北日本病害虫研究会報
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2014 巻, 65 号
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
報文
  • 越智 昭彦, 横山 克至
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 5-7
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    山形県では2011 年から,いもち病真性抵抗性遺伝子が従来の主要品種と異なる「つや姫」の栽培が開始され,県内の作付割合が増加傾向にある.本品種に対し,これまでの優占レース007 は非親和性であることから,県内におけるレース分布の変化が予想された.そこで,2011 年から2013 年におけるレース分布を調査したところ,調査期間を通して,レース007 および037 の2 種が主に分離され,分離頻度の高い007 が優占レースと考えられた.また,「つや姫」に親和性のレース037 は,分離頻度が2011 年の6.9%から2013 年の21.9%に増加しており,本品種の作付割合増加に伴う分布の拡大が示唆された.

  • 齋藤 信弥, 早坂 剛
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 8-12
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    イネ紋枯病の発生実態と減収への影響を推定するため,圃場における本病の発生分布を調査し,畦畔1条目の成熟期発生株率(以下発病株率)から圃場全体の減収率を推定する式を作成した.また,この減収率推定式から,畦畔際の発病株率が100%でも圃場全体の減収率は5%以下と推定された.さらに,圃場面積が大きいほど本病の収量に対する影響が小さくなると推定された.

  • 鬼頭 英樹, 善林 薫, 中島 敏彦
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 13-18
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    多窒素条件下においていもち病の発病を抑制した飼料米生産を可能にする方法として,いもち病発生初期の追肥を控えることで稲体窒素量を抑え,通常より遅い時期に追肥を行った場合の効果を調べた.後期追肥区ではいもち病の発病が普通期追肥区に比べ抑制されたが,追肥効果は年度によって変動し,薬剤処理ほど明瞭な効果は見られなかった.後期追肥による収量への影響は認められず,粗玄米タンパク質含量は上昇した.薬剤4 成分処理を対照として,後期追肥と組み合わせによる成分数削減を検討した.箱剤施用と茎葉散布剤を用いた栽培では葉いもちおよび穂いもちにおいて高い防除価を示した.茎葉散布剤のみでは,後期追肥区の減農薬区で普通期追肥区の4 成分区と同程度の防除価が認められた.真性抵抗性イネ品種や圃場抵抗性の強いイネ品種を用いると多窒素条件でもいもち病の薬剤防除は不要であった.SPAD 値(葉緑素量)は,普通期追肥区より後期追肥区で低く推移した.

  • 佐山 充, 大木 健広
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 19-23
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    コムギ縞萎縮病の生物防除法の開発に資するため,畑作土壌に栽培したコムギ根から細菌1205 菌株を分離し,これらの菌株とテンサイ根圏由来1 菌株(SB-K88 株)の計1206 菌株から本ウイルス媒介微生物Polymyxa graminis の感染抑制効果が高い菌株を選抜した.検定は穴あきチューブによる砂耕栽培で行い,P. graminis の休眠胞子塊3.5~7.0×102 個を接種したコムギに,King’ s B 液体培地培養細菌液を3 回潅注処理(播種時,出芽後7 日,21 日)した.2 ヶ月間栽培後,コムギ根へのP. graminis の感染率を調べ,防除価53.6~100 を示す23 菌株を選抜した.選抜した菌株について,他の処理方法を検討したところ,播種時潅注1 回処理では,23 菌株中3 菌株で感染抑制効果が認められ,King’ s B 寒天培地培養菌体の種子処理では,SB-K88 株でのみ感染抑制効果が認められた.SB-K88 株は,テンサイそう根病の病原ウイルス媒介菌(P. betae)およびテンサイ苗立枯病菌(Pythium 属菌,Rhizoctonia solani)の感染を抑制することがすでに知られている細菌であるが,本研究では新たに,同菌株がP. graminis のコムギ根への感染抑制効果も有することを明らかにした.

  • 本藏 良三, 菊地 貞文, 及川 美樹
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 1-4
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    本田で栽培中の「とりで1 号」葉身に病原性が変異したいもち病斑1 個が自然発生した。変異菌とその周囲に蔓延した病斑から分離した菌株,およびその変異菌の母菌と推定された「ササニシキ」葉いもち病斑から分離した菌株について病原力を比較した.ササニシキ分離菌のレースは037.1,とりで1 号分離菌はレース437.1 であった.これらの菌株を用いて,接種による病斑数,病斑の大きさ,病斑上の分生子形成数を比較したところ,菌株間の差異は認められず,レース変異後も変異前とほぼ同等の病原力を保有していたと推定された.

