北日本病害虫研究会報
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2015 巻, 66 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
特別講演
報文
  • 長浜 恵
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 10-12
    発行日: 2015/12/15
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    イネばか苗病の発生源から異なる距離にある水田で採取した種籾を翌年播種し,本病の発病苗率を調査 した.その結果,発生源からの距離に比例して発病は少なくなり,50m~100m 以上離れると発病苗率は急激に低くなった.このことから,発生源から少なくとも100m 以遠では,ばか苗病菌の分生子の飛散は少なく,保菌籾率に及ぼす影響は小さいと考えられた.この結果を参考にして,北海道では,出穂後の採種ほ審査時に,採種ほの周辺ほ場にばか苗病発病株があった場合,その株から100mの範囲内の採種ほ内の株からは採種しないこととした.また,採種ほの周辺ほ場でばか苗病の発生程度が少発生以上認められる場合は,採種ほに最も近い発病株から200mの範囲内の採種ほ内の株からも採種しないこととした.

  • 越智 昭彦, 野田 崇啓, 日高 靖之, 伊與田 浩志, 中村 透
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 13-17
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    We previously reported the adaptability of some prototypes of disinfection machines use high-humidity hot air generated by mixing a superheated steam and hot air for rice seed disinfection. In this study,a new prototype with an improved hourly throughput of seeds was evaluated in terms of its effects on rice blast, “bakanae” disease, and on seed germination. All the three heat treatment conditions using the prototype showed the same disinfective effect against both diseases as hot water treatment, and seed germination was maintained. Furthermore, one of the treatment conditions showed no affects on the growth of 8 breeds of rice seedlings after disinfection.

  • 菅 広和, 冨永 朋之
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 18-22
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    2013,2014 年にプロベナゾール箱粒剤施用後,いもち病罹病株を接種源として設置し,葉いもち発生量を変えた水稲品種「ひとめぼれ」の栽培圃場で,穂いもち防除(フェリムゾン・フサライド水和剤茎葉散布)の有無と葉いもち・穂いもちの発生量および収量との関係を検討した.その結果,出穂期の上位3 葉での葉いもちの発生量が多くなると,穂いもち防除を行っても十分な効果は得られず,出穂期以降断続的に降雨日があった2014 年は2013 年に比べ,穂いもちの防除効果は低かった.収量(精玄米重)は穂いもち被害度(以下,被害度)10 未満の収量に比べ,穂いもち防除の有無に関わらず被害度20で約5%,同30 で約10%減収した.穂いもち無防除では,出穂期の上位3 葉の病斑数が約0.08 個/株および約0.14 個/株の時,被害度が20 および30 となった.

  • 菅 広和, 冨永 朋之
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 23-26
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    箱施用剤による葉いもち防除を広域的に実施し,穂いもち防除を省略した「ひとめぼれ」栽培地域においていもち病発生状況を調査し,葉いもち・穂いもち発生量の関係から穂いもち被害発生リスクについて解析した.その結果,葉いもち発生量が少ない地区では,穂いもち防除の有無に関わらず穂いもち被害発生リスクは低かった.葉いもち多発圃場がある地区で穂いもち防除を省略すると穂いもち被害発生リスクが高くなり,同地区内の葉いもち少発生圃場でも穂いもちが多発することがあった.以上より,穂いもち防除を省略しても穂いもち被害発生リスクを増大させないためには,感染苗の持ち込み防止や箱施用剤による葉いもち防除の徹底により,広域的に葉いもちの発生を抑制し,地区内に伝染源となる圃場が存在しないようにすることが必要である.

  • 佐山 玲, 篠田 光江, 藤井 直哉
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 27-30
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    アミスルブロム顆粒水和剤を水稲育苗箱に1,000 倍(登録の倍濃度)または2,000 倍で500ml/箱,播種時覆土前かん注し水稲育苗後,あるいは1,000 倍および2,000 倍で500ml/0.18m2,ハウス内土壌にかん注後,作付けしたコマツナ,シュンギク,ホウレンソウの残留分析で,アミスルブロムは3 作物とも検出されなかった.したがって,本剤を登録要件の2,000~4,000 倍で500ml/箱,播種時覆土前かん注し,ハウス内で水稲育苗後作としてコマツナ,シュンギク,ホウレンソウを栽培しても残留基準値超過リスクは低いと考えられる.

