本研究は水晶の圧電気を應用した捩り動力計を考案試作して、その性能を試験し且この捩り動力計を負荷高速度運轉における平歯車の1回轉中のトルクの変化の測定に使用し得る事を確めその結果を報告するものである。本捩り動力計はトルクを傳達す可き回轉軸の中間に接手を以て容易に接続されるもので、軸に働くトルクは動力計内にある圧電気発生用水晶に作用し、トルクに應じた靜電気が発生し、この発生圧電気を回轉部分から靜止部分に取り出すために回轉極及び靜止極よりなる輪状蓄電器を用ひ、誘導により靜止極に生ずる電圧を眞空管電圧計に導き入れ、更に陽極電流を擴大してオシログラフによりトルクに相當する曲線を画かしめるやうにしたものである。測定し得る周波数は現在0より800 s
-1(オシログラフの可測周波数により制限されてるる)。擴大率は電磁オシログラフの場合1m-kgが0.7∿2.5mm程度であつて靜止的に較正し得るのが特長である。本動力計に依て負荷高速度運轉中の歯車に依て生ずるトルク変化を測定した一例を述べるに、モヂュール4.23, 歯数18及び36の大歯車の方を被動車としその回轉数750mn
-1, 平均トルク5.8m-kgに運轉した場合軟鋼ホブ切のものは最大8m-kgの短週期トルク偏差を生じた。然るに略同様の寸法のマーグ研磨歯車(硬鋼)は略同一条件に於て短週期最大トルク偏差1m-kgに過ぎないことが判る。又斯くして動的に測つたトルクの変化が靜的に測定したザウラー歯車咬合試驗機より得られた結果ともかなりよく一致することも確めた。
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