日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
最新号
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論説
  • 野尻 雅美
    2025 年 33 巻 4 号 p. 496-499
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    21世紀に入り生活の基盤の地球が破滅に向かっていることが明らかになりました。「成長の限界」です。私たちは子孫のためにこの美しい地球を残さなければなりません。

    フランスの宗教家,シャルル・ヴァグネルが130年前に書いた「簡素な生活」を精読しました。本書は現在形で書いてあり,今もなお生き生きとしています。「簡素な生活」とは,言葉の上では質素で節約の生活ですが,人間的な生活,自然な生活,倫理的な生活です。「簡素な生活」は豊かな真理の世界でもあります。また,この「簡素な生活」は人に幸せをもたらします。

    国連は2015年に全世界に向けてSDGsを発信しました。当医学会にはSDGsの源流があります。「簡素な生活」を健康医学会の全員が即座に実践し,SDGsの本流を世界に示しましょう。「簡素な生活」は私たちの愛すべき地球を救ってくれると共に,私たちに幸福をももたらしてくれます。

解説
原著(実験研究)
  • 久保田 あや子, 今村 行雄, 西山 利正
    2025 年 33 巻 4 号 p. 502-507
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル 認証あり

    看護職の筋骨格系障害の腰痛有訴率は高く,腰痛の主な要因に作業姿勢が指摘されている。しかし,その要因を明らかにした研究は少ない。本研究の目的は,看護師を対象に作業姿勢の角度を測定し,日勤と夜勤の労働の比較から筋骨格系障害の要因を明らかにすることである。本研究では病院勤務の看護師19名を対象とし,身体部位症状の主観的評価と,日勤と夜勤における作業姿勢角度の測定を行った。作業姿勢角度は3群に区分し,不良作業姿勢は前傾20°以上とした。身体部位症状の主観的評価について,日勤,夜勤にかかわらず,勤務後に腰部に有訴が多く,作業姿勢の平均は23.0±5.2°であった。聞き取り調査の結果,日勤と夜勤では労働作業内容に大きな違いはなかったが,作業姿勢角度は日勤と夜勤を比較すると夜勤に有意に大きく(p<0.01),とくに深夜時間帯の作業姿勢角度が顕著であった。また腰痛の原因として指摘されている前傾30°以上の頻度は夜勤に多かった。以上の結果から,病院における看護労働は不良作業姿勢で行われ,筋骨格系障害の発症要因の姿勢動作が多く,勤務後の主訴として腰部に有訴が多い原因は不良作業姿勢が関与すると考えられる。また労働作業内容に大きな違いがないにもかかわらず,筋骨格系障害の腰痛の要因とされる不良作業姿勢が夜勤労働では深夜時間帯に多いことは,作業内容に対する人員不足が考えられる。病院看護師の夜勤では作業姿勢角度が大きく,より筋骨格系障害の発症要因リスクが高いと考えられるため,作業内容の改善や人員不足を補うための配慮が必要であると示唆される。

  • 薗田 峻輔, 細見 亮太, 岩田 いづみ, 髙橋 大海, 角谷 直樹, 黒木 克翁, 村上 由希, 福永 健治
    2025 年 33 巻 4 号 p. 508-514
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    水産加工会社では,魚の頭,皮,骨および内臓などの加工副次産物が多く排出され,この有効利用が求められている。我々は,マアジ(Trachurus japonicus)の加工副次産物(頭部・腹部・中骨・ヒレ)について,乾燥粉末(HMBP)およびプロテアーゼ加水分解物(HMBP-H)を調製した。本研究では,HMBPおよびHMBP-Hの血清脂質濃度に及ぼす影響をマウスを用いた動物実験により評価し,機能性食品素材としての利用の可能性を検討した。4週齢雄性C57BL/6Jマウスに高脂肪餌料(Control, カゼイン23 wt%),Control餌料にHMBPおよびHMBP-Hを添加した餌料を給餌した。HMBPおよびHMBP-H餌料は,HMBPおよびHMBP-H由来のたんぱく質が餌料中3.2 wt%になるようにそれぞれ添加した。飼育4週間後,常法により解剖を行い,血液および臓器を採取した。また解剖前に各マウスの1日分の糞を採取した。HMBPおよびHMBP-H群は,Control群と比べ,血清中性脂肪濃度の低下が見られた。この低下は,肝臓の脂肪酸合成の律速酵素であるfatty acid synthaseおよびacetyl-CoA carboxylaseのmRNA発現量の低下が原因の1つと考えられた。一方,HMBP-H給餌は,HMBP給餌では見られない血清総コレステロール濃度の低下が観察された。この低下は,肝臓cholesterol 7 alpha-hydroxylaseのmRNA発現量の上昇が関与している可能性が考えられた。これらの結果から,HMBP-Hは高脂血症を改善する機能性食品素材としての利用が期待できると考えた。

