でも重症化を防ぐ手立てがあることが示された。社会的不安を軽減するために効果的な2次予防のためのセルフケア対策が急がれる。

原著
  • 佐久間 夕美子, 佐々木 晶世, 佐藤 千史
    2020 年 29 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    本研究は,チェアヨーガプログラムのDVDが軽費老人ホーム(以下,ケアハウス)に入居する高齢者女性の身体機能への影響を検討することを目的とした.千葉県内のケアハウスにおいて,前向き非ランダム化比較研究で実施した.ケアハウス入居者の高齢女性22名が研究に参加し,チェアヨーガプログラム群(n=11)と対照群(n=11)の2つのグループに割り当てられた.チェアヨーガプログラムは,研究参加者がビデオガイドを視聴しながら実施ではできるようにDVDに記録され,毎週30分間のチェアヨーガ・セッションを含むプログラムを4週間にわたって実施した.身体機能は,体重,BMI, 柔軟性,握力及び歩幅,脈拍,血圧を評価した.

    介入前後,グループ内及びグループ間の変化を分析には反復測定の二元配置分散分析を用いた.体重[F(1, 20)=7.080,p=0.015]とBMI[F(1, 20)=6.567,p=0.019]に交互作用がみられた.対照群において体重とBMIに時間による主効果(介入前後)が示された.対照群では介入期間中に体重とBMIが有意に増加したのに対し,介入群では変化していなかった.その他の測定では有意な交互作用は観察されなかった.研究期間内に有害事象は発生しなかった.

    本研究は予備的研究であり,対象数が少なく身体機能への影響については明確な結果は示されなかったが,国内のケアハウスやその他の高齢者施設におけるチェアヨーガプログラムDVDの実現可能性や安全性,入居者の受け入れやすさ,費用負担の少なさが示唆された.

  • 本田 哲三, 本田 玖美子, 久保 沙織, 坂爪 一幸
    2020 年 29 巻 2 号 p. 163-178
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    はじめに:人口高齢化は先進国で共通の課題である。我が国では地域在住高齢者の生命予後に関する観察調査はいまだ実施されていない。我々は7年間にわたって一過疎山村における高齢者の生命予後に関わる要因を調査した。その結果,81歳以上の男性高齢者では日常生活活動(Activities of Daily living, ADL)が自立している方がむしろ短命であった。そこで,「第一期(65歳~81歳)」と「第二期(81歳以上)」高齢者の二群にわけてADLとQOLの各項目を比較しその相違を比較した。

    方法:2007年我々はY村における6歳以上の全村民の生活実態調査を実施した。さらに2014年に65歳以上の村民の転帰と再調査を実施した。生命予後の分析では,従属変数を死亡時期により(2007年より3年,5年,7年以内死亡,および生存)の4群とした。独立変数はADL(min-FIM),QOL(SF-8),認知機能(CDT),栄養リスク(NSI)の各項目値と評価値,および社会経済的諸要因を設定した。第一期(65歳~81歳)高齢者と第二期(81歳以上)高齢者の比較では,生命予後による4群とADLおよびQOL各項目間の相関係数を算出した。さらに男女において第一期(65歳~81歳)高齢者と第二期高齢者(81歳以上)との二群において各々相関係数を比較した。

    結果:男性第一期高齢者では生命予後と日常生活活動各項目間に相関が認められた(0.22~0.43)のに対して,第二期高齢者では痛み(0.34)および精神的コンポーネントスコア(0.27)を除く各QOL項目との間に負の相関(-0.22~-0.33)が認められた。女性第一期高齢者では,生命予後は日常生活活動およびQOL各項目間には相関が認められなかった(0.17~0.15)。女性第二期高齢者では日常生活活動評価値と生命予後間に相関(0.31)が認められた。

    結語:我が国における一過疎山村における調査結果では,男女ともに81歳を境界として生命予後とADLおよびQOLの関係に質的な相違が認められた。

  • 髙橋 純子, 服部 託夢
    2020 年 29 巻 2 号 p. 179-191
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    災害の長期的な影響を明らかにするため,能登半島地震から11年経過した輪島市の高齢者を対象に,改訂出来事インパクト尺度(Impact of Event Scale-Revised : IES-R),日本語版 Ten Item Personality Inventory (TIPI-J),精神的回復力尺度(Adolescent Resilience Scale:ARS),生活不活発病チェックリストを用いて,精神的健康状態や生活機能について調査した。その結果,① 同居家族がいない高齢者は,同居家族がいる高齢者に比べてIES-R合計得点およびすべての構成下位尺度で有意に高い値を示した。また,不活発でない対象者においても,同居家族がいない場合は,IES-R合計得点および構成下位尺度の「回避症状」,「過覚醒症状」が有意に高い値を示した。②IES-Rにおいて24点以下であり,勤勉性が高い性格傾向の対象者で相談ごとができる相手がいない場合は,PTSDなどの精神症状を発症するリスクがある。③ 発災当時,全壊や大規模半壊など大きく住居の損壊を受けた高齢者は,IES-R合計得点および下位尺度項目の「侵入症状」が有意に高値を示した。また,仮設住宅への入居の経験のある高齢者は,IES-R合計得点および下位尺度項目の「侵入症状」が有意に高値を示した。④ 生活不活発病とIES-Rとの間に相関関係があり,精神症状と,日常生活動作・行動の縮小は互いに影響することが示唆された。

