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本多 健一郎
2008 年 2008 巻 59 号 p.
1-8
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/05/20
ジャーナル
フリー
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藤井 直哉, 佐藤 玄, 加藤 雅也, 深谷 富夫
2008 年 2008 巻 59 号 p.
9-13
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2004~2007年にかけて秋田県内の現地実証圃場でいもち病の伝染源となりうる稲わら・籾殻を育苗施設や圃場周辺から撤去し, ジクロシメット顆粒水和剤による育苗期防除を行い, 同時に葉いもち防除として水面施用剤や箱施用剤, あるいは側条施用剤による防除を行った. その結果, 実証圃場では近隣の対照圃場と比べ葉いもちの発生が少なく, 穂いもちの防除が削除できた.
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笹原 剛志, 門間 陽一, 近藤 誠
2008 年 2008 巻 59 号 p.
14-17
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
1991年から2007年に県内80~110地点で実施された, 毎年9月の病害虫防除所巡回調査結果を基に, 結果対照研究の手法により, 前年の発生が翌年の稲こうじ病の発生程度に及ぼす影響について解析した. その結果, 前年発生が認められた圃場では翌年も発生するリスクが高まる傾向が有意に認められ, 翌年の発生程度が高いほど関連性が強くなった. また, この傾向は, 年次, 地域を問わず認められたが, 特に冷害年で稲こうじ病が多発した翌年の発生は, 前年発生圃場との関連性がより強かった. これらの結果から, 本病の発生は前年の圃場の影響を受けていることが強く示されており, その原因として伝染源が圃場に存在する可能性が示唆された.
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笹原 剛志, 三上 綾子, 畑谷 みどり
2008 年 2008 巻 59 号 p.
18-21
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2003年に宮城県内のある地域を対象に, 圃場毎の稲こうじ病の発生状況と圃場の耕種概要を調査し, この結果を基に, 稲こうじ病の発病株率変動要因を, 後向きコホート研究, 症例対照研究の手法で, 数量化I類により解析した. 解析には, 目的変数として各圃場の稲こうじ病発病株率を, 説明変数として圃場規模, 移植日, 品種, 基肥量, 追肥の有無, 堆肥施用の有無, 前年転作の有無, 防除の8要因を用いた. その結果, 最も影響が大きかったのは移植時期であり, 未熟堆肥の施用, 薬剤防除の有無などがこれに続いた. また前年転作した復元初年目の圃場で有意に発生が少なかった. 移植日や品種の影響については障害不稔に伴う稲体窒素濃度の増加や出穂期の違いによる感染好適条件の遭遇回数の違いが想定された. 転作の有無は, 稲体窒素濃度の上昇に伴う感受性の増加とは矛盾することから, 稲こうじ病の伝染源が圃場に存在し, 前年の転作による伝染源の減少が示唆された.
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水野 はるか, 相馬 潤, 近藤 則夫
2008 年 2008 巻 59 号 p.
22-25
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
北海道道央地域のコムギ栽培圃場に近接した水田からイネ残渣を採取し, 組織片から
Fusarium graminearum種複合体を分離した. これらの分離菌株について, Multiplex PCR法により, 種および毒素産生型を調査した. その結果, 2006年に分離した98菌株のうち40菌株 (41%), および2007年に分離した56菌株のうち18菌株 (32%) がNIV産生型の
F. asiaticumであった. 北海道の春播コムギの赤かび病に関与する病原菌ではDON産生型の
F. graminearum s. str. が優占し, NIV産生型の
F. asiaticumは極めて限定的であることから, イネ残渣上の種構成は, 北海道の春播コムギの発病に関与する種構成とは異なることが明らかとなった. さらに, 種構成と毒素産生型の分布に地理的な偏りは認められず, NIV産生型の
F. asiaticumはDON産生型の
F. graminearum s. str. と同様, 広範囲の水田のイネ残渣上に偏りなく分布していることが明らかとなった.
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小澤 徹, 安岡 眞二, 清水 基滋
2008 年 2008 巻 59 号 p.
26-29
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
コムギ赤かび病防除薬剤6種の
Microdochium nivaleによる赤かび病に対する防除効果を検討した. 本菌の分生子懸濁液を接種したポット試験では, アゾキシストロビン水和剤およびクレソキシムメチル水和剤が高い防除効果を示し, 次いでイミノクタジン酢酸塩液剤の防除効果が高かった. これに対し, DON汚染低減効果の高いと報告されているテブコナゾール水和剤およびメトコナゾール乳剤の本病に対する防除効果は低かった.
一方, 複数の菌種が混発した圃場での試験では, 散布後の発病穂における無散布区に対する菌種割合が薬剤によって異なっており, テブコナゾール水和剤およびメトコナゾール乳剤散布区では本菌の割合が高い傾向があった. このことから, 複数の菌種が混発する条件では, 防除価と発病穂における菌種構成とを勘案することで,
M. nivaleに対して効果の低い薬剤を推定することが可能であると考えられた.
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飯村 茂之, 岩舘 康哉
2008 年 2008 巻 59 号 p.
