北日本病害虫研究会報
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2011 巻, 62 号
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報文
  • 本藏 良三, 菊地 貞文
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 11-17
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    屋外ではせ架けして越冬させたいもち病罹病稲わらは翌年5 月末頃でも分生胞子形成能を保持していた.越冬わらから分離された菌株と稲わら近くで発生した本田葉いもち初発病斑から分離された菌株は,レースおよびゲノム中に存在する転移因子Pot2 およびMGR586 を対象にしたDNA フィンガープリントのバンドパターンが全部または一部の菌株間で一致したことから,それらは同一個体群のものと考えられた.また,稀少レースである437.1 菌が越冬わらと葉いもち初発病斑から分離されたこと,葉いもち初発生時期が宮城県全体の初発生時期であったこと等から,供試水田で発生した葉いもちの多くは越冬わらから伝染したものであり,宮城県中部地域においては屋外にはせ掛けした罹病わらでイネいもち病菌は越冬可能であり,はせ架けした稲わらは葉いもち伝染源になり得るものと考えられた.

  • 小倉 玲奈, 美濃 健一, 白井 佳代
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 18-25
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    イネ種子伝染性病害(いもち病,ばか苗病,褐条病および苗立枯細菌病)に対する生物農薬,温湯消毒それぞれに催芽時食酢処理を組み合わせた体系処理,また温湯消毒と生物農薬を組み合わせた体系処理の防除効果を検討した.生物農薬(トリコデルマアトロビリデ水和剤)を用いた種子消毒処理に催芽時食酢処理を組み合わせることにより,いもち病,ばか苗病,褐条病および苗立枯細菌病に対する明らかな発病抑制効果の改善が認められた.また,温湯消毒に催芽時食酢処理を組み合わせた場合,褐条病および苗立枯細菌病に対する発病抑制効果が改善する傾向がみられ,特に褐条病で顕著であった.温湯消毒と生物農薬(タラロマイセスフラバス水和剤)を組み合わせた体系処理を行ったところ,褐条病および苗立枯細菌病に対し体系処理による防除効果の向上が認められた.

  • 小澤 徹, 松原 昭美, 安岡 眞二, 池田 幸子, 長濱 修, 三浦 秀穂, 小池 正徳
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 26-29
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    2010 年,北海道十勝地方で秋まきコムギの穂に赤かび病が多発した.また,同年は7 月上旬から葉身に褐色の斑紋を生じ,やがて葉身や葉鞘が枯死する症状も認められた.穂の発病および葉身の斑紋症状ともに,病原菌はMicrodochium nivale が主体であった.本菌による赤かび病はこれまで低温年に多発するとされてきたが,2010 年は開花期間中の気温が高く推移したことから,本菌による赤かび病は高温年でも多発する事例が確認された.

  • 大場 淳司, 齋藤 泰彦, 中塩 修, 竪石 秀明
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 30-36
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    コムギ赤かび病では予防防除が中心であり,感染小穂からの病勢伸展が顕著であるコムギ品種では,感染小穂の抑制,すなわち開花期防除の効果を最大限に得ることが特に重要である.そこで,本病に対する抵抗性が弱い品種「ゆきちから」を用い,無人ヘリ防除と比較して10a あたりの使用薬液量がより多い地上防除では,すべての穂に薬剤が付着する確率が高く,安定して高い防除効果が得られるとの仮説を立て,防除効果と薬剤付着量に関する試験を行った.また,薬剤散布のコスト低減を目的に,地上防除における薬剤散布量削減の可能性について検討した.供試薬剤はメトコナゾール水和剤とした.その結果,無人ヘリ防除と地上防除の効果に差は認められず,ともに高い防除効果を示した.また,地上防除では,単位面積あたりの散布量を同一濃度のままで現行(宮城県)の2/3 に削減できることが示唆された.