  • 藤井 直哉, 進藤 勇人, 佐山 玲
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 31-35
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    湛水土中直播栽培において,プロベナゾール剤の減量施用による葉いもち防除効果を検討した.その結果,プロベナゾール粒剤2kg/10a(農薬登録は3~4kg/10a)を全般発生開始期前の水面施用することで,高い防除効果が認められた.また,プロベナゾール複合肥料20kg/10a(農薬登録は40kg/10a)あるいはプロベナゾール顆粒水和剤250g/10a(農薬登録は500g/10a)を播種時に側条施用すると,高い防除効果が認められた.

  • 岩舘 康哉
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 36-38
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    夏季のエルニーニョ現象発生が岩手県におけるイネいもち病の発生及び水稲作柄に及ぼす影響を検討した.その結果,本現象の発生が,イネいもち病の多発生や当年の深刻な冷害,米の不作に直接結びつくとの根拠を得るには至らなかった.このことから,夏季にエルニーニョ現象が発生すると事前に予想された場合のイネいもち病防除対策や冷害対策については,警戒しつつも,現地の状況を見極めながら,冷静に対応すべきと思われた.

  • 山名 利一, 小澤 徹
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 39-43
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    北海道東部においてコムギ雪腐黒色小粒菌核病およびコムギ雪腐大粒菌核病に対して殺菌剤の茎葉散布は不可欠である.本研究では,これら病害に対し薬剤散布から根雪までの期間が長引いた場合に防除効果が低下する要因について検討した.前者病害に対するフルアジナム水和剤散布から根雪までの日数および降水量と翌春の発病度の関係から,防除効果が低下する要因として日数よりも降水量の影響が大きいことが示唆された.また,同病害に対するテブコナゾール水和剤散布後の雨よけ処理の有無の比較試験,および後者病害に対するチオファネートメチル水和剤散布の効果についての同様の試験(単年度試験)でも防除効果の低下には散布後日数よりも降水量の影響が大きいことが強く示唆された.ただし,必ずしも散布後の降水量に応じて防除効果が低下するわけではなく,薬剤の残効性を評価するためには多数の試験事例から総合的に判断する必要があると考えられた.

  • 山名 利一, 小澤 徹
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 44-47
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    コムギ雪腐黒色小粒菌核病およびコムギ雪腐大粒菌核病に対する防除目標を設定するため,雪腐病の発生量がコムギの収量や生育に及ぼす影響を調査した.雪腐黒色小粒菌核病の発生したほ場でコムギの生育および収量を調査した結果,中発生(発病度50 以下)では明らかな減収は認められなかったが,開花時期にばらつきが生じた.開花時期のばらつきは赤かび病の防除を難しくする可能性があるため,雪腐黒色小粒菌核病の防除を実施する上での目標は発生量を少発生(発病度25 以下)に抑えることとするのが良いと考えられた.雪腐大粒菌核病に対しては発生量がコムギの収量や開花に及ぼす影響について検討していないが,茎の半数以上が枯死する重症株の発生割合など被害の様相が雪腐黒色小粒菌核病と類似しているため,雪腐大粒菌核病に対しても少発生が防除の目標となる可能性がある.

  • 山名 利一, 小澤 徹
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 48-52
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    北海道東部で問題となるコムギ雪腐黒色小粒菌核病およびコムギ雪腐大粒菌核病においては,根雪前に実施する殺菌剤の茎葉散布による防除が必須である.散布時期は根雪直前に近いほど効果が高いが,根雪始の予測が困難である上に,気象条件が厳しく散布が困難な場合もある.本研究では降水量を目安として薬剤の残効性を検討した.雪腐黒色小粒菌核病に対する各薬剤の許容降水量はフルアジナム水和剤で積算120mm,日最大65mm,テブコナゾール水和剤で積算99mm,日最大40mm であった.雪腐大粒菌核病に対する薬剤の許容降水量はチオファネートメチル水和剤で積算80mm,日最大40mm であり,フルアジナム水和剤はいずれの試験においても防除目標を超える発病が見られず非常に残効が長いと考えられた.これらの薬剤は必ずしも根雪直前に散布しなくても防除が失敗するリスクは低いため,その使用により雪腐病の防除に関する散布時期の問題が改善される.