  • 山名 利一, 神野 裕信
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 28-31
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    コムギ雪腐黒色小粒菌核病がコムギの地下部に発生した場合,地上部での発生に比べ,薬剤の茎葉散布による防除効果が低いことが示唆されているが,近年生産現場で使用されている薬剤についても同様であるかは検討されていない.また,コムギ品種の雪腐病に対する抵抗性は,これまで地上部への接種検定により評価されてきたため,本病の地下部感染に対しても地上部での検定結果と同様に抵抗性を示すかどうか明らかではない.本試験では,接種により本病の地下部発生を再現し,茎葉散布処理における薬剤の効果査定と品種の抵抗性検定を行った.地上部での発病に対し効果の認められた薬剤のうち,テブコナゾール水和剤やフルアジナム水和剤は地下部での発病も低く抑え,本病の地下部感染に対しても防除効果が認められた.また,地上部での接種検定で雪腐病に対して抵抗性を有する遺伝資源は,本病の地下部発生が少なく,地上部と同様に地下部でも抵抗性を示した.

  • 堀田 治邦, 髙濱 雅幹
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 32-36
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Stem rot of sweet potato(Ipomoea batatas)was found in Hokkaido, Japan in July 2012. Two Fusarium isolates from a diseased stem were highly pathogenic to sweet potato. Based on morphological observation using synthetic low-nutrient agar(SNA)and potato dextrose agar(PDA)cultures, the isolates were identified as Fusarium oxysporum. From the pathogenicity to Ipomoea tricolor cv. Heavenly Blue, the forma specialis was identified as f. sp. batatas. The susceptibility of fourteen cultivars including lines of sweet potato was evaluated from the percentage of vascular browning length after dipping cuttings of stems into the conidium suspension of the pathogen. The reaction of the cultivars varied from highly resistant(cultivars ‘Beniharuka’ and ‘Tamayutaka’)to susceptible.

  • 上田 重文, 三宅 規文, 安岡 眞二, 池谷 美奈子, 高橋 宙之
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 37-41
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    北海道内で発生したテンサイ西部萎黄病の病原ウイルスであるビート西部萎黄ウイルスのゲノム塩基配列を解析した.清水株は,5670 塩基(b)からなる全長ゲノム塩基配列を保有していた.6 分離株については,5.5kb のゲノム部分塩基配列を解読し,分子特性を解析した.系統解析を行った結果,道内由来のBWYV 株は単一のクラスターを構成した.またその中でも清水株だけが他とは異なる分枝を示した.相同性解析においても,道内産分離株間の相同性は高く保存されていた.したがって,現在北海道で発生しているBWYV は,その由来が単一であるが,複数の分離株が存在していることが強く示唆された.

  • 三澤 知央
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 42-46
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Sulfur flowable for pumpkin powdery mildew was evaluated in terms of its control effectiveness and duration of its effectiveness during the period of 2011-2013 in the field. The tests were conducted in three main cropping seasons(CS)in Hokkaido, i.e., CS1(the main harvest month is July), CS2(August),and CS3(September). Spraying the fungicide four to eight times at one-week intervals before the first occurrence of the disease was highly effective in CS1 and CS2(protective values = 97-100)and effective in CS3(protective values = 75-97). Spraying the fungicide three to five times at one-week intervals after the occurrence of the disease was effective in suppressing disease development. In the tests on the duration of the effectiveness of sulfur flowable, the fungicide was estimated to remain effective one week after application.

  • 永坂 厚
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 47-49
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    宮城県南部の1 キュウリ産地におけるホモプシス根腐病菌による汚染状況を把握するため,未調査の全圃場から生物検定法による検出を行った.また,過去の萎れの発生状況の聞き取りによる,本病の潜在的汚染の予測の可能性を検討した.生物検定法では7 筆で病原菌が検出されたが,聞き取り調査において本病発生の疑いのあった2 筆とは異なっており,聞き取り調査のみによる本病の発生予測は困難と考えられた.生物検定法において陽性と判定された圃場は産地内での2 地区に偏在しており,農機具や人の移動による汚染の拡大が疑われた.この中には追跡調査で萎凋症状がほとんど認められなかった圃場も含まれており,本病によるキュウリの萎凋症状発生前に,生産者が病原菌の侵入を認知することは困難と考えられた.また,生物検定法で陰性であった場合においても汚染圃場の生産者と交流があった農家の圃場では,作物残さの根部に発病が確認される事例が認められた.これらのことから,生産者間の交流についても本病の伝搬経路となる疑いが強く,より強い警戒が必要と考えられた.