原著(量的調査研究)
  • 玉井 純子, 鈴木 英子, 唐澤 教子
    2025 年 33 巻 4 号 p. 515-527
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    大学病院に勤務する救急看護師のバーンアウトの関連要因を明らかにすることを目的に,調査協力が得られた全国の三次救急医療施設のうち,大学病院18施設の救急部門(ICU併設)で勤務する看護師902名を対象に,バーンアウト測定尺度として日本版MBI-GSを用い無記名自記式質問紙調査を実施した。有効回答552名(男性135名,女性417名)の年齢は30.99±7.74歳,バーンアウト得点は,14.03点±3.18であった。バーンアウト得点を目的変数とする重回帰分析の結果,自由度調整済み決定係数は0.53であり,「業務中,常に時間のプレッシャーを感じている」(β=0.27),「職場でハラスメントを受けたことがある」(β=0.14),「治療方針について倫理的ジレンマがある」(β=0.10),「コーピングスタイル-あきらめる」(β=0.07),「今後も看護師を続けたい」(β=−0.25),「業務をコントロールできている」(β=−0.20),「ワーク・ライフ・バランスの自己コントロール力がある」(β=−0.17),「初期治療業務を担当している」(β=−0.12),「ロールモデルの存在がいる—先輩」(β=−0.12),「断らない医療,最後の砦という使命感がある」(β=−0.10)が有意(p<0.01)な関連要因として選択された。大学病院に勤務する救急看護師は,常に時間のプレッシャーを感じている者,職場でハラスメントを受けたことがある者,倫理的ジレンマがある者,あきらめるコーピングスタイルをとる者はバーンアウトしやすく,看護師を続けたい者,業務コントロール感がある者,ワーク・ライフ・バランスの自己コントロール力がある者,初期治療業務を担当している者,ロールモデルの先輩がいる者,使命感がある者はバーンアウトしにくいことが明らかになった。

  • 津曲 真二, 益満 智美, 佐々木 八千代, 宮田 昌明, 竹ノ内 千紗, 和田 麗, 窪薗 琢郎, 竹中 俊宏, 大石 充
    2025 年 33 巻 4 号 p. 528-533
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    鹿児島県垂水市で行われた地域コホート研究(垂水研究2021年度)に参加した551名のうち,65歳以上の198名をHbA1cが≧5.6%の糖尿病予備群(103名)とHbA1cが<5.6%の正常群(95名)の2群に分け,Body Mass Index(BMI),収縮期血圧,血清トリグリセリド(TG),HDLコレステロール(HDL-C),LDLコレステロール,総座位時間,10分以上の座位持続時間,中等度以上の活動時間(MVPA)を比較した。座位時間は,ActiGraphを用いて客観的に測定した。糖尿病予備群は,正常群と比較してBMI(p=0.001),TG(p=0.020),10分以上の座位持続時間(p=0.003)が有意に高値を示し,HDL-Cは有意に低値を示した(p=0.002)。糖尿病予備群/正常群という群分けを従属変数,10分以上の座位持続時間,年齢,性別,BMI,HDL-C,TG,MVPAを独立変数としたロジスティック回帰分析を行い,糖尿病予備群に対するオッズ比(OR)を算出したところ,10分以上の座位持続時間(OR,1.01 ; 95%CI : 1.01-1.02 ; p=0.012)とBMI(OR,1.12 ; 95%CI:1.02-1.23 ; p=0.022)が有意な関連を示した。