  • 堀田 治邦, 小倉 玲奈, 山下 陽子, 鈴木 孝子
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 53-56
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    An efficient method to homogenize wheat leaf samples for double-antibody sandwich enzyme-linked immunosorbent assay(DAS-ELISA)was developed. Leaves were put into a safe-lock tube(2ml)containing 1ml of PBS-Tween buffer at a ratio of 1:20(W:Vol)and a stainless steel bead(5mm).The tubes were shaken for 25min on a multi-specimen cell disruption device(Shake Master).The supernatant was used in DAS-ELISA of Wheat yellow mosaic virus(WYMV).The ELISA values of WYMV in samples homogenized with the Shake Master were similar to those in samples homogenized with mortar and pestle.

  • 近藤 亨, 窪田 昌春
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 57-59
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    2012 年~2013 年に青森県内で採集された18 菌株のトマト葉かび病菌について,レース検定を行った.その結果,これまでに確認されていたレース0 および2 に加えて,新たに2.4,2.9,4 および4.9 の発生が確認された.近年青森県内では,本病への対策として抵抗性遺伝子Cf-9 を持つトマト品種の導入が進められてきたが,これを打破する系統が既に発生していることが明らかとなった.

  • 畑 有季, 宍戸 邦明
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 60-65
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    アスパラガス斑点病に対し,本病登録薬剤の防除効果をポット試験で調査した結果,TPN 水和剤およびイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤の効果が高く,薬剤散布から8日後に接種した場合にも効果が認められたが,他の薬剤の効果は低かった.また,2013~2014 年に新たに斑点病に農薬登録となった薬剤,およびアスパラガスの他病害に農薬登録のある殺菌剤の効果を調査した結果,イプロジオン水和剤およびトリフルミゾール水和剤で防除効果が高く,有機銅水和剤,ペンチオピラド水和剤,ミクロブタニル水和剤はやや劣るものの効果があった.

  • 浅利 正義
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 66-67
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    モモ縮葉病に対する銅水和剤の秋期散布の防除効果を検討した.その結果,供試した銅水和剤は収穫後の秋期2 回散布によって,翌年の縮葉病に対して高い防除効果を示した.また,ほぼ10 日間隔の2 回連続散布は,9 月下旬から11 月上旬のいずれの時期でも慣行の発芽前散布と同等の高い防除効果を示した.

  • 仲谷 房治
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 68-73
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    2014 年,岩手県ではリンゴが発芽して以降,展葉13 日後頃まで降雨がほとんど無いという極めてまれな気象条件であった.このような条件下でリンゴモニリア病の発生消長を観察したところ,前年の実腐れ果から発生する子実体の形成は確認できず,例年と比較して著しく阻害されたものと考えられた.また葉腐れの発生量は極めて少なく,園内の特定の2 地点で落花期を過ぎてから発生し,通常,花そう葉に発生する葉腐れが果そうから生じる副梢の第1~3 葉に発生していた.実腐れ発生量も例年に比べて極めて少なく,同じく特定の2 地点でのみ発生した.通常,実腐れの発生は葉腐れに形成された分生子に起因するが,開花期間中に葉腐れは発生しておらず,分生子の形成も遅れたことから,本年の実腐れの発生は子のう胞子の感染によって引き起こされたものと思われた.