  • 近藤 亨
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 50-53
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    2012 年10 月および2013 年7 月~10 月に青森県内の32 地点41 施設の圃場から採集した246 菌株のトマト葉かび病菌について,アゾキシストロビン剤を添加した寒天培地を用いて感受性検定を行ったところ,123 菌株が耐性菌と判定された.耐性菌のチトクローム遺伝子を解析したところ,供試した25 菌株全てにおいてコドン129 部位の推定アミノ酸がフェニルアラニンからロイシンに置換していた.また,トマトにおけるアゾキシストロビン水和剤2,000 倍の散布は,耐性菌株に対し効果が非常に低かった.以上の結果から,青森県においてアゾキシストロビン剤耐性トマト葉かび病菌が広く発生し,効力低下を引き起こしている実態が明らかとなった.

  • 野津 あゆみ, 中保 一浩
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 54-58
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    北海道におけるトマトの高接ぎ木栽培の青枯病に対する有用性を検討するため,発生圃場における土壌中の病原細菌密度と温度の環境要因を調査した.その結果,少発生圃場では土壌中の青枯病菌は10cfu/g 乾土以下が多かったのに対し,多発生圃場では10~10cfu/g 乾土を超える地点が多かった.発生圃場では栽培期間中の気温または地温が病原細菌の生育最適温度とされる27~37℃の積算時間が多かった年に発病が多い傾向が認められた.発生圃場を想定したポット試験において高温条件下では病原細菌密度が高くなると高接ぎ木でも発病が見られるものの,慣行接ぎ木よりも発病が少なく推移したことから,現地圃場でも高接ぎ木栽培による発病抑制効果が期待できると考えられた.

  • 野津 あゆみ, 中保 一浩
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 59-63
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    深耕土壌還元消毒と高接ぎ木栽培の組み合わせによるトマト青枯病の発病抑制効果を検証した.深耕土壌還元消毒処理によって青枯病菌の菌密度の低減が可能であったが,病原菌がわずかに残る場合があった.これらのハウスではトマト栽培1 作目から自根では本病が多発する状況であったが,抵抗性台木を接ぎ木した区では慣行接ぎ木および高接ぎ木とも発病抑制効果が高かった.2 作目では,慣行接ぎ木では発病が多く見られる場合があったが,高接ぎ木栽培では発病が少なく,同栽培法は本病に対して安定した防除効果を示した.1 作目終了時には,発病が少ない圃場でも土壌病原菌密度は土壌消毒前と同程度に回復する傾向が認められた.本研究では深耕土壌還元消毒後に高接ぎ木栽培を利用することで消毒後2 作目までの持続的な青枯病防除の可能性を明らかにすることができた.

  • 畑 有季, 鈴木 洋平, 宍戸 邦明
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 64-67
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    アスパラガス茎枯病に対し4 種薬剤の効果をポット試験で調査した結果,TPN水和剤,アゾキシストロビン水和剤の防除効果が高かった.また各種薬剤の効果は7 日間で大幅に低下していた.ポット試験の結果を反映させた体系防除を露地アスパラガスに対して試みたところ,立茎2 日後から薬剤散布を開始し,立茎開始から15 日間は約3 日間隔で散布を行うことで,防除効果をより高めることが可能と考えられた.

  • 三澤 知央, 佐藤 衛, 安岡 眞二, 松下 陽介, 埋橋 志穂美, 佐藤 豊三, 山内 智史, 白川 隆
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 68-71
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Severe leaf blight accompanied by frosty molds on lesions were found on Chinese chives in Hokkaido,Japan, from September to October, 2009. The gray to pale-green molds were the conidia and conidiophores of a fungus. The conidiophores emerging through stomata were 12-18μm in diameter at the base and monopodially branched a few times. Conidia were pyriform to fusiform, 34-69 × 22-32μm in size,slightly papillate at the proximal end and germinated by germ tubes. Sequence of the rDNA-ITS1 region of the fungus was identical to that of Peronospora destructor(Berkeley)Caspary ex Berkeley. We identified the fungus as P. destructor on the basis of its morphology and results of the BLAST with the sequence. After the conidia of the fungus was inoculated on the leaves of potted Chinese chive and Welsh onion,the original symptoms appeared on a Welsh onion leaf only. Although we were unable to confirm the pathogenicity of the fungus to Chinese chive, we determined that it was the pathogen causing the disease on the basis of its obligate parasitism and pathogenicity to Welsh onion. This is the first report of downy mildew of Chinese chive caused by P. destructor in Japan.