30-32
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
岩手県内におけるチオファネートメチル剤耐性ダイズ紫斑病菌の発生状況を, 2002年から2006年に調査した. 感受性菌はMIC値が1.56ppmであったのに対し, 耐性菌は, チオファネートメチル剤濃度1,600pprnでも菌糸の生育阻害が認められない高度耐性菌であった. 2006年に30地点から採集した506菌株のうち, 85.7%にあたる477菌株が高度耐性菌であり, ダイズ紫斑病の防除薬剤としては作用機作の異なる殺菌剤への切り替え等の対策が必要と考えられた.
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小松 勉
2008 年 2008 巻 59 号 p.
33-37
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
土壌還元消毒は地温30℃で20日間処理が基本とされており, 北海道においては処理可能な期間が夏に限定されていた. 還元消毒の処理可能な期間を拡大するため, 米ぬか2t/10aを投下し深耕ロータリで混和する深耕還元消毒を利用し春や秋における処理方法について検討したところ, 春における処理期間30日の平均地温が約22℃, 秋における平均地約20℃以上であれば, 灌水量をこれまでの標準とされる150mmよりも増加させ250mm以上で処理することにより還元消毒の効果が得られた.
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清水 基滋, 中山 尊登, 眞岡 哲夫, 津田 昌吾, 不破 秀明, 畑谷 達児, 森 元幸
2008 年 2008 巻 59 号 p.
38-41
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
ジャガイモ塊茎褐色輪紋病の病原ウイルス, ジャガイモモップトップウイルス (PMTV) はジャガイモ粉状そうか病菌で媒介されることから, 粉状そうか病の防除薬剤による塊茎褐色輪紋病の防除効果について検討した. 供試薬剤はフルアジナム水和剤およびフルスルファミドフロアブルで, 薬剤を全面散布後土壌混和処理して塊茎褐色輪紋病罹病性品種を植え付け, 枯凋期に塊茎を収穫したのち塊茎内部の病徴による発病調査を行った. 試験は汚染土壌を用いたプランター試験と圃場試験を行ったが, いずれの試験も薬剤処理区における塊茎褐色輪紋病の発生が少なく高い防除効果が認められた. 一方, 土壌中の粉状そうか病菌の感染ポテンシャルについて, 7月および10月に各薬剤施用区と無処理区とで比較したが, いずれの時期も差が認められなかった.
以上のことから, フルアジナム水和剤およびフルスルファミドフロアブルの全面散布後土壌混和処理は, PMTVの媒介者である粉状そうか病菌の汚染程度を低下させる効果は少ないものの, PMTVによる塊茎褐色輪紋病の被害回避対策として実用性が高いと考えられた.
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堀田 治邦, 佐々木 純, 竹内 徹
2008 年 2008 巻 59 号 p.
42-45
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2006年6月, 北海道東川町でトウガラシマイルドモットルウイルス抵抗性 (
L3/
L+型) 品種「さらら」に葉のモザイク症状やえそ症状が発生した. ELISA法による診断, 各種植物に対する病原性と病徴, 塩基配列の相同性から, 本症状はジャガイモYウイルスのO系統 (PVY-O) と同定された. 分離株は品種「さらら」に同様の症状を再現させたほか,
L3抵抗性を持っ2品種にも同様のえそ症状を示した. 北海道におけるPVY-Oによるピーマンのモザイク病は初めての報告である.
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三澤 知央
2008 年 2008 巻 59 号 p.
46-49
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
ネギ葉枯病の褐色楕円形病斑および黄色斑紋病斑の形成好適条件を明らかにするために, 接種温度およびネギの生育ステージが両病斑の発生程度に与える影響をポット試験で検討した. 褐色楕円形病斑の形成に好適な接種温度は10~15℃であり, 生育ステージと発生程度の間に明瞭な関係は認められなかった. 黄色斑紋病斑の形成に好適な接種温度は15~20℃であり, 生育が進んだ株ほど発生が多くなる傾向があった.
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三澤 知央
2008 年 2008 巻 59 号 p.
50-55
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2005年~2007年の3年間, 北海道渡島支庁管内の北斗市および七飯町内の露地ネギ栽培一般農家圃場において, ネギ葉枯病の発生消長調査を実施した. 褐色楕円形病斑のうち先枯れ病斑の発病株率は, 8月中旬~9月下旬に定植時期の早い作型から順に増加した. 斑点病斑は, べと病, さび病, 黒斑病の発生後に二次的に発生する事例が多く, 特にべと病発生後に多発する事例が多かった. 葉枯病菌の単独感染により斑点病斑が多発した事例はなく, 本菌の病原性は弱いと推察された. 黄色斑紋病斑は, 9月中旬~10月上旬に最も多発した. また, 収穫時期が遅れるほど多発する傾向があった.
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三澤 知央
2008 年 2008 巻 59 号 p.