  • 大場 淳司, 平 智文, 伊東 知英, 齋藤 泰彦, 中塩 修, 竪石 秀明
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 37-42
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    ダイズ栽培において非選択性除草剤の畦間散布用に開発され,宮城県でも普及している吊り下げ式の畦間処理装置(万能散布バー:北海道糖業社製)は,散布部の高さや幅,そして角度の調整が可能であることから,本装置のコムギ赤かび病防除への適用性があると考え,一連の試験を行った.供試薬剤は,県内で広く用いられているメトコナゾール水和剤とした.その結果,本処理装置の赤かび病防除への汎用性が確認された.加えて,本処理装置を用いることで,効率よくコムギの穂に薬剤が付着する傾向が認められたことから,浸透移行性の低い,あるいはない薬剤を用いた場合,慣行ノズルと比較してより効率のよい薬剤散布が可能であると推察された.また,栽培現地で強風時の殺菌剤散布に用いられている除草剤ノズルを使用した殺菌剤散布効果はやや劣ったことから,赤かび病に対する薬剤散布では強風時を避けることのほかに,ノズルの選択も重要であることが明らかとなった.

  • 堀田 治邦, 佐々木 純
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 43-46
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    In May 2010, severe symptoms caused by Soil-borne wheat mosaic virus(SBWMV)were observed in winter wheat fields(Triticum aestivum, cvs. Hokushin, Kitahonami, and Kitanokaori)in the central area of Hokkaido. The symptoms on leaves were observed as light green to yellow mosaic, and the growth of symptomatic plants were markedly stunted. SBWMV was detected from the diseased plants by tripleantibody sandwich enzyme-linked immunosorbent assay(TAS-ELISA)with monoclonal antibodies(Agdia Inc. and Neogen Inc.).The presence of SBWMV was further verified by reverse transcription(RT)- PCR using SBWMV universal primers SBWMV-UNIF and SBWMV-UNIR. The virus was transmitted from diseased plants to wheat seedlings(cv. Hokushin)through Chenopodium quinoa by mechanical sap inoculation, and detected again. This is the first report on the occurrence of SBWMV in winter wheat in Hokkaido.

  • 堀田 治邦, 竹内 徹, 佐々木 純, 鈴木 孝子, 木口 忠彦
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 47-49
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    1996 年~2010 年の15 年間で北海道におけるコムギ縞萎縮病の発生分布を調査した.Wheat yellow mosaic virus 抗体を用いた直接吸着間接ELISA で延べ4,439 サンプルのうち,1,671 を陽性と判定した.道内の発生分布は調査以前に3 地域5 市町であったものが,調査開始後で年々新規発生市町村は増加し,2010年までに9 地域の57 市町村(1996 年現在の行政区分)に拡大した.新規発生の市町村は既発市町村に隣接して発生する傾向が認められた.

  • 三澤 知央, 小松 勉
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 50-54
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    Hypocotyl rot of soybean and adzuki bean were observed in commercial fields of Hokkaido, Japan in June 2008. A Rhizoctonia-like fungus was frequently isolated from diseased portions of the plants. We identified the soybean isolate as Rhizoctonia solani anastomosis group(AG)-2-2Ⅳ and the adzuki bean isolate as R. solani AG-1ⅠB on the basis of cultural appearance, mycelial growth temperature, hyphal anastomosis, and the results of PCR using subgroup-specific primers. Inoculation tests with the isolates revealed that the fungus caused the same symptoms on the original hosts and were reisolated from portions of the host exhibiting the symptoms. We propose R. solani AG-2-2Ⅳas another pathogen of root rot of soybean, because it has not been reported as a pathogen in Japan. This is the first report on adzuki bean root rot caused by R. solani in commercial fields in Japan.

  • 門田 育生, 岩間 俊太, 宍戸 邦明
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 55-58
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    トマトかいよう病の診断において,植物病原検査キット(Agdia 社製Cmm イムノストリップキット;Cmm-IS)を使用して検出した場合の正確性を評価するため,同キットによる検査結果とその際に分離される病原細菌との関係を調査した.2010 年に青森県および福島県のトマトかいよう病と推定される病害が発生している農家圃場から採集した被害標本32 点についてCmm-IS で検査したところ,検査結果が陽性でかつかいよう病菌が分離された標本が6点,検査結果が陰性でかつかいよう病菌が分離されなかった標本が11 点であった.一方,残りの標本15 点は,検査結果が陽性でありながら,かいよう病菌が分離されなかった.これは,かいよう病菌の分離に選択性のない普通寒天培地を使用したために分離できなかった可能性があり,今後選択培地等を用いてCmm-IS の正確性をさらに検討する必要がある.