  • 三澤 知央, 富沢 ゆい子, 植野 玲一郎, 菅原 章人
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 72-75
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Leaf blight of leek was found in Hokkaido, Japan, in September 2011. An isolate was obtained from a diseased leaf. Conidiophores of the isolate were 36.8-145.0μm × 4.7-6.3μm in size, mononematous without branches, and swollen at distal ends, and they proliferate percurrently. Conidia were formed at the apices of conidiophores, not chained. The conidia were oblong to oval, 30.2-66.3μm × 16.8-27.5 μm in size, and constricted at 1-3 major transverse septa, and had a length/width ratio of 2.09. The isolate was identified as Stemphylium vesicarium on the basis of its morphology. The perfect state of the isolate was also obtained, and this isolate was identified as Pleospora sp. on the basis of the shape and size of its pseudothecia, asci and ascospores. We confirmed pathogenicity of the isolate to leek and Welsh onion in inoculation tests. Leaf blight of leek caused by S. vesicarium has not been reported in Japan; therefore, we hereby propose to include it as one of the pathogens of the disease.

  • 堀田 治邦, 三澤 知央, 植野 玲一郎, 細淵 幸雄, 富沢 ゆい子
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 76-81
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    In 2012 and 2013, a severe soft rot disease on leek(Allium ampeloprasum var. porrum)occurred in Hokuto, Hokkaido. The initial symptoms on leek were observed as water soaking of the leaf, and later the leaf and leaf sheath rotted completely. The disease incidences in 2012 and 2013 both reached 100%,and the final incidences of plant death were estimated to be 29.5% and 17.5%, respectively. The plants infected early had high probability of rotting completely. A bacterium characterized by white to cream colonies on Kingʼs medium B was isolated from rotted leaves. Based on bacteriological characteristics and result of PCR analysis using specific primer pairs, all bacterial isolates were identified as Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum. Pathogenicity tests demonstrated the development of soft rot symptoms on inoculated leek leaves. This is the first report of bacterial soft rot disease in leek in Hokkaido.

  • 堀田 治邦, 植野 玲一郎, 細淵 幸雄, 富沢 ゆい子
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 82-84
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    品種,施肥量,株間および露地マルチ栽培がリーキ腐敗病の発生(主に枯死株)に与える影響を調査した.品種では「ポトフ」に比べ,「ポワロ」で枯死株が多発し,感受性が異なった.窒素施肥量および株間は枯死株の発生に影響を与え,窒素30kg/10a 施用や株間15cm で多発する傾向が認められた.露地栽培(マルチ無)に比べ露地栽培(マルチ有)で腐敗病の枯死株は増加する事例が認められた.露地栽培(マルチ有)の1 条植えや株間15cm で枯死株は多発した.

  • 岩間 俊太, 倉内 賢一, 門田 育生
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 85-92
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    副産石灰肥料として肥料登録されている転炉スラグ(商品名「てんろ石灰」)を用いて土壌pH を7.5 程度に矯正することで,レタス根腐病の被害軽減が可能かを接種試験により検討した.また,土壌pH 矯正とレタス品種の耐病性を併用した場合の被害軽減効果を圃場試験により検討した.接種試験では,土壌フスマ培養により得られた汚染源を園芸培土と混合して人工汚染土を作成し,人工汚染土のpH 矯正後にセルトレイに播種し育苗した場合と育苗株をポットに移植し栽培した場合とで,発病程度の比較を前者では地上部について,後者では地上部と地下部について行った.その結果,いずれもpH6.6 程度の未矯正の場合と比較し,pH7.5 程度に矯正することで発病程度が低下した.圃場試験では,本病菌レース1 による被害が確認された現地農家圃場で2012 年と2013 年に春作試験と秋作試験を行った.同一圃場内にpH 矯正区(pH7.5 程度)とpH 未矯正区(pH6.0 程度)を設置して耐病性の程度の異なる品種を栽培し,地上部と地下部の発病程度を比較した.その結果,土壌pH 矯正と比較的耐病性の高い品種とを併用することで,それぞれの単用の場合よりも発病程度が低下する傾向にあり,被害軽減効果が向上した.