  • ─パーキンソン病患者を例にした住まいの環境とケアの検討─
    岩佐 由美, 藤井 千枝子
    2025 年 33 巻 4 号 p. 534-541
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    サービス付き高齢者向け住宅などの「居住系施設」は高齢者の第三の「住まい」として整備が進む。本研究はパーキンソン病(PD)患者を例に「自宅」と「居住系施設」居住者の概要と訪問看護ケアの差を分析し,「住まい」の環境やケアの改善を検討することを目的に調査を行った。兵庫県内の698の訪問看護事業所を対象として,6か月以内に訪問したPD患者の居住場所,属性,週当たりの訪問回数,36の看護ケア実施の有無について,郵送による質問紙調査を実施した。121事業所から調査票が回収された(回収率17.3%)。本研究ではそのうち86事業所が回答した居住場所が明記された212人分のPD患者を分析対象とし,患者を自宅居住(「自宅」)と居住系施設居住(「居住系」)に群分けして差を比較した。居住場所は「自宅」が81.6%,「居住系」が18.4%だった。男性の13.2%,女性の22.3%が「居住系」で有意差はなかった。中央値は,年齢は「自宅」が78.0歳,「居住系」が85.0歳で有意差があった(p<0.001)。介護度は両群とも3.0,Hoehn & Yahr度数は「自宅」が4.0,「居住系」が3.5,週当たりの訪問頻度は「自宅」が2.0日,「居住系」が3.0日でともに有意差はなかった。「自宅」で多いケアは家族療養指導,褥瘡以外の皮膚処置 (p<0.05),「居住系」で多いケアは車いす介助,室温調整,状態観察,酸素吸入,介護職連携だった(p<0.05)。「自宅」は嚥下リハビリテーション,「居住系」は四肢・体幹リハビリテーションの割合が高かった。結果から,患者の加齢,家族の加齢や死去が居住系施設入居を増加させる可能性が示唆された。「住まい」により患者の生活像や安全リスクは差が生じており,居住系施設では移動距離が長くならない施設設計と車いすを過剰に使用しないケア,室温や照明を本人に合わせられる環境改善が求められる。

  • 佐藤 京子, 鈴木 英子
    2025 年 33 巻 4 号 p. 542-549
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    病院の医療最前線で働く看護管理職の管理能力に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的として,関東・東海地方の300床以上の病院69施設1,291人の看護管理職を対象に,無記名自記式質問紙調査による縦断研究を行った。ベースライン調査の性別に欠損や重複回答がない者927人(有効回答率71.8%)でコホートを設定し,1年間追跡した。追跡調査において有効回答が得られた927人中590人(63.6%)の中で,女性かつ大病を経験していない540人を解析の対象者とした。540人の平均年齢は49.7±5.6歳,看護師経験年数27.6±5.7年,現在の職位での経験年数6.9±5.5年,管理能力総得点平均66.6±8.5点であった。重回帰分析の結果,看護管理職の管理能力の影響要因は,自分の能力が発揮できている(β=0.19,p<0.01),看護の判断は適切(β=0.17,p<0.01),感情コントロールができる(β=0.17,p<0.01),学会・研究会に所属している(β=0.14,p<0.01),管理者研修セカンドレベルまで受講した(β=0.12,p<0.01)などであった。自由度調整済み決定係数は0.33,標本妥当性KMOは0.95であり有意義な結果であった。

原著(文献レビュー)
  • 今野 りょう, 大日方 裕紀, 雲 杉, 結城 美智子
    2025 年 33 巻 4 号 p. 550-558
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル 認証あり

    Coronavirus Disease 2019(以下 COVID-19)は世界的規模の災害であり,とくに高齢者にとっては生命を脅かす問題である。そのため感染予防策は地域在住高齢者の日常生活に大きな影響を与え,Quality of life(以下 QOL)も変化したと推察される。本研究の目的は文献レビューによりCOVID-19流行下における地域在住高齢者のQOLの変化および影響を及ぼした要因を明らかにすることである。COVID-19,地域在住高齢者,QOLを主なキーワードとして,5つのデータベースで検索をおこなった。適格基準に沿ってスクリーニングを行い,2023年3月までに発表された論文を対象とした。該当論文は28件であった。COVID-19の流行下において地域在住高齢者のQOLは向上,維持,低下していた。QOLに影響を与える要因は,年齢,性別などの対象者の背景に関するものや,感染対策による外出自粛に伴う社会活動の減少であった。とくに行動制限による社会的な孤独感は,精神的健康に影響を及ぼしQOLを低下させる要因であった。今後の研究では,感染予防を行いながらネットワーク技術を用いて社会とのつながりを維持する方法の検討が必要である。