  • 岩舘 康哉, 吉田 雅紀
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 59-64
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
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    キュウリ黒星病に対する各種薬剤の防除効果を検討した.その結果,予防散布で効果が高いのは,ジフェノコナゾール水和剤,アゾキシストロビン水和剤,マンゼブ水和剤等であった.また,発病確認後散布で一定の効果が期待できるのは,ジフェノコナゾール水和剤,アゾキシストロビン水和剤であった.チオファネートメチル水和剤は効果が低く,本剤耐性菌が県内に広く分布していることが明らかとなった.

  • 岩舘 康哉
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 65-69
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    キュウリホモプシス根腐病に対するクロルピクリンくん蒸剤を用いた秋期の深層土壌くん蒸処理の効果を検討した.深層土壌くん蒸処理は,サブソイラー消毒機(松山株式会社,SSD-421)を用い,横30cm× ピッチ30cm,注入深30cm,3ml/穴による30l/10a の灌注処理とした.4 か年で実施した延べ6 試験の結果から,本法は,クロルピクリンくん蒸剤のマルチ畦内処理に比較すると効果がやや劣ったものの,無処理に対して防除効果が認められた.このことから,秋期の深層土壌くん蒸処理は,春期のマルチ畦内処理の実施が困難な場合の代替防除手段として有効で,防除作業時期の分散化に活用可能な技術と思われた.なお,本法を現地圃場で利用するためには,新たに農薬登録(適用拡大)を取得する必要がある.

  • 永坂 厚
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 70-74
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    東北地域のキュウリ栽培ではホモプシス根腐病への対策としてクロルピクリン剤のマルチ畦内消毒が行われている.本研究ではマルチ畦内消毒を実施した際に想定される,定植位置から離れた部位の伝染源まで根が伸長して起こる感染が萎凋症状に与える影響を,制御環境下で解明することを目的とした.汚染土壌までの深さ(Depth of Infested Soil : DIS)が0~25cm まで5cm 毎に段階的に深くなる全高30cm の積層土壌カラムを作成し,その上面にキュウリ苗を移植すると,DIS の増加に伴い萎凋症状の発症が遅延する傾向が見られ,特に15cm 以上となった場合に顕著であった.一方,これらの根量を全層が非汚染土壌の積層土壌カラムに移植した健全キュウリと比較すると,汚染土壌内では減少するが,非汚染土壌内では同程度ないし増加する傾向が示され,萎凋症状の顕著な遅延との関連性が示唆された.また,PCR による病原菌検出の結果から,非汚染土壌内の根における病原菌の感染は,汚染土壌に近い部位から根系基部に向かって進展したことが示され,萎凋症状の発症時期に影響することが示唆された.

  • 小松 勉, 木村 文彦, 清水 理沙
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 75-78
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    メロン黒点根腐病に対する防除法としては,これまでクロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒が有効とされているが,環境負荷や労力の面から薬剤による土壌くん蒸以外の防除対策が求められている.本病は地温が高まると発生しやすいとされることから,地温抑制管理による被害軽減の可能性について検討した.2009,2010 年に,北海道における施設栽培メロン抑制作型でマルチ資材として慣行的に用いられる透明ポリエチレンフィルムとライトグリーン,ダークグリーン,白黒ダブルの各有色ポリエチレンフィルムを本病発生圃場に設置してメロンを栽培し,本病の発生程度,メロンの生育,収量および内部品質について調査した.慣行の透明に比較し,白黒ダブルでは全面設置,株元設置ともに地温抑制効果が高く,少発生条件下であったものの本病の被害軽減効果がみられた.収量・品質について,白黒ダブルを株元設置した2010 年は問題が見られなかったが,全面設置した2009 年は地温抑制効果により初期生育が遅れ,収量に悪影響がみられた.以上から,白黒ダブルの株元設置は,本病の耕種的防除法として有効であるが,多発条件下での効果確認など現地実証の積み重ねが必要であると考えられた.

  • 三澤 知央
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 79-84
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    Five fungicides available in organic cropping were evaluated against pea powdery mildew in terms of their control effectiveness and duration of effectiveness in the field in the period of 2008-2010. Sulfur flowable(SF)was the most highly effective with protective values of 99-100 for leaf, pod, and stem lesions. Sodium carbonate・copper wettable powder(SCC)and decanoyl-octanyl-glyceride emulsifiable concentrate(DG)were also highly effective with protective values of 94-100 for leaf and pod lesions, and 72-96 for stem lesions. Sodium carbonate water-soluble powder(SC)and Bacillus subtillis wettable powder :Impression(BSI)were also highly effective with protective values of 89-99 and 82-92 for leaf and pod lesions, while 49-68 and 42-73 for stem lesions, respectively. SF, SCC and DG remained effective 2 weeks,SC 1-2 weeks and BSI 1 week, after application. The leaves and pods sprayed with DG appeared glossy ;however, there are no practical problems associated with the glossiness in pea cultivation.

