時効硬化 Al 合金の表面き裂の伝ぱ特性を回転曲げ試験により調べ,焼なまし Al 合金のそれと比較検討した.結論 : (1) 焼なまし Al 合金の場合,他の焼なまし材と同様,き裂伝ぱ速度は dl/dN=cσnl で示される.またこの関係から時間強度の推定が可能である.(2) 時効硬化 Al 合金では,き裂が短い間はすべり帯に沿って急速に成長するが,ある程度長くなるとジグザグに伝ぱし,伝ぱ速度の増加も小さい.
本報告では,電極用黒鉛からなるフランジ厚さの異なる非対称 I 形断面はりの曲げ破壊試験結果を提示し,その説明を平均応力説とその適用限界による条件を用いて行っている.ここで,平均応力説とは,はりの引張側断面と全断面における応力の付重平均値が共に材料の引張強さに達したとき破壊するという条件であると提示し,この考えにより対称断面はりや T 形断面はりを含めて,はりの破壊を統一的に説明できることを示した.
有限要素法を用いた応力拡大係数の簡便計算法を提案してきたが,その方法の動的問題への有効性について詳細な検討を行った.ここでは特にモード I 形変形き裂に対する動的応力拡大係数について調べた.その結果,有効性が十分認められたので本手法を用いて内部き裂を持つ帯板のき裂長さと板幅との比を系統的に変化させ動的応力拡大係数を計算して静的なそれとの関係を明らかにした.
著者らはさきに,き裂を持つ点対称有限領域の任意荷重問題の一般解法を与え,その応用として,中央き裂を持つ正方形領域の剛性マトリックスを求めたことを述べた.本資料はこの剛性マトリックスの内容と,外周節点の変位から KI を求めるための影響係数ベクトルを与え,簡単な応用によって,提案する特殊要素の有効性を確かめた.