  • 深田 雅美, 土肥 眞奈, 叶谷 由佳
    2025 年 33 巻 4 号 p. 559-565
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,高齢者への看護において,患者の権利を擁護し患者が自らの意向や価値観にそった選択が出来るよう支援するアドボカシーの実践内容および実践状況に関する研究動向を確認することを目的とした。医学中央雑誌Web版,PubMedをデータベースとして,医学中央雑誌Web版では,「患者の権利擁護/TH orアドボカシー」,「看護」,「高齢者」を,PubMedでは,「Patient Advocacy」,「Nursing」,「Aged」をキーワードとし,抽出された13件の文献を検討した。その結果,病院関連の研究が7件,施設関連の研究が3件,在宅看護関連の研究が3件あり,いずれの場においても高齢者へのアドボカシーの取り組みがなされ実践内容が明確にされていた。ただし,質的研究が多く,高齢者への看護におけるアドボカシーがどの程度実践されているかは明らかではなかった。特に治療や療養場所の選択など,高齢者のその後の人生に大きく影響を与える選択場面が多い病院では,よりアドボカシーの実践が必要である。そのため今後は病院において,高齢者への看護におけるアドボカシーが実際にどの程度実践されているか,実践状況を幅広く調査し実態を明らかにするとともに,その要因についても明らかにする必要性が示唆された。

  • 黄波戸 航, 西田 千夏
    2025 年 33 巻 4 号 p. 566-575
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    入院する子供(子ども)に付き添う家族への看護実践と研究動向を明らかにすることを目的に文献検討を行った。医学中央雑誌WEB版(Ver.5)とCiNii Articlesを用いて,「入院」,「小児」,「家族」,「付き添い」をキーワードとして掛け合わせ,検索期間は2013年から2024年とした。111件の文献とハンドサーチで得た1件を合わせた計112件を精読し,26件を対象論文として抽出した。その結果,近年は,付き添い家族への健康と権利を守るための具体的看護実践が積み重ねられていることが明らかになった。付き添い家族の健康問題や生活の負担については過去の文献検討でも同様の指摘があったが,今回の文献検討においては,家族の健康問題を詳細に調査した研究,付き添い入院についての看護師の認識を明らかにする研究,付き添い家族の生活の負担軽減のために看護師が使用するツールの開発などの研究があった。今後は,付き添い家族の安心と健康のために看護師の実践検証を積み重ねることと,多職種連携に視点を置いた研究の必要性が示唆された。

原著(質的研究)
  • 堀 智子, 松本 七十子, 前川 麻記
    2025 年 33 巻 4 号 p. 576-585
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    就学前の重症児の障害の受け入れに関する心理について,重症児を養育する5名の母親に調査を行なった。【重症児の養育への家族内の支援者】,【入退院の経験から重症児の医療的ケアに熟練する母親】,【重症児に対する偏った見方と重症児の実像】,【障害を受け止めていく母親の心理状態】というコアカテゴリが抽出された。〈夫の限局的な養育関与〉,〈両親の支援〉,〈きょうだい児の存在〉,〈繰り返しの入退院〉,〈退院のタイミングを調整〉,〈悪化の予防行動〉,〈母親による専門的な医療的ケアの熟練〉,〈重症児に対する偏見〉,〈重症児だって普通の子ども〉,〈年齢相応の対応の要望〉,〈不確実な重症児の時間感覚〉,〈重症児を養育する母親への周囲からの圧力〉,〈否定的感情〉,〈周囲の人からの肯定的意見〉,〈きょうだい児の影響〉,〈社会の中で重症児を育てる覚悟〉のカテゴリが抽出された。重症児の母親は様々な経験を経て,価値の転換を行い,重症児を受け入れていた。