56-59
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2007年9~10月に, 北海道内のネギ主要産地4支庁管内3市3町内のネギ栽培32圃場において, 葉枯病の発生量を病徴別に調査した. 調査した全圃場において, 褐色楕円形病斑および黄色斑紋病斑発生が認められ, 本病が全道的に発生している実態が明らかとなった. 褐色楕円形病斑が葉身先端部に発生し, 葉先枯れ症状を呈する株が全圃場で認められ, 発病株率は45.0~100%であった. 褐色楕円形病斑は, 葉身中央部にも発生し, 発病度は0~46.9であった. 本病斑と黒斑病を病徴で区別することはできなかったが, 118病斑を採取し顕微鏡観察により識別した結果, 116病斑が葉枯病であり, 黒斑病はわずか2病斑であり, 葉枯病が優占している実態が明らかとなった. 黄色斑紋病斑発病度は3.1~61.3であり, 発生が目立っ指数3以上の株の割合が10%を越えた圃場は32圃場中11圃場であった.
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西脇 由恵, 堀田 治邦
2008 年 2008 巻 59 号 p.
60-62
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2005年8月北海道滝川市のハウス栽培ピーマンにおいて, 葉裏を主体に白色粉状物が形成され, 葉表が退色した斑紋を生じる症状が多発した. 粉状物は分生子であり, 本菌を接種したとのろ原病徴が再現された. 病原菌は分生子の形態から
Odiopsis siculaと同定し, 北海道におけるピーマンうどんの病の発生を確認した. うどんの病の発生量とピーマン収量との関係を検討したとのろ, うどんの病により葉のほとんどが病斑に覆われ, 黄化や落葉を生じた場合には収量が減少する傾向が見られた.
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中山 秀貴
2008 年 2008 巻 59 号 p.
63-67
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
送風機にダクトチューブを接続し, トマト株に局所的に送風することによる灰色かび病, 葉かび病を対象とした病害抑制効果について検討した. 場内圃場を用いて2回, 現地圃場を用いて1回試験を行ったが, いずれにおいても本法の実施により病害の発生が減少し, その効果が認められた. この発病抑制効果は, 作物体周辺の湿度低下, 結露時間の短縮によるものと考えられた.
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岩谷 香緒里, 山下 一夫, 岩間 俊太
2008 年 2008 巻 59 号 p.
68-70
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2006年9月, 青森県弘前市で施設栽培ハウスのミニトマト (品種: キャロル10, トマト萎凋病菌レース1に抵抗性) および2007年8月に青森県平川市で施設栽培ハウスのトマト (品種: 桃太郎8, トマト萎凋病菌レース1および2に耐病性) において萎凋症状を示す株が発生した. この2地域のミニトマトおよびトマトから
Fusarium属菌が分離され, 判別品種を用いてレース検定を行った結果, トマト萎凋病菌レース3と同定された. また, PCR法によるレース検定においても, トマト萎凋病菌レース3と同定された. 青森県におけるトマト萎凋病菌レース3の発生は初めてである.
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齋藤 克哉, 土門 清, 本間 隆, 川崎 聡明, 小形 恵美, 堀 由紀子
2008 年 2008 巻 59 号 p.
71-73
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2005~2007年の3年間, ストック萎凋病に対する土壌還元消毒の防除効果について現地実証試験を行った. その結果, 土壌還元消毒法はストック萎凋病に対して高い防除効果が見られた. しかし, その防除効果は処理翌年には低下した.
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千葉 賢一, 小野田 和夫, 阿部 潤, 岩舘 康哉, 竹澤 利和
2008 年 2008 巻 59 号 p.
74-76
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
リンドウ「こぶ症」株から採取した茎 (穂木) を, 露地の隔離ベッドに植栽していた健全株 (台木) に, 茎伸長が旺盛になり始める5月中旬に切り接ぎした. 翌年, 多くの株で節間が短縮するとともに, 「こぶ症」の特異的な外観症状である茎表面の微小な隆起が, 接ぎ木した12株中5株で観察され,「こぶ症」は露地栽培においても接ぎ木伝染することが確認された.
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仲谷 房治, 原田 幸雄
2008 年 2008 巻 59 号 p.
77-81
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
東北地方の高標高地 (標高950-1,600m) に分布する湿原でリンドウ (エゾオヤマリンドウ) にさび胞子世代, ヌマガヤに夏胞子と冬胞子世代を形成する異種寄生性さび病菌およびリンドウが自生していない八甲田田代平湿原 (標高560-580m) において多発しているヌマガヤさび病菌は, ヌマガヤ属さび病の既知種.
Puccinia moliniae Tul. と形態的特徴がほぼ一致した. 田代平湿原で採集したヌマガヤさび病菌をエゾオヤマリンドウに接種したところ, さび胞子世代を形成した. 1年の調査では, 田代平湿原のヌマガヤで, 本病は8月5日に散発し, 特定の株にだけ病斑が形成され, 周辺の伝染源と思われるさび胞了世代のさび病菌に感染した植物は認められなかった. 田代平湿原における夏胞子の伝播によるさび病の蔓延は, 異種寄生性の生活環が観察される高標高地の湿原に比較して, 約1か月も遅い9月中旬まで続いた.