  • 関根 崇行, 近藤 誠, 伊藤 博祐, 辻 英明, 山田 真
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 93-97
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    イチゴうどんこ病に対して抑制効果を持つUV-B 照射装置の有効利用に関する知見を得るために,その照射時間帯及び照射強度,育苗期照射による本圃でのうどんこ病抑制効果について検討した.その結果,照射時間帯は深夜23~2 時の3 時間,照射強度は10~20μW/cm2 で高い抑制効果が認められたが,育苗期のUV-B 照射は本圃で発生したうどんこ病には影響を与えなかった.また,イチゴ炭疽病及び萎黄病に対する抑制効果も検討したところ,ある程度の抑制効果が認められたことから,うどんこ病防除を目的に導入したUV-B 照射装置の副次的効果が示唆された.

  • 栢森 美如, 美濃 健一, 稲川 裕
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 98-100
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Strains of Monilinia fructicola resistant to procymidone and iprodione were isolated from sweet cherry fruit affected by brown rot disease in Hokkaido. Resistant strains were pathogenic to cherry fruit treated with fungicides. The EC50 values of the resistant strains ranged from 1.65 to 8.22mg/L procymidone and from 1.11 to 11.56mg/L iprodione, compared with 0.16mg/L procymidone and 0.11g/L iprodione for each sensitive strain. This is the first report of dicarboximide-resistant M. fructicola of cherry fruit in Japan.

  • 冨永 朋之
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 101-103
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    リンゴ腐らん病の摘果時期の果柄感染に対する数種薬剤の効果,並びに有効薬剤による防除体系の効果を発病枝の吊り下げ接種により検討した.2012 年の防除試験では,岩手県で摘果時期に用いられている薬剤の中で,チオファネートメチル・マンネブ水和剤,ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤,TPN 水和剤がチオファネートメチル水和剤とほぼ同等の高い防除効果を示した.2013 年にはこれらの有効な薬剤を組み合わせた防除体系を実施した結果,チオファネートメチル水和剤3回散布と同等の効果を示した.以上のことから,腐らん病の果柄感染に有効な薬剤を組み合わせた防除体系により,1ヶ月以上におよぶ摘果期間の防除が可能であると考えられた.

  • 花岡 朋絵, 赤平 知也, 木村 佳子, 山本 晋玄
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 104-110
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    2010~2012 年の3年間,青森県内の現地有機栽培園で実施されている病害虫防除体系に準じ,試験圃場内に食酢を中心に散布する食酢区,有機JAS 規格で使用可能な農薬を散布する有機区および無散布区(対照区)を設置し,その実用性を検討した.その結果,食酢区では無散布区と比較して防除効果はほとんど認められず,黒星病,褐斑病,すす斑病の発生が多くみられた.一方,有機区では病害の発生が抑制されており,特に褐斑病の発生が少なかったことから,有機栽培における防除体系として有効であると考えられた.また,モモシンクイガの発生は産卵初発日前の6 月上旬ころまでに袋をかけることで防除が可能であった.2013 年に有機JAS 規格で使用可能な農薬と耕種的防除を組み合わせた防除体系を検討したところ,黒星病,褐斑病の発生は十分に抑えられたものの,すす斑病の発生により果実の外観的品質が低下していた.しかし,これらの果実について内部品質等(果実重,糖度,硬度,酸度,食味)を調査したところ,慣行栽培区と比較して同等であった.

  • 赤平 知也, 花岡 朋絵, 山本 晋玄, 木村 佳子, 福士 好文, 櫛田 俊明
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 111-119
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    青森県内でリンゴの有機栽培を実践している4 園地における病害虫の発生状況を4 年間調査した.調査園地は食酢を主体とした散布体系,リンゴ酢と木酢を主体とした散布体系,有機JAS 規格で使用可能な農薬を主体とした散布体系,リンゴ酢を主体として別表2の薬剤を組み込んだ散布体系を実施していた.このような散布体系の中,年次あるいは園地により発生量に差がみられるものの,リンゴの有機栽培園で例年発生して被害が目立った病害虫はモニリア病,黒星病,褐斑病,すす斑病,すす点病,ハマキムシ類,アブラムシ類,キンモンホソガ,シンクイムシ類,カイガラムシ類であった.