  • 金田 明子, 叶谷 由佳
    2025 年 33 巻 4 号 p. 586-593
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル 認証あり

    地域包括ケアシステムの一要素であるサービス付き高齢者向け住宅の入居者が最期まで居住を継続できることに向けた支援の概念構造を明らかにし,定義を検討した。Rogersの概念分析の手法を用いて,国内20文献から先行要件・属性・帰結に該当する内容を抽出し,それらの意味内容を吟味し,質的帰納的に抽象化していきカテゴリを生成した。概念分析の結果,先行要件として家族形態の変化とケア形態の変化,自分らしさを重視する価値観などの4カテゴリ,属性として,入居者の日常生活動作の自立に向けたかかわり,入居者の社会参加と生きがいづくりに向けたサポート,思いの変化を見据えたアドバンスド・ケア・プランニングの実施,入居者の状態・状況の変化を把握できる環境づくりなどの5カテゴリ,帰結として自分らしく暮らせる自宅としての終の住処の1カテゴリを生成した。5つの属性からサービス付き高齢者向け住居の入居者が最期まで居住を継続できることに向けた支援の定義を,入居者の日常生活動作の自立に向けてかかわり,入居者の社会参加と生きがいづくりに向けたサポート,変化を見据えたアドバンスド・ケア・プランニングを実施するとともに,入居者の状態・状況の変化を把握できる環境をつくり,介護・医療との連携体制を整備して入居者が最期まで居住継続できるようにすることとした。

資料
  • ─看護学生用生活機能評価尺度(参加面)を基準にして─
    齋藤 深雪, 吾妻 知美
    2025 年 33 巻 4 号 p. 594-599
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    現代生活におけるメールの普及や家族形態の変化などから,看護学生の生活技術や対人関係能力の低下が指摘されている。看護教育では,看護技術教育と並行して適切な生活習慣の獲得や対人関係技術の向上などを促す学習支援が必要となっている。そのため,看護学生の社会で生活する能力を把握する必要がある。これまでに看護学生用生活機能評価尺度(参加面)を作成し,信頼性と妥当性を確認した。この尺度は肯定的な視点から個人の生活や人生場面に関与する能力を測定するものである。本尺度は関与する能力について質問の合計点で示し,その合計点を参加点という。参加点が高ければ高いほど生活や人生場面へ関与する能力が高いことを意味する。

    本研究では,看護学生用生活機能評価尺度(参加面)を活用し,看護学生の参加点の実態を明らかにした。1年生から3年生の看護系大学生272名,非看護系大学生173名を対象に,属性や生活背景を問う設問と看護学生生活機能評価尺度(参加面)によって構成される自己記入式質問票を用いた調査を実施した。調査期間は2013年11月から2014年7月であった。その結果,看護系大学生の参加点は44.2±7.6点であった。看護系大学生と非看護系大学生の参加点に統計的な有意差が認められなかった。また,非看護系大学生は兄の同居の有無で参加点に統計的な有意差が認められたが,看護系大学生はその有意差が認められなかった。したがって看護学生は関与する能力を保持しており,看護基礎教育は生活背景による関与する能力の差を解消できていると考えた。

  • 宮山 涼子, 吉岡 詠美
    2025 年 33 巻 4 号 p. 600-609
    発行日: 2025/01/30
    公開日: 2025/04/28
    ジャーナル フリー

    看護師が実践するアドバンス・ケア・プランニンングの現状を明らかにすることを目的に文献レビューを行った。医学中央雑誌Web版Ver. 5を用いて,「看護師」,「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」をキーワードとし,期間を限定せず文献を検索し,29件をレビュー対象とした。訪問看護師のACPに関する研究が対象文献のなかで多くを占め,中でも高齢者を対象としたACP実践に関する研究が大半を占めていた。また,多くの看護師はACPを実践する必要性を認識しているにも関わらず,実践までに至らない現状があることが推測された。ACPの実践を阻害する要因は,ACPに関する知識不足やACPを実践するためのコミュニケーション能力不足であると考えられた。

    今後,外来や一般病棟看護師が実践するACPの現状を明らかにしていくとともに,ACP実践向上に向けた組織的な教育支援が必要である。

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