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菅原 敬, 松館 綾子, 伊藤 陽子
2008 年 2008 巻 59 号 p.
82-85
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
Water-soaked lesions on petal and leaf spots were observed on melampodium (
Melampodium paldosum), and inflorescence rot appeared on the smoke tree (
Cotinus coggygria) in Yamagata prefecture, Japan. The pathogenicity of each isolate obtained from diseased plants to host plants was demonstrated by artificial inoculation. These isolates were identified as
Botrytis cinerea on the basis of morphological and cultural characteristics and the sequence of the internal transcribed spacer regions of ribosomal DNA (rDNA-ITS) homology. Because no disease of these plants caused by
B. cinerea has ever been reported in Japan, we propose to name the disease gray mold (“haiiro-kabi-byo” in Japanese) of melampodium and smoke tree.
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杉山 悟, 佐藤 豊三, 森脇 丈治, 景山 幸二, 忠 英一
2008 年 2008 巻 59 号 p.
86-89
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2006年6月, 青森県で切り花用として露地栽培されていたワレモコウ (
Sanguisorba officinalis L.) の葉, 葉柄および花茎に暗紫色の斑点を生ずる病害が発生した. 病斑からは
Colletotrichum属菌が分離され, 健全ワレモコウへの分生子の噴霧接種により原病徴が再現された. 分離菌の分生子, 付着器の形態, PDA培地上での生育適温・温度範囲, ベノミル添加培地上での生育およびrDNAのITS領域に基づく分子系統解析の結果等から病原菌を
Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simrnondsと同定した. 本病は未報告であるため, 新病名としてワレモコウ炭疽病 (Anthracnose) を提案する.
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佐藤 利美, 菅原 敬, 工藤 則子
2008 年 2008 巻 59 号 p.
90-93
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2006年および2007年に, 山形県村山地域で切花用に露地夏出し栽培していたベニバナ (品種「もがみべにばな」) に, 株の萎れや葉の黄化症状が発生し,
Fusarium属菌が分離された. 分離菌はベニバナに病原性を有し, 培養性質および形態的特長から
Fusarium oxysporum Schlechtendahl: Friesと同定された. 国内では本菌によるベニバナの病害は記載がなく, ベニバナ萎凋病 (Fusarium Wilt) と呼称することを提案する.
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雪田 金助, 赤平 知也, 山本 晋玄, 福士 好文
2008 年 2008 巻 59 号 p.
94-98
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2007年の青森県において, リンゴ‘ふじ’の開花期間中に黒星病菌の感染に極めて好適な日が続き, 「開花直前」と「落花直後」の適期にDMI剤を散布したにもかかわらず, 一部園地で黒星病が多発した. これら多発生園ではシメコナゾール剤が2回使用されており, 比較対照の少発生園では1回使用もしくは使用されていなかった. 病原菌の接種による多発生での防除試験で, シメコナゾール水和剤, テトラコナゾール水和剤およびシメコナゾール・マンゼブ水和剤は他のDMI剤に比べて, 防除効果が劣った. また, 2回の薬剤散布の間に病原菌を3回接種した多発生の体系散布防除試験で, シメコナゾール水和剤+シメコナゾール・マンゼブ水和剤は, ヘキサコナゾール水和剤+ジフェノコナゾール・マンゼブ水和剤などに比べて, 防除効果が劣った. 以上から, 一部のDMI剤は多発生の条件で防除効果が劣る場合があり, それらのDMI剤を開花期前後に使用したことが黒星病多発生の一要因になったと考えられた.
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浅利 正義
2008 年 2008 巻 59 号 p.
99-102
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
積雪寒冷地におけるリンゴ黒星病菌の子のう胞子の飛散開始日は, 消雪日を起算日とした日平均気温の積算温度が180日度に達し, かつ飛散条件を満たす降雨があった日と推定された. また, 分生子接種による葉の発病は接種日を起算日とした日平均気温の積算温度が220日度前後になったときに観察された. さらに, 180日度到達日 (消雪日からの積算温度が180日度に達した日) 以降に感染条件を満たす葉の濡れ (10時間以上) を最初に伴った日を推定初感染日とすると, 2002~2007年の6ヵ年において, 葉における推定初発 (推定初感染日からの積算温度が220日度に達した日) は実際の初発確認日とよく一致した.
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猫塚 修一, 岩舘 康哉
2008 年 2008 巻 59 号 p.