  • 須崎 浩一, 佐藤 裕
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 120-124
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    A bacterial disease was found on the leaves, petioles and shoots of grapevine(Vitis vinifera cvs. ‘Neo Muscat’and ‘Rosario Rosso’)in Akita Prefecture in 2012. This disease was characterized by the formation of many small-spots of discoloration on leaves, and necrotic cracks on petioles and shoots. These symptoms closely resembled those of the bacterial blight of grapevine caused by Xylophilus ampelinus. The biochemical and physiological properties of the bacterial isolates obtained from affected leaves were similar to those of X. ampelinus. The 16S rRNA gene sequences of the bacterial isolates showed 99.5% similarity to the type strain of X. ampelinus ATCC 33914. Bacterial strains also showed pathogenicity on grapevine saplings. Although the first outbreak of this disease was reported on wine grapes in Hokkaido in 2011 and the outbreak in Akita Prefecture was the second instance in Japan, it was confirmed, for the first time, that this disease damaged Japanese cultivars of table grapes.

  • 橋本 庸三
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 125-128
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    北海道において,イネ,コムギ(春播)および畦畔雑草(スズメノカタビラおよびノビエ)におけるアカヒゲホソミドリカスミカメの産卵消長を夏季から秋季にかけて調査した.採集された卵は室内飼育して非休眠卵と休眠卵に分けた.非休眠卵は7 月3 日の調査開始時からコムギおよびスズメノカタビラで認められ,休眠卵はコムギ,スズメノカタビラおよびイネで同時期となる7 月31 日から認められた.しかし,7 月末から8 月中旬にかけては,産下される植物によって休眠卵率が異なった.休眠卵率はコムギやスズメノカタビラでは低く,イネでは高かった.日長条件や気温などの環境要因では植物による休眠卵率の違いは説明できないので,植物種の違いあるいは同一植物であっても生育ステージの違いが餌条件に影響し,休眠卵率に違いが生じていると考えられた.また,植物により産下された休眠卵率に違いがみられたが,積雪の重みに耐えて融雪期の水没から免れるなど積雪下での生存率を高めるため,ある程度の草丈があり茎が硬い植物に休眠卵が選択的に産下されている可能性があると推察された.

  • 佐藤 正和
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 129-134
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    カスミカメムシ類による加害晩限を圃場での袋かけ試験により検討した.試験は2012 年,2013 年の2 か年行った.穂揃期のイネの穂に袋をかけてカメムシの加害から保護した後,時期をずらして除袋し,そのまま収穫時まで暴露した.試験圃場には定期的にアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫を放虫した.暴露開始(除袋)時期別に玄米の褐変程度を調査し,穂揃期以降いつまで加害が起こりうるのかを確認した.この結果,2 か年ともイネの収穫適期あるいはその直前に暴露を開始した穂でも褐変程度の高い玄米の混入が確認され,カメムシによる加害はイネの収穫適期以降も起こりうることが明らかとなった.また,カメムシ加害に起因する白斑粒は,主に登熟後半に発生するものと考えられた.

  • 新山 徳光, 松橋 正仁, 工藤 三之, 福田 秀樹, 吉川 進太郎
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 135-138
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    2013 年の秋田県におけるイネヒメハモグリバエの発生は,沿岸部を中心に広域的な多発生となった.多発要因として各種気象要因やイネの移植時期と成虫発生時期の関係を検討したところ,これまで本種の多発要因として指摘されてきた前年夏期の低温,冬期の高温,早期融雪はいずれも2012~2013 年の気象条件に当てはまらなかった.一方,2013 年は4 月3 半旬から5 月2 半旬までの継続した低温により成虫の発生時期が遅れ,結果的にイネの移植時期と成虫発生時期が一致した.このことが同年のイネヒメハモグリバエ多発生の主な要因と考えられた.

