挾角π/nをなす2直線間の領域に於て主流に任意型式を附與した場合、中に保持された自由渦の径路速度等は第1報記載の結果を擴張する事に依つて次の如く決定さる。渦の径路 : (Γ/4π)log sin nψ+I=C速度成分 : u
z=-(Г/4πρ)[(1-n)sinψ+ncos(n-1)ψ/sinnψ]-[R] ν
z=(Γ/4πρ)[(1-n)cosψ+nsin(n-1)ψ/sinnψ]+[I] nsin(n-1)ψ/sinnψ V
p=-(nГ/4πρ)cotnψ-∂R/∂ρ, V
ψ=Г/4πρ+∂I/∂ρ但し主流の複素ポテンシアルをw=F(t)=F(z
n)渦の位置をz
0=ρe
iψとする時、F(z
0n)=R+iI, dF
z=z
0/dz
0=[R]+i[I], Гは渦の強さCは積分常數、u
z, ν
zは實虚兩軸方向の、V
p, V
ψは半径並に円周方向の速度成分を表はす(第1報第1圖B參照)。第1報では角部を廻つて流るゝ主流に関するもの(本文第1圖A)を問題とせるも本文ではそれとの連絡上次記の2例を採擇した。(1)領域角の2等分線が分割流線となれる場合(第1圖B)(2) 領域角の2つの3等分線が分割流線となれる場合(第1圖C)。前者に於ては渦回轉の向に依り径路には性質上根本的相違なく且渦平衡の位置も存在せず。後者に於ては渦回轉の左右に因て径路に相違があり、渦の平衡位置は第1報の例と同じくψ=π/2n, 但し強さはГ=-12πnUρ
3n從つて渦回轉の向は第1圖Cに示す型の主流に對し左卷きである事を示す。微小變位に對するその安定は領域角α(π/n)がπ/3より小なるか大なるかに依り安定か不安定である。α=π/3に就ては円周方向の微小變位のみに對し中位その他の變位に對しては不安定である。α<π/3では上記の點以外に平衡を保つ位置存在し、1例n=4に於てはこれがψ=22°30∓4°12′強さはГ=-16√(33)πUρ
12/3となりてこの平衡は微小變位に對し不安定である。最後に平行なる2境壁間に於る渦に就き下記の結果を得た。渦の径路 : (Г/4π)log sin(πY/H)+I=C速度成分 : u
z=-∂I/∂Y-(Г/4H)cot(πY/H), ν
z=∂I/∂X但しYは境壁の幅間の方向へ向ふ虚軸、Xは實軸を示しY=0, Y=Hが2境壁を形成するものとす(使用文字の表現する約束は前に同じ)。特に主流が一様なる流れでは次の結論を得る。渦回轉の向が圖を見下して時計針の回轉と同じ向の場合は流れの下流に向つて右側の境壁に近く平衡に達し、反對の向なる場合は左側の境壁に寄つて平衡を保つ。その平衡位置は何れも渦の強さ小なる程境壁に近い。單に渦のみ存在する場合では渦回轉の向如何に関らず境壁間の中點が平衡位置となる。平衡渦の安定は境壁に平行なる變位に對して中位その他の變位に對しては不安定にして渦は境壁に平行に時間と共に移動する。
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