103-108
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
9月の薬剤散布を省略することを目的に, この時期の防除対象となるリンゴすす斑病の果実感染量を低減させる殺菌剤を選抜し, その効果的な散布時期を検討した. 9月を無防除とし, 8月上旬に散布する防除薬剤の影響を検討したところ, トリフロキシストロビン水和剤 (Tri) 他3剤が, 対照のキャプタン・ホセチル水和剤に比べて高い防除効果を示した. この防除試験区内で実施した果実曝露による感染試験 (曝露試験) では, Tri他3剤は9月前半に曝露した果実の発病程度が対照剤に比べて低く, Triの発病程度が最も低かった. Triの8月上旬散布による防除効果は8月下旬散布に比べて優れ, この試験区内で9月後半に曝露した果実の発病程度も, 8月上旬散布が最も低かった. 以上から, 9月を無防除とした防除体系において, Triを8月上旬に散布することで, 9月の果実感染量が減少し, 収穫時の果実発病を低減させることができると考えられた.
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小笠原 博幸
2008 年 2008 巻 59 号 p.
109-112
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2007年, 青森県南部地方のウメおよびアンズのほ場で, 落花10日後頃から葉に赤褐色の斑点が生じ, やがて斑点部位がせん孔する症状と, 果実に赤褐色の斑点を生じる症状が発生した. 病患部から分離した糸状菌について, 形態的特徴, 培養性質および病原性を検討したところ,
Monilinia fructicolaによる灰星病の一症状であることが明らかとなった.
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吉村 具子, 越智 昭彦, 佐藤 利美
2008 年 2008 巻 59 号 p.
113-115
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
山形県の斑点米カメムシ類主要種であるアカヒゲホソミドリカスミカメについて, 割れ籾の発生数と登熟段階が幼虫の生存及び発育に与える影響を, 出穂21, 28日後の穂に対する本種幼虫の放飼試験により検討した. 品種は山形県主力品種である「はえぬき」を用いた. 出穂21, 28日後とも, 放飼7日後の割れ籾数と幼虫生存率の間に有意な正の相関があり, 斑点米の多くは割れ籾で発生した. ただし, 出穂28日後の穂では割れ籾数が多いにもかかわらず幼虫生存率が低い事例が見られた. また, 割れ籾の発生は, 出穂21日後に比べて28日後で有意に多く観察されたものの, 両者の幼虫生存率はほぼ同等であった. 一方, 生存幼虫の齢構成は異なり, 出穂28日後の穂で齢の進行が有意に遅れる傾向があった。 以上のことから, 本種幼虫の生存と発育には, 割れ籾の発生数と登熟段階が関与することが示唆された.
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横田 啓, 鈴木 敏男
2008 年 2008 巻 59 号 p.
116-119
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
アカスジカスミカメの越冬世代密度を低く維持するため, 越冬世代幼虫の密度低減に効果的な草刈時期について検討した. アカスジカスミカメの有効積算温度は農家現地圃場における発生消長とおおむね一致したので, 越冬世代孵化盛期は予測可能と考えられた. また, アカスジカスミカメ越冬世代幼虫の密度低減に効果的な畦畔草刈時期の目安は孵化盛期であった. なお, 平年のアカスジカスミカメ越冬世代孵化盛期は, 岩手県中南部は6月上旬, 岩手県北・沿岸部は6月中旬である.
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橋本 庸三, 齊藤 美樹
2008 年 2008 巻 59 号 p.
120-122
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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アカヒゲホソミドリカスミカメに対する水面施用粒剤について, 薬剤の施用時期を出穂期の前後に設定し, 出穂期から時期をずらして本虫を放飼するポット試験によってその残効期間を検討した. 出穂期前の施用では薬剤の種類によりその残効期間は異なったが, 最長で薬剤施用後約5週間の残効期間が認められた. 出穂期以降の施用では各薬剤とも薬剤施用後1~3週間の残効期間が認められた.
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橋本 庸三, 齊藤 美樹
2008 年 2008 巻 59 号 p.
123-125
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
アカヒゲホソミドリカスミカメに対する水面施用粒剤について, 薬剤の施用時期を出穂期の前後に設定し, 圃場試験によってその防除効果を検討した. 水面施用粒剤の出穂期以降1回処理は, 対照薬剤の2回散布よりもアカヒゲに対する防除効果が高く, 水面施用粒剤を使用して, 現行の基幹防除である2回の散布を1回施用に削減できる可能性は高い. また, 対照薬剤より優る防除効果を示した水面施用粒剤 (あるいは施用時期) では特に幼虫の発生が低く抑えられ, 斑点米混入率が低くなった.
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櫻井 民人, 榊原 充隆
2008 年 2008 巻 59 号 p.
126-128
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
We examined the effect of exposure of eggs deposited on wheat seedlings to low temperature (4°C) on hatching in the sorghum plant bug,
Stenotus rubrovittatus. The number of newly hatched nymphs depended on the number of days in which the eggs were exposed to the low temperature. When the eggs were maintained at 4°C for 4 days, the number of nymphs decreased by half compared with the case in which the eggs were maintained at 25°C (i.e., control). On the other hand, the number of nymphs in the 2-day exposure group was 87% of that in the control. Furthermore, exposing the eggs to the low temperature did not affect the number of days until hatching. These results suggest that we can store eggs at 4°C within 2 days in order to synchronize the hatching.
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中村 智幸, 加藤 雅也, 新山 徳光, 高橋 良知
2008 年 2008 巻 59 号 p.
