本研究の目的は,熟練訪問看護師のがん終末期在宅療養者における看取りの意思決定支援の看護実践の語りから,経験に基づいた臨床判断に影響を及ぼす実践知を明らかにすることである。
熟練訪問看護師10名のがん終末期在宅療養者における看取りの意思決定支援の看護実践について半構成面接を実施し,語りの内容から実践知について質的記述的に分析を行った。
結果,熟練訪問看護師の実践知として,202コード,51サブカテゴリーを含む,6カテゴリーに整理された。【看取りに向けて覚悟を決めて臨む】,【療養者と家族の人生に寄り添い支える】のカテゴリーは,人生の最終段階に関わる者として[看取りに向けて人生に寄り添い支える覚悟]のコアカテゴリーに集約された。また,【「この人の場合」に重ねて思考を描く】,【「この人の場合」の着地点を描き目指す】,【「この人の場合」で“この後”を見通し備える】,【「この人の場合」で残された時間を見極め伝える】は,療養者と家族を固有の存在として[「この人の場合」を見極め最期まで支える姿勢]に集約された。
抽出されたサブカテゴリーには,がん終末期在宅療養者の看取りに向けての状況の認識とその状況におけるケアのビジョンの内容が,カテゴリーは訪問看護師の心掛けを表す実践知が,そして,その根底にはコアカテゴリーに集約された訪問看護師の信念と考えられる実践知の存在が明らかとなった。
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