  • 三澤 知央, 黒川 太郎
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 85-88
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    Damping-off of Japanese hornwort(Cryptotaenia japonica)was found in Hokkaido, Japan in July 2007. A Rhizoctonia-like fungus was frequently isolated from the diseased portion of the plant. We identified this isolate as Rhizoctonia solani anastomosis group(AG)-2-2ⅢB on the basis of cultural morphology,mycelial growth at different temperatures, hyphal anastomosis, and the result of PCR using subgroup-specific primers. An inoculation test with the isolate revealed that the fungus caused the same symptom on Japanese hornwort and was reisolated from the portion of the plant exhibiting the symptom. Because it has not been reported as a pathogen causing damping-off of Japanese hornwort in Japan, except for R. solani AG-1ⅠB and AG-4HG-Ⅰ, we propose R. solani AG-2-2ⅢB as a new pathogen of Japanese hornwort.

  • 岩舘 康哉, 千葉 賢一, 竹澤 利和, 赤坂 志保, 川村 浩美, 多田 勝郎, 猫塚 修一
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 89-92
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    畦畔に存在するリンドウこぶ症原因物質等が土壌伝染や水媒伝染,もしくは土壌動物等を媒介者として畦畔から本圃内へ侵入するとの仮説のもと,本圃と畦畔の物理的遮断によって本症の発生を抑止できるか検討した.処理後4 か年にわたりこぶ症の発生状況を調査した結果,畦畔遮断処理区,無処理区とも同程度にこぶ症が発生した.また,畦畔遮断処理の有無に関わらず畦畔際からこぶ症が発生した.このことから,本研究で実施した畦畔遮断処理法では,こぶ症の発生を抑制できないと考えられた.

  • 赤平 知也, 山本 晋玄
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 93-95
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    青森県におけるリンゴ輪紋病の枝感染によるいぼ皮病斑の感染生態および薬剤の防除効果について検討した.いぼ皮病斑からの分生子飛散は5 月下旬から10 月下旬までみられ,7 月中旬から8 月上旬が飛散の最盛期であった.新梢および1 年枝での感染は6 月上旬頃から8 月中旬頃まで続き,いぼ皮病斑の形成は7月が最も多くなった.品種「ふじ」の新梢を用いた防除試験において,有機銅水和剤およびキャプタン・有機銅水和剤は対照の4-12 式ボルドー液と同等の高い防除効果を示した.

  • 赤平 知也, 山本 晋玄
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 96-99
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    CA 貯蔵(Controlled Atmosphere storage)していた2008 年産「ふじ」の果実において,こうあ部を中心に果肉が褐色水浸状に腐敗する症状が認められた.被害果には果肉腐敗のほかに果梗褐変を生じているものもみられ,それぞれの被害組織からはBotrytis 属菌が高率に分離された.分離菌株は培養性状,生育適温,形態観察からBotrytis cinerea と同定された.また果梗頂部へ分離菌を接種した結果,果梗褐変や褐色水浸状の果実腐敗が再現され,罹病組織からは同一菌が再分離された.以上のことから,CA 貯蔵中に発生したこうあ部腐敗はBotrytis cinerea による果梗感染で生じる被害であると考えられた.

  • 三瓶 尚子, 藤田 剛輝, 尾形 正, 菅野 英二, 瀧田 誠一郎
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 100-105
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    リンゴとモモが隣接する園地において両樹種に共通して使用できる病害虫防除体系(以下,共通防除体系)の構築を目的として,リンゴとモモの両樹種を適用作物とする薬剤を組み合わせ,かつ15 日程度の残効性がある薬剤を用いることで散布薬剤および散布日の共通化を図った共通防除体系について,現地圃場において2 カ年試験を行った.その結果,リンゴ輪紋病やモモホモプシス腐敗病などの主要な病害に対して慣行防除体系と比較して同等の防除効果が得られ,両樹種で65%の殺菌剤を共通化し,かつ約90%の散布日の共通化が可能となった.