129-132
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
2004~2007年にかけて秋田県のダイズほ場におけるウコンノメイガの食害発生状況を調査し, 予察灯での誘殺数とダイズほ場での葉巻数の関係について検討を行った. ウコンノメイガの発生は2005年以降全県的に広がってきており, 特に沿岸部と県南内陸部で食害が目立った. 予察灯での誘殺数とほ場での葉巻数の関係についてみると, 7月の誘殺数と8月下旬の葉巻発生数には高い正の相関が認められた. このことから, 予察灯での誘殺数を調査することで8月下旬の全県的な葉巻発生の多少について予測できる可能性が示唆された.
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三田村 敏正, 松木 伸浩
2008 年 2008 巻 59 号 p.
133-136
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
The overwintering habit of
Pleuroptya ruralis was investigated in Fukushima Prefecture. Overwintering-generation larvae were found in the whole prefecture from April to May, 2007. The host plants of the larvae were
Boehmeria nivea var.
nipononivea,
B. nivea var.
nivea,
B. silvestrii,
B. spicata and
B. robusta. The overwintering sites of the larvae were under the host plants and cocoons were made from fallen leaves of these plants. The larvae overwintered mainly as 4th instars followed the 5th and 3rd instars.
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小野寺 鶴将, 山崎 敬之
2008 年 2008 巻 59 号 p.
137-141
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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北海道東部のダイズわい化病多発圃場において, 本病に対する抵抗性系統を供試し, ジャガイモヒゲナガアブラムシ防除のため殺虫剤を組合せ処理した. ダイズわい化病に対する被害回避効果を調査したところ, 抵抗性系統は感受性品種に比較して発病個体率を低く抑制し, さらに系統によっては発病個体率に対する減収程度が軽いものも認められた. これらの抵抗性系統は殺虫剤処理により, さらに発病個体率が低下し, 1~3回の処理で感受性品種に対する4回処理と同等の防除効果を示した. 以上のことから, 抵抗性品種の利用により殺虫剤の処理回数を削減できることが示唆された.
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三宅 規文, 田中 義則, 堀 一嘉, 武澤 友二, 岩崎 暁生
2008 年 2008 巻 59 号 p.
142-144
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
ハスモンヨトウ抵抗性ダイズ品種の育種母本として利用されている「ヒメシラズ」の, ヨトウガに対する生育阻害効果 (抗生性) の有無を検討した. 6齢幼虫を「ヒメシラズ」で飼育した場合, 非抵抗性品種「トヨムスメ」またはテンサイで飼育した場合と比較して, 6齢期間は延長し, 蛹の体長, 6齢初期~蛹の体重増加率は小さく, これらの差は統計的に有意だった. ヨトウガ6齢幼虫を「ヒメシラズ」で飼育した場合の抗生性指数 (各齢期後の脱皮直後の体重/各齢期間) の非抵抗性品種に対する比43は, ハスモンヨトウに対して報告された46に近かった. このことから, 「ヒメシラズ」がヨトウガに対して示す抗生性は, ハスモンヨトウに対する場合と同程度であると考えられた. また, より簡易な抗生性検定のため, 5齢以前の齢期での検定の可能性についても検討した結果, 若・中齢期の抗生性の評価においては抗生性指数以外の指標を用いることが適している可能性が示唆された.
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高篠 賢二, 榊原 充隆, 本多 健一郎, 野田 隆志, 岡田 益己
2008 年 2008 巻 59 号 p.
145-148
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
We investigated daily catch data obtained using a water pan pheromone trap for the diamondback moth (DBM) from 1986 to 2007 in Morioka, Japan. We focus on the following indexes to define their annual change in spring, namely, the date of the first catch (FC), the first day of catching DBM for three or five consecutive days or more (3CD and 5CD) and the first day of double-figure DBM catch or more (DF). Although the FC had no remarkable tendency, there was a significant negative correlation between the other indexes, namely, 3CD, 5CD and DF, and years. It was shown that the recent date of DBM pheromone trap catch in spring was earlier than that twenty years ago.
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三澤 土志郎, 佐藤 一至, 米沢 悟, 新山 徳光
2008 年 2008 巻 59 号 p.
149-152
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
キャベツのコナガに対して, 11種類の薬剤について防除効果試験を行った. 最も即効性に優れ, 残効性も高いのはフルベンジアミド水和剤であった. そこで, フルベンジアミド水和剤を組み入れたキャベツの防除体系の検討を行った. フルベンジアミド水和剤の処理時期として, 定植4~5週間後 (結球始期1週間前~結球始期) が適していると考えられた. また, 防除体系にフルベンジアミド水和剤を取り入れることでコナガの発生密度が低く抑えられ, 慣行区の半分以下の防除回数で品質を同等にすることが可能であった.
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増田 俊雄, 宮田 將秀
2008 年 2008 巻 59 号 p.