    本調査により,被災から11年経過する今も精神症状に悩まされる高齢者がいることが明らかになった。とくに「高齢」,「独居」,「住居の損壊」,「相談相手がいない」の要因がある者は,平時からの限られた地域ネットワーク内での共助のあり方を検討していく必要がある。また,発災後は行政や自治体,医療機関,福祉との連携により,早期支援および継続的な支援を実施していく必要性がある。

  • —看護職の健康支援業務に対する受診者・看護職の双方向評価—
    石川 明美, 辻本 朋美, 井上 智子
    2020 年 29 巻 2 号 p. 192-198
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    人間ドック受診者に対して看護職が提供する健康支援業務を抽出し,会員制人間ドックの受診者40名と担当看護職2名を対象に各業務の提供状況について双方向調査を実施した。両者ともに提供の認識があり重点度が高いと評価した業務は,「顧問医・連携医以外を紹介」,「紹介病院についての話し合い」,「紹介病院についての要望の配慮」,「電話での健康相談の利用」,「パンフレットを用いた説明」であった。

    人間ドックで求められる看護職の健康支援機能は,医師の説明を補助し受療を仲介して受療行動を支援するとともに,電話での健康相談を利用しパンフレットを用いた説明によって医師の説明を補助し健康増進行動を支援することであった。電話での健康相談は健康支援と認識されない場合もあるので,説明前に要点を書き留めるよう求めることで情報が明確に伝わり支援として認識され効果も高まると考えられた。健康行動に関連する知識が高度化・複雑化するなか,看護職が受診者の健康情報を把握したうえで医師による説明に同席し,対面による支援を重ねて受診者との関係を構築することで継続した助言・指導が効果を発揮し,健康支援につながることが示唆された。

  • 井奈波 良一, 井上 眞人
    2020 年 29 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    女性看護師の防衛的悲観主義と職業性ストレスの関係を明らかにすることを目的に,A民間総合病院の経験年数1年以上の女性看護師318名(平均年齢35.4±10.9歳)の自記式アンケート調査結果について解析した。対象者を,防衛的悲観主義度テスト得点が50点以上の防衛的悲観主義(DP)者,30点未満の方略的楽観主義(SO)者および判定不能者の3群間比較を行った。その結果,バーンアウト得点は,DP者が最も高く,SO者が最も低かった(p<0.01)。「心理的な仕事の負担(質)」得点は,DP者がSO者より有意に高かった(p<0.05)。「不安」得点および「抑うつ」得点は,DP者が最も高く,SO者が最も低かった(p<0.01またはp<0.05)。「医師からのサポート」および「医師以外の医療専門職種従事者からのサポート」得点は,DP者がSO者より有意に低かった(p<0.01またはp<0.05)。いずれのワーク・エンゲイジメント得点およびジョブ・クラフティング得点もDP者とSO者の間で有意差はなかった。以上から,女性看護師では,DP者はSO者より職業性ストレスが高い可能性があると考えられる。

  • 細見 亮太, 中澤 知奈美, 萩原 希, 福永 健治, 吉田 宗弘
    2020 年 29 巻 2 号 p. 208-218
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    近年,調理食品の利用が増加しており,これに食品添加物として使用されている無機リン酸塩によるリン(P)の過剰摂取が懸念されている。食品添加物に用いられている無機リン酸塩は,正リン酸塩と重合リン酸塩に分けられる。これまでに私たちはラットに高P餌料(餌料中P濃度1.5% w/w)を給餌した場合,正リン酸塩をP給源とする餌料を給餌した群に比べ,重合リン酸塩(トリポリリン酸ナトリウム)をP給源とする餌料を給餌した群では,腎臓の石灰化および腎機能低下の度合いが重度であることを報告している。これまでに重合リン酸塩であるトリポリリン酸ナトリウムを用いて異なるP濃度になるように調製した餌料をラットに給餌し,Pおよびカルシウム(Ca)出納に及ぼす影響を検討した報告はない。そこで本研究では,トリポリリン酸ナトリウムを用いて異なるP濃度に調製した餌料をラットに給餌し,PおよびCa出納,腎臓の石灰化,腎P, CaおよびビタミンD代謝関連遺伝子発現量に及ぼす影響を検討した。被験動物として4週齢Wistar系雄ラット30匹を用い,6匹ずつ5群に分け,P濃度が0.3%,0.6%,0.9%,1.2%または1.5%になるようにトリポリリン酸ナトリウムを用いて調製した餌料を給餌した。飼育開始18日目から3日間,代謝ケージを用いて,糞と尿を分離採取し,これらのPおよびCa濃度を測定した。飼育開始21日目に常法により採血し,腎臓を採取した。餌料中P濃度1.2%以上の餌料を給餌した群において,餌料中P濃度0.6%以下の餌料を給餌した群と比較して,腎臓の重量,PおよびCa濃度の有意な増加,また腎臓の石灰化が観察された。さらに餌料中P濃度1.2%以上の餌料を給餌した群では,近位尿細管の障害指標である尿N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ活性および血清クレアチニン濃度が他の群と比較して有意に高かった。餌料中P濃度0.9%以下の餌料を給餌した群と比べ,餌料中P濃度1.2%以上の餌料を給餌した群は尿へのP排泄量が有意に高く,また腎ナトリウム依存性リン酸トランスポーター遺伝子(Slc34a1およびSlc34a3)発現量も有意に低下していた。以上のことから,トリポリリン酸ナトリウムを用いて餌料中P濃度を段階的に0.3%(w/w)から1.5%(w/w)に調製した餌料をラットに給餌したところ,餌料中P濃度1.2%以上において,腎臓の石灰化といったP恒常性維持機構の崩壊させることが示唆された。