  • 東岱 孝司
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 139-145
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    ポット試験において,播種時の土壌中のダイズシストセンチュウ(SCN)密度とアズキ子実重との間には,有意(P<0.01)な負の相関が認められた.また,SCN 密度の増加に伴う子実重の減少は主要品種間で同様の傾向を示し,播種時のSCN 密度が低密度(乾燥土壌1g あたり10 卵・幼虫未満)の場合,子実重は健全土壌と有意な差が無かった.発生圃場における試験でも同様の傾向であり,低密度の場合,アズキはSCN によって減収する可能性が低いと考えられた.一方,中密度(同10 以上100 未満)以上の場合,子実重はポット試験で健全土壌よりも有意(P<0.05)に減少し,発生圃場では中密度で平均19~46%,高密度(同100 以上)で平均46%減少した.環境条件による変動の幅を考慮すると,北海道におけるSCN によるアズキの被害として,SCN 密度が中密度の場合は概ね20%以上,高密度の場合は概ね50%以上減収すると考えられた.

  • 東岱 孝司
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 146-150
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    無作為に抽出した北海道北部のアズキ圃場の20%でダイズシストセンチュウ(SCN)の発生が認められた.SCN 発生圃場におけるシスト指数と根粒着生指数との間に有意(P<0.001)な負の相関が認められた.また,SCN 発生圃場では減収が生じており,寄主作物の作付けが平均2.4 作/5 年と多かった.オキサミル粒剤30㎏/10a 播種前全面土壌混和処理の防除効果が高く,子実重は無処理と比較して8~41%増加した.ポット試験では,播種時のSCN 密度が乾燥土壌1g あたり10 卵・幼虫未満の場合,オキサミル粒剤を施用しても,子実重は無施用と比較して有意差が無く,同密度水準では殺線虫剤の施用は不要であると考えられたが,同20~350 卵・幼虫/g 乾土では,オキサミル粒剤施用により子実重は有意に(P<0.05)増加した.ホスチアゼート粒剤20㎏/10a 同処理は,オキサミル粒剤と比較して同等からやや劣る効果であった.

  • 小野寺 鶴将
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 151-153
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    北海道立総合研究機構中央農業試験場の試験ほ場において,マキバカスミカメの吸汁加害によると考えられるアズキ莢の脱落を定量評価した.本種の加害により,莢は花序に従って連続的に着生せず,成熟が遅れ,収量は半分以下に低下した.

  • 吉田 雅紀
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 154-156
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    2012 年および2013 年に岩手県北上市で採集したオオタバコガを累代飼育して得られた3 齢幼虫に対して,人工飼料浸漬法を用いて各種薬剤の効果を検討した.その結果,スピネトラム水和剤,レピメクチン乳剤,エマメクチン安息香酸塩乳剤,メタフルミゾン水和剤,インドキサカルブMP 水和剤,フルベンジアミド顆粒水和剤は,処理3 日後の補正死虫率が100%であり速効的で高い効果が確認された.

  • 荒川 昭弘, 山内 富士男
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 157-159
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    冬季ハウス栽培コマツナでのハクサイダニの防除を想定し,カーバムナトリウム塩液剤くん蒸による夏季休眠卵の防除を試みた.コマツナの前作として作付けしたトマトの栽培終了後の9 月に,トマト株をビニールフィルムで被覆密閉し,本剤を処理した結果,被覆内にあらかじめ配置したハクサイダニ卵はすべてふ化しなかった.また,その後定植したコマツナには本種の寄生がほとんどみられなかったことから防除効果が確認できた.

  • 新藤 潤一
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 160-162
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    ダイコンに農薬登録がある殺虫剤の,キスジノミハムシに対する防除効果を検討した.土壌処理剤の播溝土壌混和処理の防除効果を比較した結果,テフルトリン粒剤は高い根部被害抑制効果が認められた.一方,ジノテフラン粒剤は,テフルトリン粒剤に比較して,防除効果および効果の持続期間ともにやや劣った.キスジノミハムシ成虫に対し,葉片浸漬法およびドライフィルム法で各種散布剤の効果を検討した結果,PAP 乳剤,CYAP 乳剤,カルタップ水溶剤,トルフェンピラド乳剤およびスピノサド水和剤は殺虫効果が高く,アセタミプリド水溶剤およびジノテフラン水和剤は殺虫効果がやや低かった.

  • 中村 淳, 桑名 篤, 七海 隆之, 荒川 昭弘
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 163-166
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    福島県内のイチゴから採集したナミハダニ黄緑型に対する数種殺ダニ剤の効果を検討した.その結果,これまで効果が高いと考えられていたミルベメクチンの効果が低下していることが確認された.また,近年新規登録されたシフルメトフェンの効果が低下した個体群が確認された.イチゴ栽培における殺ダニ剤の使用状況を調査した結果,これら殺ダニ剤の効果が低下した原因として,使用頻度の高いことが大きいと考えられた.