153-157
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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春まきキャベッおよび秋まきキャベッ栽培において, 被覆植物として大麦およびヘアリーベッチを混植すると, モンシロチョウをはじめとする害虫密度が抑制され, 被害が著しく軽減された. 春まきでは大麦の混植による障壁効果とゴミムシ類による捕食により, 害虫被害が軽減されたと考えられる. 一方, 秋まきでも害虫密度は抑制され被害程度も軽減されたが, ヘアリーベッチ混植区と除草区ではゴミムシ類成虫の発生に大きな差がなかった. そのため, 秋まきキャベッの害虫密度抑制には捕食者としてのゴミムシ類の関与はほとんどなく, 被覆植物の障壁効果によるものが大きいと考えられる.
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宮田 將秀, 山中 聡
2008 年 2008 巻 59 号 p.
158-160
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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ナス圃場において, スワルスキーカブリダニを株元に放飼し, その後の株上への分散, 定着状況について調査した. 25頭/m
2放飼区では, 放飼7日後に中位および下位葉でスワルスキーカブリダニが確認され, 13日後には上位葉にも確認された. 50頭/m
2放飼区では, 放飼7日後に上位, 中位, 下位葉のすべてにおいてスワルスキーカブリダニが確認された. その後, 両区とも放飼35日後までスワルスキーカブリダニは葉上で確認され, 定着性が非常に高いと考えられた.
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宮田 將秀, 増田 俊雄, 山中 聡, 桃下 光敏
2008 年 2008 巻 59 号 p.
161-164
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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イチゴの施設内へのアザミウマ類やアブラムシ類の侵入に対して, 目合い0.6mmおよび0.8mmの防虫ネットや粘着ロール, 光反射シートの設置による侵入抑制効果試験を実施した. アザミウマ類およびアブラムシ類に対する侵入抑制効果は, 防虫ネットが最も高く, 次いで光反射シート, 粘着ロールの順であった. また, 防虫ネットと光反射シートの組み合わせは防虫ネットと粘着ロールの組み合わせよりも有効であった. 光反射シートと粘着ロールの併用は, 程度は少ないものの, 併用しない場合に比べて効果は上がった.
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橋本 直樹
2008 年 2008 巻 59 号 p.
165-169
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
北海道のハウス栽培ピーマンの主要害虫ヒラズハナアザミウマについてタイリクヒメハナカメムシ剤の利用法を検討した. タイリクヒメハナカメムシ剤を導入したピーマンハウスでのヒラズハナアザミウマ寄生密度は, ハウス被覆資材が一般に利用されるポリオフェレン系フィルムでは, 7月までは抑制できたが, 野外からの侵入・寄生が多くなる8月には抑制できなかった. しかし, 侵入抑制効果がある近紫外線除去フィルムと組みあわせることで, 栽培期間を通して, 寄生密度を抑制することが可能であった.
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鈴木 智尚, 堀 雅敏, 松田 一寛, 増田 俊雄
2008 年 2008 巻 59 号 p.
170-173
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
アシグロハモグリバエは近年, 世界中へと分散拡大し, 各地で甚大な被害をもたらしている. 本研究では, 各種作物に対する本種の吸汁・産卵行動を調査し, 作物間での違いを比較検討した. その結果, 寄主とされている作物間においても吸汁や産卵に選好性があることが判明した. また, 吸汁痕数と産卵数は概ね相関することが明らかとなった. さらに, コマツナやハクサイなど, これまで被害が報告されていない作物にも吸汁痕数や産卵数が多いものがあり, 潜在的に寄主となりうる作物の存在が新たに示唆された.
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新藤 潤一, 石谷 正博, 北野 のぞみ
2008 年 2008 巻 59 号 p.
174-178
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
The inhibitory effects of insecticides on the garden pea leafminer
Chromatomyia horticola (Goureau) on turnip leaves were examined under field conditions. Among of the 15 insecticides tested by spraying them on plants infested with leafminer larvae, tolfenpyrad was highly toxic on larvae of the insect and reduced the number of feeding traces of the larvae on the leaves. Spinosad, emamectin-benzoate, milbemectin, chlorfenapyr and cyromazine were also effective in controling leafminer populations, but their reduction effect on the number of feeding traces was weaker than that of tolfenpyrad. No such effects were observed on the plants sprayed with malathion, phenthoate, permethrin, thiamethoxam and acetamiprid.
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青木 元彦
2008 年 2008 巻 59 号 p.
179-181
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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露地栽培アスパラガスにおいて, ジュウシホシクビナガハムシ越冬成虫を放飼し, 収穫終了後の幼虫に対する薬剤防除の効果について検討した. 放飼後薬剤防除をしていない2006年では収穫期間の平均成虫頭数が約25頭/10株となり, 成虫による食害率も約67%に達した. 2006年の収穫終了後, 幼虫に対して7月上旬から8月下旬にかけて薬剤防除を5回実施した. その結果, 翌2007年の収穫期間の平均成虫頭数が0.4頭/10株となり, 成虫による食害率は約10%まで低下した. また, 圃場内の成虫の越冬密度も防除前の2005年秋では3.7頭/10株確認されたのに対し, 防除後の2006年秋では0.3頭/10株と低下した. このことから, 露地栽培アスパラガス収穫終了後の幼虫に対する薬剤防除は, 次世代の成虫密度を抑制して圃場内で越冬する成虫密度を低下させ, 翌年の成虫による若茎の食害を減少させると考えられた.