  • 浅利 正義, 赫 英紅, 田中 和明, 佐野 輝男
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 74-77
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    Leafroll dwarf in apple trees(Malus pumila var. domestica)was first observed in Kazuno, Akita Prefecture in May 2000. A fungus species(AK-1 isolate)was isolated at a high rate from rotting root tissues with injuries. The leafroll dwarf symptoms were successfully reproduced by back inoculation of the fungal isolate and the isolate was recovered from nearby parts of the diseased tissues, which fulfilled Koch's postulate. The disease was detected in Towada, Akita in 2012, andthe fungal isolate AK-3 was recovered from diseased root tissues on which formation of teleomorphic organs was observed. The internal transcribed spacers(ITSs)of the nuclear rDNA sequences obtained from AK-1 and AK-3 were nearly identical and relatively highly similalr to those of Nemania sp. or Xylaria sp. deposited in GenBank. Similar symptoms were also observed in Yokote and Kazuno, Akita in 2010 and 2011, respectively. Wood-rotting fungal isolates associated with leafroll dwarf were collected(fungal isolates AY-1 and AK-2).The isolates were pathogenic to apple trees, but they were not identified as Kretzschmaria spp. because of their low ITS sequence homologies.

  • 赤平 知也, 花岡 朋絵, 平山 和幸
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 78-81
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    青森県内で栽培されているリンゴ主要18~20 品種を供試してリンゴ輪紋病に対する新梢および果実の感受性の品種間差異を調査した.その結果,新梢では「ふじ」,「トキ」,「星の金貨」,「ジョナゴールド」の感受性が高く,「陸奥」,「千秋」,「つがる」の感受性は低い傾向にあった.一方,果実では「ふじ」および「つがる」の感受性が高く,「トキ」および「ジョナゴールド」の感受性は低い傾向にあった.また,新梢と果実の感受性の品種間差異は必ずしも一致しなかった.

  • 伊藤 大雄, 二ツ森 祐里
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 82-87
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    有機栽培リンゴ園において,食酢や酸性水など様々な資材を概ね交互に散布する混用区を対照とし,水和硫黄剤のみを散布する水和硫黄剤区ならびに試験樹を雨よけ処理する雨よけ区を設けて,主要病害の発病と果実収量・品質を3 年間比較した.水和硫黄剤区では,混用区に比べて黒星病やすす斑病などの主要病害の発病が有意に抑制される場合が多かった.しかし,すす斑病に対する病害抑制効果は実用上不十分であった.雨よけ区では,水和硫黄剤区と同等以上の病害抑制が認められた.果実収量・品質には年度を超えた有意な区間差は認められなかったが,有機栽培区画の収量・品質は総じて慣行栽培区画に及ばなかった.

  • 栢森 美如, 岡田 貴, 小坂 善仁, 佐々木 純
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 88-91
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    2005 年頃から北海道伊達市において収穫後の10 月にアロニア果実が腐敗する症状が発生し,2007 年9 月には樹上の収穫直前の熟果にも腐敗症状が確認された.これらは果実表面に白色~灰色の粉状の分生子塊を形成し,やがて果実全体が白色のかびに覆われた.罹病果実からはMonilinia 属菌が高率に分離され,これをアロニアおよびリンゴ果実に接種したところ,果実表面に灰白色の分生子を形成し,原病徴が再現され,接種菌が再分離された.分離菌は培養特性,形態的特徴および分子生物学的分類からMonilinia fructicola と同定した.本菌によるアロニアの病害は本邦では報告がないため,本病をM. fructicola によるアロニア灰星病(新称)と提唱する.

  • 須崎 浩一, 新井 朋徳
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 92-96
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    ブドウ‘シャインマスカット’は良食味で皮ごと食べることができ,無核栽培が可能なことから消費者の人気が高い.東日本大震災で被害を受けた宮城県沿岸地域における早期の営農再開を目指し,短期間で結実可能で収益性の高い本品種の導入が図られている.そこでボルドー剤散布を基幹とし化学合成農薬を削減した本品種に対する病害防除体系の構築を試みた.試験は果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点内で2 か年実施した.初年は通年でボルドー剤を8 回散布,2 年目は開花期〜袋掛け直前までの3 回を化学合成農薬散布とし,それ以外の5 回をボルドー剤散布とした.無散布区ではべと病,うどんこ病,黒とう病,灰色かび病がみられたが,黒とう病,灰色かび病の被害は軽微であり,葉上のべと病,果実上のうどんこ病に対する防除効果を調査した.いずれの年も所内の慣行防除(散布8 回のうち化学合成農薬5回使用)に比較して同等もしくは優る防除効果を示した.

