加速度脈波は指先容積脈波の2次微分波形であって、その波形分析ならびに、波高計測値の解析は、加齢の効果、循環動態を推測する指標として有用であることは多くの研究者により証明されている。本研究では臨床的な立場から、その加速度脈波の応用方法につき解説した。まず加速度脈波の波形を分析し、A,B,C,Eの4種類の波に分類し、A波形は、若年健康者に見られる波形で、B波形は健康な中年の波形、C波形は初期の動脈硬化に多発する波形で、E波形はある程度以上進行した動脈硬化、あるいは心機能低下で出現する。加速度脈波の計測値から循環動態を知るために、図1と図2に示すように、a,b,c,d,eの5種類の波に分解し、その波高比を求めた。その結果a/bは大動脈硬化の指標で、数値が増加すれば大動脈の硬化度が高い。d/aは後負荷の増加を意味する。100×c/eは一回心拍出量の指標で、数値が増大すれば、一回心拍出量の増加を意味する。より詳しい心拍出量を知るためにインピーダンスカルヂオグラムからえた一回心拍出量を目的変数とし、加速度脈波波高比を説明変数として重回帰方程式を求めた。その相関係数はR=0.848であって、この重回帰方程式は、臨床的に有用と考えられた。また加速度脈波の波形の変化は、老化にしたがいA波形から順にE波形に変化するなど老化の指標としての応用価値も考えられた。
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