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青木 元彦
2008 年 2008 巻 59 号 p.
182-184
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
ジュウシホシクビナガハムシ幼虫に対して, アスパラガスで収穫前日まで登録のある8種の殺虫剤の防除効果について検討した. いずれの殺虫剤も効果が認められたが, 特に効果が高かったのは, 合成ピレスロイド系のアクリナトリン水和剤とネオニコチノイド系のアセタミプリド水溶剤で, 残効は共に14日程度認められた. 次いでペルメトリン乳剤とクロチアニジン水溶剤であり, 残効はそれぞれ10日程度であった. 有機リン系のDDVP乳剤, その他の系統のスピノサド水和剤DF, エマメクチン安息香塩酸乳剤及びクロルフェナピル水和剤Fは残効が短く, 7日以内であった. ネギアザミウマが同時に発生している場合は, アセタミプリド水溶剤などネオニコチノイド系殺虫剤を, ヨトウガが同時に発生している場合はペルメトリン乳剤を散布することで同時防除が可能である.
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糸山 享, 宮山 仁史, 菊池 英樹, 新山 徳光
2008 年 2008 巻 59 号 p.
185-188
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
簡便な薬剤感受性検定法を用いて, ホウレンソウケナガコナダニに対する有効薬剤の検索を行った. 本種は供試した28薬剤の多くに対して高い耐性を示したが, 検索の結果から有機リン系薬剤のPAP乳剤およびMEP乳剤が登録薬剤であるDDVP乳剤50よりも高い感受性を示した. 2008年にDDVP乳剤50の生産が終了することから, PAP乳剤とMEP乳剤が代替剤として有望であると考えられる. これらの薬剤について, 今後は登録に向けた試験データを蓄積する必要がある.
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水谷 杏子, 仲島 義貴
2008 年 2008 巻 59 号 p.
189-194
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
Dendrocerus carpenteri (Curtis) (Megaspillidae) and
Asaphes suspensus (Nees) (Pteromalidae) are common aphid hyperparasitoids attacking primary parasitoids of economically important aphid pests. In this study, we investigated the developmental time and morphological characteristics of both species. Under laboratory conditions (20±1°C, 16L-8D), the developmental times of
D. carpenteri and
A. suspensus were 16 and 23 days, respectively. All immature stages could be distinguished between the two species by the shape, color, surface structure and behavior of the organisms.
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木村 佳子
2008 年 2008 巻 59 号 p.
195-198
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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青森県のリンゴ園では, ナシマルカイガラムシの発生が増加しているため, 本種の発生と殺虫剤の使用との関わりを検討した. 本種の歩行幼虫は, リンゴ樹において6月中旬から10月まで連続的に認められ, その発生ピークは7月上旬と8月下旬の2回であった. 6~8月に使用するモモシンクイガ防除剤の多くは, 本種の定着初期の1齢幼虫に高い効果を示すことが明らかとなった. また, モモシンクイガ防除剤の使用回数が少ない園地で, 本種の被害がみられたことから, 殺虫剤の散布回数減少がナシマルカイガラムシ増加の背景にあることが示唆された.
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3. 気温から予測した歩行幼虫発生時期と実際の発生時期の比較
新井 朋徳, 成田 治, 井原 史雄, 高梨 祐明, 豊島 真吾
2008 年 2008 巻 59 号 p.
199-206
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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果樹研究所リンゴ研究拠点内 (岩手県盛岡市) の殺虫剤無散布リンゴ園において2007年のナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生時期を予測し, 予測した時期と実際の発生時期を比較した. 2007年の第1世代歩行幼虫発生時期は, 中央日の有効積算温度を使い予測した時期とほぼ同じ時期か, 予測時期よりも早かった. また, 国内各地におけるナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生時期と, 気温から予測した発生時期とを比較したところ, 第1世代歩行幼虫の発生時期は予測した範囲内か, 予測範囲に近い時期に認められた.
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櫛田 俊明, 石栗 陽一
2008 年 2008 巻 59 号 p.
207-209
発行日: 2008/12/26
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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地表に落下させたリンゴの摘果果実への, モモシンクイガによる産卵状況を調査した. モモシンクイガの多発生条件下で, 樹上の着生果実には継続的に多数の卵が産み付けられたが, 地表の摘果果実には, 摘果当夜にごくわずかの産卵が認められただけであった. 摘果果実に産み付けられた卵からふ化した幼虫は果実に食入したが, 果実が日焼けなどによって腐敗し, 幼虫は発育を完了できなかった. これらの結果から, 地表に散乱しているリンゴの摘果果実はモモシンクイガの発生源として重要ではないと考えられた.
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