  • 高橋 良知, 菊池 英樹
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 106-111
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    20~30a 規模の水田において,チアメトキサム(8%)・ピロキロン(12%)(TP)箱粒剤と畦畔管理を組み合わせた体系防除を行ったところ,TP 箱粒剤の防除効果は判然としなかったが,農道への除草剤散布と畦畔草刈り後のジノテフラン剤を用いた畦畔防除により,出穂期頃の畦畔および出穂期以降の水田内のカスミカメムシ類密度を低下させ,斑点米混入率が0.1%未満となった事例が確認された.一方,水田内のヒエの影響により水田内密度抑制効果が不十分である事例も確認されたため,水田内密度抑制効果の不安定要因となる水田内雑草の管理を徹底することが必要であると考えられた.今後さらにTP 箱粒剤を含めた畦畔管理との体系防除の効果について検討を重ねていく必要がある.

  • 小山 重郎, 藤村 建彦, 伊藤 征司
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 112-118
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    青森県と秋田県において,アワヨトウ成虫の糖蜜誘殺数と幼虫の発生程度を1987 年から2009 年までの23 年間について比較した.成虫誘殺数と幼虫発生程度は年によって大きく変動する.成虫誘殺数が多い年でなければ,成虫の飛来に続く幼虫の多発生は起こらないが,成虫誘殺数が多い年でも必ずしも幼虫が多発生するとは限らない.従って,成虫誘殺数が多い年に,その後の若齢幼虫の密度を調査すれば,これよって老齢幼虫の多発生を予察することができる.青森県深浦町に設置した糖蜜誘殺器への日別成虫誘殺数と気象条件の関連を調べた結果,低気圧と寒冷前線の通過に伴う南〜南西の強風時に成虫の誘殺数が急増することが認められた.また,誘殺された雌は卵巣がある程度発達し,交尾済みである場合が多かった.

  • 阿部 亜希子, 鈴木 敏男
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 119-122
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    岩手県の雑穀主要産地である県北地域,県央地域において,2010 年にイネ科雑穀5種類(アワ,キビ,モロコシ,ヒエ,ハトムギ)の主要病害虫による被害の様相を調査した.その結果,県内の生産現場において,ヒサゴトビハムシはアワとキビ,モロコシクキイエバエはアワ,アワノメイガはキビ以外の4 雑穀,イネヨトウはヒエ,ハトムギにしばしば多発することが明らかとなった.また,アワではアワしらが病,ハトムギではハトムギ葉枯病が発生していることが明らかとなった.

  • 岩崎 暁生
    2010 年 2011 巻 62 号 p. 123-126
    発行日: 2010/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    In Hokkaido, the northern island of Japan, an introduced pest, Liriomyza huidobrensis, was discovered infesting spinach and chrysanthemum in greenhouses in the eastern area of the Iburi district in 2001. This was the first record of the pest in Japan. During the following ten years, its distribution has spread throughout Hokkaido yearly. By autumn of 2010, it was found in 43 towns, throughout a wide area of Hokkaido. Of these 43 towns, 31 were in neighboring towns of the town where it has already been recorded. In addition, the dispersal of the pest in rice paddy areas seemed to be inactive, maybe owing to the fewer opportunities of immigrant flies for landing on suitable places/host plants. These findings suggest that L. huidobrensis naturally dispersed to adjacent areas in the majority of cases. On the other hand, there have been several cases in which the pest was discovered in places far from hitherto known areas where the pest occurs. This may be due to an artificial movement of plants infested by the pest.

  • 小野寺 鶴将
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 127-129
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    チアメトキサムフロアブルを種子塗沫処理した大豆株からの切離葉にジャガイモヒゲナガアブラムシの1~2 齢虫を放飼し,放飼3 日後までの生存虫率を調査し,薬剤の効果持続期間を検討した.その結果,本剤の殺虫効果は出芽8 日後にはすでに高く,効果持続期間は出芽33 日後~48 日後までであった.試験年により効果持続期間は異なるものの,出芽後1 か月間程度は高い殺虫効果が維持されると考えられた.

