現代生活におけるメールの普及や家族形態の変化などから,看護学生の生活技術や対人関係能力の低下が指摘されている。看護教育では,看護技術教育と並行して適切な生活習慣の獲得や対人関係技術の向上などを促す学習支援が必要となっている。そのため,看護学生の社会で生活する能力を把握する必要がある。これまでに看護学生用生活機能評価尺度(参加面)を作成し,信頼性と妥当性を確認した。この尺度は肯定的な視点から個人の生活や人生場面に関与する能力を測定するものである。本尺度は関与する能力について質問の合計点で示し,その合計点を参加点という。参加点が高ければ高いほど生活や人生場面へ関与する能力が高いことを意味する。
本研究では,看護学生用生活機能評価尺度(参加面)を活用し,看護学生の参加点の実態を明らかにした。1年生から3年生の看護系大学生272名,非看護系大学生173名を対象に,属性や生活背景を問う設問と看護学生生活機能評価尺度(参加面)によって構成される自己記入式質問票を用いた調査を実施した。調査期間は2013年11月から2014年7月であった。その結果,看護系大学生の参加点は44.2±7.6点であった。看護系大学生と非看護系大学生の参加点に統計的な有意差が認められなかった。また,非看護系大学生は兄の同居の有無で参加点に統計的な有意差が認められたが,看護系大学生はその有意差が認められなかった。したがって看護学生は関与する能力を保持しており,看護基礎教育は生活背景による関与する能力の差を解消できていると考えた。
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