1,圃場において,登熟期間を2分し,それぞれの時期に感染した穂いもちの発病茎率を求める方法を考案した。
2,市販の6種の茎葉散布用いもち病防除剤に上記の方法を適用して,穂ぞろい期散布による穂いもち防除効果試験を行ったところ,フサライド剤はその予防効果によって最もすぐれた防除効果を示した。また本剤の水和剤1000倍液と2000倍液に防除効果の差異が認められず,フサライド粉剤もこれとほぼ同等の効果を示した。またフサライドの含有量が少いカスガマイシン・フサライド混合粉剤の効果もフサライド粉剤と同等であった。
3,フサライド剤の予防効果によるこのすぐれた防除効果は散布後の降雨により若干低下した。
4,水和剤1000倍液の場合,散布後の降水量が100mm程度の時の防除価は90~100%で,20mmになると70~80%に低下した。粉剤では降水量が200mmに達すると防除価が60~70%に低下するおそれが考えられる。
5,穂いもち多発年には,出穂直後から感染が多い傾向にあるので,予防効果しか持たないフサライド剤の穂ぞろい期散布は早目に行う必要があると思われる。
6,感染後3~4日以上を経過すれば薬剤の治療効果は著しく低下するようで,そのため穂ぞろい期散布において,薬剤の治療効果を期待するためには,早目に穂ぞろい期散布を行わねばならないと思われる。
7,フサライド剤は穂ばらみ期散布においても,6薬剤中もっともすぐれた防除効果を示した。その効果は散布後15日以上を経過してもなお著しかった。
抄録全体を表示