  • 高橋 良知, 菊池 英樹, 中村 智幸
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 130-133
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
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    本研究では,ダイズにおけるウコンノメイガの要防除水準の設定を試みた.ダイズ栽培の粗収益に対する薬剤費の割合から被害許容水準を収量の5.7%とした.本虫によるダイズの葉巻は7 月下旬から認められ,多発年では8 月10 日頃が盛期となった.この盛期の茎当たり葉巻数が10 個を超えると,減収率が被害許容水準である5.7%以上になると考えられた.防除適期とされている7 月6 半旬と8 月10 日頃の葉巻数の間には有意な正の相関が認められ,7 月6 半旬の茎当たり葉巻数が1.3 個を上回ると,8 月10 日頃の茎当たり葉巻数の90%信頼区間の上限が10 個を上回った.そのため,7 月6 半旬の葉巻数1.3 個/茎を要防除水準と設定した.

  • 横田 啓
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 134-139
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    岩手県中部において2009 年にアカソとダイズにおけるウコンノメイガの発生消長を調査し,本種の越冬や世代経過について検討した.アカソ群落において,本種の越冬後幼虫は4 月下旬から3 齢,4 齢と少数の2 齢幼虫が確認され,その後5 齢,6 齢,蛹となって6 月下旬以降に羽化した.その後の夏期間に卵塊や幼虫は見られなかったが,9 月上旬から10 月下旬まで卵塊,9 月中旬から11 月中旬にかけて1~4 齢幼虫が再び認められた.ダイズ圃場においては,本種の成虫は7 月下旬および9 月中旬の2 回の発生ピークが認められ,幼虫は7 月から9 月まで確認された.これらの結果より,本種は3齢,4 齢とごくわずかの2 齢で越冬すると推察された.また,アカソとダイズにおける発生消長から,岩手県中部において本種は世代間で寄主を変えながら年間2 世代を経過すると推察された.

  • 櫻井 民人, 勝山 直樹, 中尾 史郎, 塘 忠顕, 日本 典秀, 井上 栄明, 津田 新哉
    2010 年 2011 巻 62 号 p. 140-143
    発行日: 2010/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    アカメガシワクダアザミウマとタイリクヒメハナカメムシの併用により,施設栽培シシトウにおける効果的な害虫アザミウマ類防除技術を開発するため,アカメガシワクダアザミウマの放飼回数を検討した.タイリクヒメハナカメムシの2 回放飼に対し,アカメガシワクダアザミウマを異なる回数で放飼したところ(2,3,4 回放飼区),害虫アザミウマの密度はすべての放飼区で対照区(天敵無放飼区)に比べて顕著に低い値を示したものの,放飼区間でほとんど差は見られなかった.同様に,シシトウ被害果の発生率はいずれの放飼区でも低く抑えられた.これらの結果は,タイリクヒメハナカメムシの補助天敵資材としてアカメガシワクダアザミウマを用いる場合,施設栽培シシトウにおける被害を2 回の放飼で効果的に抑制することが可能であることを示している.

  • 北野 のぞみ, 山下 一夫
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 144-147
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    イモグサレセンチュウは,青森県の特産野菜であるニンニクに腐敗を引き起こす重要線虫である.その被害対策技術として土壌くん蒸剤による被害軽減効果を検討した.調査は,収穫時の鱗片への線虫寄生状況と収穫・保管後に現れる腐敗被害を調査することによって行った.土壌くん蒸消毒区の収穫時線虫寄生鱗球率は,無処理区の100%に比較して0~60%以下と低かった.保管後の被害鱗球率もまた,無処理区の95.5~100%に比べて土壌くん蒸消毒区は6.7~40.0%と低く,被害軽減効果が認められた.収穫時の線虫寄生状況調査は,保管時に発生する被害を事前に評価できると推察された.

  • 松田 正利, 新藤 潤一
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 148-152
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    IGR 系殺虫剤であるクロルフルアズロン乳剤およびフルフェノクスロン乳剤はネギアザミウマ成虫に対する殺虫効果は低いものの,幼虫の発生を抑える効果が高く,圃場の発生密度を長期間抑制させるには有効な薬剤と考えられた.

  • 松田 正利
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 153-157
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    合成ピレスロイド系殺虫剤抵抗性のネギアザミウマ個体群に対する防除体系を検討するために現地の露地栽培ネギ圃場において防除試験を行った.この結果,生育期前半はベンフラカルブ粒剤の株元処理またはジノテフラン顆粒水溶剤の定植時育苗トレイ灌注処理する体系とし,生育期中盤以降はIGR 系殺虫剤およびトルフェンピラド乳剤を基幹に茎葉散布する体系が有効と考えられた.

