自然循環沸騰二相流の不安定流動の発生について,理論的な解析を報告する.解析は,微小変動法にもとづいた線形理論で,かつ均質混合二相流の仮定に立脚した.既報の実験結果と本報との比較により,本解析法の有効性が確かめられ,つぎのような結論を得た.(1)Davis-Potlerの理論と,寺野の理論は,一致する.(2)蒸気開始点の乾き度変化は,蒸発開始点の無次元移動量の負の値と一致する.(3)二相流摩擦係数が変化するとしたモデルは,一定としたモデルよりも安定である.(4)二相流の摩擦係数が大きいほど,流れは不安定である.(5)加熱部の流動時間に対応した周波数近傍の周波数応答を調べることによって,安定・不安定の判別が可能である.(6)加熱準相流域に関する熱容量効果を,もっと適正に把握する必要がある.
抄録全体を表示