  • 大友 令史
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 167-169
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    岩手県のワラビ栽培ほ場においてルイスコメツキモドキによるワラビへの被害を確認した.主な被害は成虫の食害痕により外観品質が著しく損なわれるというものである.現地における被害状況および被害茎における時期別の生育ステージを調査することによって岩手県のワラビほ場における発生生態の一部を推測した.また,同一ほ場でアシグロコメツキモドキの発生も認められたがワラビにおける加害については確認できなかった.

  • 新井 朋徳, 高梨 祐明, 井原 史雄, 柳沼 勝彦
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 170-176
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Pheromone trap monitoring and assessment of leaf damage caused by Phyllonorycter ringoniella were carried out in apple orchards in Iwate Prefecture, where the moth was controlled by conventional methods, by mating disruption with supplementary insecticide spraying, by mating disruption without supplementary insecticide spraying, and without insecticide spraying from April to the harvesting period of ‘Fuji’ apple fruit. The peak periods of the first and third generations of P. ringoniella adult males caught in pheromone traps in orchards with mating disruption synchronized with those in orchard applied with conventional methods and orchard without insecticide spraying in 2006 and 2007 when the pest density was high. It was considered that pheromone trap monitoring in orchards with mating disruption as a control method could enable the prediction of the period of supplementary insecticide spraying for this pest.

  • 新井 朋徳, 高梨 祐明, 井原 史雄, 柳沼 勝彦
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 177-181
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    Pheromone trap monitoring and assessment of fruit damage caused by Grapholita molesta were carried out in apple orchards in Iwate Prefecture where apple pests were controlled by conventional methods, by mating disruption with supplementary insecticide spraying, by mating disruption without supplementary insecticide spraying, and without insecticide spraying. The seasonal occurrence of G. molesta adult males in pheromone traps showed three peaks, May, July, and mid-August to early September, and the insects caught were considered to come from overwintering, first- and second-generation adult males, respectively. Fruit infested with G. molesta was only found in the orchard without insecticide spraying from late August to October, and the damage was caused by the third-generation larvae of this pest.

  • 佐々木 正剛, 瀧田 克典, 星 博綱
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 182-184
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    交信かく乱剤処理園に隣接する園地において,ナシヒメシンクイのフェロモントラップに代わる発生時期の予察手法を検討した.2013 年5~9 月に5 日毎に幼虫が生息するモモの芯折れを採取し,百葉箱において幼虫を飼育することによって,第1~第4 世代における成虫発生時期(始期と盛期)の把握が可能であった.福島県での成虫発生回数は平年で年4 回であるが,この飼育法により2013 年には5 回発生したことが確認された.

  • 木村 佳子, 對馬 千佳子
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 185-189
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    青森県のリンゴ有機栽培園における,天敵類などの有用な生物種の種構成を調査した.新梢の叩き落とし法による調査では,樹上に生息するクモ類7 種を確認した.ピットフォールトラップ法による調査では,地表に生息するクモ類21 種,ゴミムシ類15 種およびアリ類7 種を確認した.葉のブラッシング法による調査では,フツウカブリダニを確認した.

  • 大木 健広, 眞岡 哲夫
    2014 年 2014 巻 65 号 p. 224-27
    発行日: 2014/12/19
    公開日: 2018/01/30
    ジャーナル フリー

    縞萎縮病抵抗性「強」コムギ品種「ゆめちから」において,春先に黄化やかすり症状を示す葉が認められ,ELISA とRT-PCR により,コムギ縞萎縮ウイルス(WYMV)の感染を確認した.そこで,「ゆめちから」に感染したWYMV のゲノムを解析した.RT-PCR-RFLP でWYMV ゲノム配列の遺伝子型を解析したところ,「ゆめちから」のWYMV は全て従来から北海道で発生しているBb 型であった.さらに,「ゆめちから」に感染したWYMV Yume-A 株〜D株のゲノムにコードされるポリタンパク質を,「ゆめちから」栽培歴のない圃場の「ホクシン」から検出したWYMV Kitami 株およびKyowa 株と比較したところ, Kitami 株およびKyowa 株のアミノ配列に対してYume-A 株〜D株で共通して異なるアミノ酸残基は存在しなかった.

講演要旨
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