  • 水越 亨, 山田 徳洋, 今野 敏文, 小野寺 鶴将
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 158-163
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    2002 年8 月,北海道十勝東北部の足寄町において,地域特産の山菜であるラワンぶき(和名アキタブキ)の葉が夏期に急速に枯れあがる症状が発生した.葉の枯れ上がりは虫害によるもので,甲虫の幼虫や蛹が多数確認された.加害種はキベリトゲハムシDactylispa masonii と同定された.被害発生地域は,足寄町上螺湾地区に集中していた.フキ葉上にみられる成虫の発生期間は5 月末から7 月はじめにかけてで,発生盛期は6 月上旬であった.飛来した成虫はすぐに交尾を始め,産卵盛期は6 月上旬であった.6 月上旬にはシラカンバの高所にある枝梢や葉に成虫および食害痕が認められた.フキにおける幼虫の加害時期は6 月中旬から8 月上旬にかけてで,加害盛期は6 月下旬であった.新成虫は8 月中旬に多く認められたが,交尾や産卵は行わなかった.新成虫は越冬場所へ移動し,年1 化であった.

  • 新藤 潤一, 山下 一夫, 北野 のぞみ, 荒井 茂充, 石谷 正博
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 164-168
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    青森県南部地域のナガイモ早植栽培における主要病害虫の発生消長について調査した.早植栽培の萌芽期は,普通栽培に比べほぼ1か月程度早まり,5 月下旬であった.それに伴い,萌芽直後から発生したアブラムシ類の発生盛期は,普通栽培に比べ20 日程度早い6 月中旬~下旬となり,終息期は普通栽培と同時期の8 月上旬であった.ナガイモコガは,早植栽培では6 月中旬に幼虫発生が始まり,栽培期間中の幼虫発生回数は4 回と考えられた.7 月中旬~下旬に幼虫発生が初めてみられる普通栽培に比べ,1 回多い発生となった.葉渋病の発生は,早植栽培では7 月下旬頃に始まり,普通栽培に比べて発生時期はほぼ1か月早まった.

  • 青木 元彦, 田中 穣, 成松 靖
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 169-173
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    イチゴ葉縁退緑病が発生している北海道の一地域において,イチゴ苗生産圃場近隣に生息するヒシウンカの一部個体から,本病の病原微生物が検出された.検出個体率は1%程度と低率であったが,他の半翅目昆虫からの検出が認められなかったことや,海外の発生地における本病の媒介昆虫に関する知見から,現時点ではヒシウンカが媒介昆虫の有力な候補と考えられた.ヒシウンカ防除も含めた本病防除対策の構築を目的に,イチゴ苗生産圃場やその周辺のヨシ群落などでヒシウンカの生活史調査を実施した.その結果,幼虫が4~7 月にかけて確認され,成虫は6 月下旬~8 月中旬まで確認された.卵は7 月下旬以降ヨシ株元の土壌や植物残渣などで認められ,8 月中旬にふ化幼虫が出現し10 月まで幼虫が確認された.以上のことから,本種はヨシを主要な寄主として年1 化発生し,ヨシの根で幼虫越冬するものと考えられた.

  • 新井 朋徳, 高梨 祐明, 豊島 真吾, 井原 史雄, 成田 治
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 174-178
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    リンゴのナシマルカイガラムシ1 齢幼虫に対する4 種殺虫剤の防除効果を調査した.歩行幼虫および定着した1 齢幼虫に対するブプロフェジン水和剤の防除効果は高かったが,マラチオン乳剤の防除効果はブプロフェジン水和剤と比較して劣った.また,定着した1 齢幼虫に対するメチダチオン水和剤の防除効果はブプロフェジン水和剤と同程度であった.越冬世代1 齢幼虫に対する発芽前のマシン油乳剤の防除効果は高かったが,展葉1 週間後に散布するマシン油乳剤の防除効果は低かった.

  • 新井 朋徳, 高梨 祐明, 柳沼 勝彦, 井原 史雄, 伊藤 伝, 成田 治, 豊島 真吾
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 179-181
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    2004~2009 年に岩手県の殺虫剤無散布リンゴ園において,ナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生数を両面テープトラップで調査した.歩行幼虫の捕獲数は2004~2007 年は年とともに指数関数的に増加した.2008 年の休眠期にマシン油乳剤を散布したところ,2008 年の発生密度が低下したが,2009 年には再び増加した.これらの観察から,殺虫剤無散布条件下では,本種の発生密度はマシン油乳剤による防除後2~3 年で果実被害が発生する水準まで回復し,4~5 年で樹勢に影響が出る密度に達すると推測された.