  • 中田 亜希子, 小竹 久実子, 高橋 瑞穂, 熊谷 たまき, 並木 温
    2020 年 29 巻 2 号 p. 219-228
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    看護学生向けに作成された学習意欲尺度を改変した医学生用の学習意欲尺度の信頼性と妥当性を検討することを目的とし,医学生704名を対象に質問紙調査を行った。質問紙は,看護学生向けを医学生向けに言葉を換えた学習意欲尺度,妥当性を検討するための無気力感尺度,回答者の属性の設問からなる。調査は2016年4月~8月に行われた。信頼性については内的整合性を,妥当性については基準関連妥当性と概念妥当性を検討した。医学生480名から回答を得た(回収率68.2 %)。学習意欲尺度のクロンバックの係数は,α=0.912となった。得られた下位尺度の係数は,学習に対する自己の現状理解がα=0.844,医学に対する「よくできる感」がα=0.847,自律的な学習行動がα=0.826,友との相互作用から生じる自信がα=0.855であった。探索的因子分析と確認的因子分析の結果,得られたこれらの4因子は,設問内容も項目数も看護学部と全く同じ構成であった。得られたモデルは,GFI=0.876,修正済みGFI=0.845,RMSEA=0.070であり,適合度は良好と考えられた。学習意欲尺度のスコアと無気力感尺度のスコアとの相関はr=-0.255であった。これらの結果から,医学生向け学習意欲尺度は高い内的整合性と妥当性があると推測された。

  • 木村 静, 澤田 京子, 上山 直美, 葉山 有香, 林 文子, 中馬 成子
    2020 年 29 巻 2 号 p. 229-237
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    ベッド上仰臥位での洗髪において,ケリーパッドの使用は身体的負担の少ない援助方法であるが,そのさいに膝関節をどの程度屈曲することが対象者にとって安楽であるのか明らかではない。ケリーパッドを用いた仰臥位での洗髪援助時における適切な体位を明らかにするため,健康な高齢者51名を対象として,安楽な股関節および膝関節の屈曲角度を検討するとともに,それらの角度と対象者の身長,体重,BMI, 体脂肪率,大腿長,下腿長との関連について検討した。

    1) 安楽と感じられる股関節の平均屈曲角度は34.7±9.6度,膝関節の平均屈曲角度は73.2±20.1度であった。

    2) 安楽と感じられる股関節と膝関節の屈曲角度には正の相関関係があり(ɤ=0.907),股関節の屈曲角度に対し膝関節の屈曲角度が平均2.1±0.3倍であった。

    3) 股関節・膝関節の屈曲角度は,性別,年齢,身長,体重,BMI, 体脂肪率,大腿長,下腿長と関連しなかった。

    4) 大腿長の高値群では,低値群より有意に小さな股関節の屈曲角度を示した(p<0.05)。

    これらの結果は,ケリーパッドを用いた仰臥位での洗髪援助時において,股関節や膝関節の屈曲角度を決定するために活用できると考えられる。

短報
  • 鈴木 育子, 叶谷 由佳
    2020 年 29 巻 2 号 p. 238-243
    発行日: 2020/07/30
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    本研究は,学校における医療的ケア実施に関する政策がどのように検討されてきたのかを整理するとともに,学校における医療的ケアに医療保険による訪問看護を利用できるようになった場合の影響を検討することを目的とした。

    国会会議録から学校における医療的ケア実施に関する政策がどのように検討されてきたのかを読み取り,医療的ケアにかかわる社会背景とともに検討の経緯を記述した。

    学校における医療的ケアの実施に関して,訪問看護を学校で利用できるような法改正の提案がされてはいるが,具体的な検討はなされていない。訪問看護療養費の試算により,医療保険による訪問看護の療養の給付を居宅以外の場所に拡大しても,国民医療費に大きな影響を与えないと考えられた。

    居宅以外でも医療保険による訪問看護を利用できるようにすることは,就学場所や医療的ケアの実施者についての選択の幅を広げ,医療的ケアを必要とする子どもと家族の生活の質の向上に貢献すると考える。

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