  • 新井 朋徳, 高梨 祐明, 柳沼 勝彦, 井原 史雄, 伊藤 伝, 成田 治, 豊島 真吾
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 182-185
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    ナシマルカイガラムシ歩行幼虫年間捕獲総数と雄成虫のフェロモントラップ誘殺数との関係を,殺虫剤無散布リンゴ園において調査した.歩行幼虫年間捕獲総数は越冬世代雄成虫誘殺数,第1,2 世代雄成虫誘殺数との間で正の相関が認められた.このことから,雄成虫のフェロモントラップ誘殺数から歩行幼虫年間捕獲総数を推測し,防除対策に役立つ可能性が示された.

  • 伊藤 慎一
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 186-190
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    ブドウから採取したクビアカスカシバの幼虫を対象に,フルベンジアミド水和剤,カルタップ水溶剤,クロラントラニリプロール水和剤,アセフェート水和剤,クロルフェナピル水和剤,アセタミプリド水溶剤,Steinernema carpocapsae の防除効果について,ブドウ果汁(100%果汁濃縮還元)に人工飼料(インセクタLFS)を浸漬する食餌法で検討した.試験の結果,フルベンジアミド水和剤4,000 倍,クロラントラニリプロール水和剤5,000 倍,アセフェート水和剤1,500 倍は,若中齢幼虫の死虫数が多く効果は高かった. また,カルタップ水溶剤1,500 倍とアセタミプリド水溶剤2,000 倍は死虫数が少なかったが,食害度は低く摂食活動を抑制する効果が期待できると考えられた.一方,クロルフェナピル水和剤2000 倍は死虫や苦悶虫はみられず,食害度も高く効果は低かった.天敵線虫製剤の Steinernema carpocapsae は,死虫数が多く効果は高かった.また,Steinernema carpocapsae を幼虫飼育用マットに混和する処理法は,土繭形成間際の老熟幼虫に対しても効果がみられた.

  • 小松 美千代
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 191-193
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    In 2009 and 2010, to estimate the period of infestation of grapes by Toleria romanovi, the seasonal variation in the number of adult males, determined using synthetic sex pheromone traps, and the number of their larvae infesting grapes were investigated in grape orchards in Yokote City, Akita Prefecture. The infesting larvae were continuously observed in the grape orchards from early July to early October. The peak number was observed in August. Also, the first appearance of the larvae infesting the grapes was observed twenty to forty days after the first capture of adult males using synthetic sex pheromone traps.

  • 岩崎 暁生, 青木 元彦, 妹尾 吉晃
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 194-198
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    In the summer and autumn of 2010, a mass outbreak of the beet webworm Spoladea recurvalis in sugar beet occurred throughout the entire sugar beet cultivation area of Hokkaido, the northern island of Japan. Serious damage was incurred in mid-August in the southern area, in mid to late August in the central area and the Tokachi district of the eastern area, and after mid-September in the Okhotsk district of the eastern area. Through field research in the central area, the migration period of adult moths was estimated to be mid-July. The early and/or mass migration of moths in addition to the higher summer temperature suitable for the development of the pest from their immature stages might accelerate the unusual mass occurrence of the pest throughout the year. Several insecticides mainly belonging to organophosphates and synthetic pyrethroids were found to be less effective on middle-to-late instar larvae in both insect dipping and diet dipping experiments. Insect growth regulators, on the other hand, were found to be effective for the control of larvae of the pest on sugar beet fields even under such mass occurrence.

  • 大槻 恵太, 鈴木 智貴, 加進 丈二, 小野 亨
    2011 年 2011 巻 62 号 p. 199-203
    発行日: 2011/12/27
    公開日: 2017/12/20
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    初期生育や耐湿性に優れ,転作牧草として今後普及が期待されているフェストロリウムにおいて,アカスジカスミカメの発生源となりうる可能性を検討するため,産卵と発生消長を調査した.フェストロリウムではイタリアンライグラスと同様にアカスジカスミカメが産卵することが確認された.フェストロリウムにおけるアカスジカスミカメ成虫の発生消長はイタリアンライグラスと類似しており,幼虫の発生と齢期の進行が確認された.このことから,フェストロリウムはイタリアンライグラスと同様にアカスジカスミカメの発生源となることが示唆された.

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