  • 小松 勉
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 97-100
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    In 2014, I investigated the environmental factors that affect the incidence of the bacterial blight of grapevine caused by Xylophilus ampelinus at seven places of three vineyards in Hokkaido, Japan. The temperature and humidity in these places were measured at specific hourly during the growing period in each place and the relationships between the incidence of the disease in the leaves of grapevine and environmental factors were analyzed. A significant relationship was observed between the total time during which the RH was over 95% and incidence of the disease. The total time during which the condition was dry(RH below 70%)or warm(over 25℃)showed no significant relationship with the incidence of the disease. Moreover, no significant relationship was also observed in the total time during which was cool condition(between 15 to 20℃).On the basis of these findings, it was considered high humidity affects influences the occurrence of the disease the most.

  • 三澤 知央, 堀田 治邦, 佐藤 豊三
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 101-105
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    Blueberry fruit rot accompanied by orange conidial mass was found in Hokkaido, Japan in August 2013. Two fungal isolates, one forming reddish reverse colonies and the other gray colonies, were obtained from diseased blueberries. The conidia of the former on potato dextrose agar were oblong to fusiform with dimensions of 7.4-12.6×2.8-4.6μm and a length-to-breadth ratio(L/B)of 2.74. Those of the latter showed dimensions of 9.4-16.4×3.3-4.8μm with an L/B of 3.10. The appressoria of the former were oblong to ovate with dimensions of 7.3-13.9×4.1-7.1μm and those of the latter showed dimensions of 7.5-14.4×4.5-7.3μm. The Colletotrichum acutatum species complex-specific primer pair amplified the expected PCR products from the DNAs of the two isolates. On the basis of conidial morphology, reverse colony color, and partial nucleotide sequence of the β-tubulin-2 gene, we identified the red-colony and gray-colony isolates as Colletotrichum fioriniae and Colletotrichum nymphaeae, respectively. The original symptoms were reproduced by inoculating blueberries with the isolates. The disease is new to Hokkaido,and C. nymphaeae was found to be a new pathogen of the disease in Japan; therefore, we propose to add it as the pathogens of blueberry anthracnose.

  • 高橋 良知, 菊池 英樹
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 106-109
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    本田薬剤散布後に畦畔の草刈りを実施すると登熟後期の畦畔におけるイネ科雑草の出穂割合を低く維持でき,アカスジカスミカメの発生量を抑制できた.また,水田内へのアカスジカスミカメの侵入量も少なくなり,側部加害を主体とした斑点米発生量を低減することができた.畦畔の草刈りは,本田薬剤散布当日から7 日後までの実施が有効であると考えられた.

  • 青木 元彦
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 110-115
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    近年北海道において,イネドロオイムシに対してイミダクロプリド剤の防除効果が低い事例が農業改良普及センターから報告された.そこで,2013,2014 年に局所施用法によりイミダクロプリド剤に対する感受性検定を20 市町村の個体群について実施するとともに,イミダクロプリド剤の効果確認試験をほ場で実施した.感受性検定の結果,上川・空知地方の14 市町村の個体群でイミダクロプリド剤の抵抗性比(最小のLD50 を示した市町村を基準とした割合)が10 以上であった.2014 年に抵抗性比が13.1 であった士別市においてイミダクロプリド剤の効果確認試験を行った結果,幼虫数・食害葉数の無処理区比が60以上となり防除効果が低かった.これらの結果から,抵抗性比10 以上の市町村ではイミダクロプリド抵抗性個体群が発生していると考えられた.また,イミダクロプリド剤の防除効果の低下が認められた比布町ほ場では,クロラントラニリプロール・チアジニル粒剤など4 薬剤が有効であった.

  • 大槻 恵太, 相花 絵里, 加進 丈二
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 116-120
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    イネツトムシの幼虫が若中齢,中齢,老齢の各齢期が主体となった7 月下旬~8 月上旬にカルタップ粒剤を水面施用して防除効果を比較したところ,いずれの処理時期でも密度低減効果は低く十分な防除効果は得られなかった.中齢幼虫が主体となった8 月上旬に数種の茎葉散布剤を処理して防除効果を確認した.DEP 乳剤ではほとんど防除効果は認められなかったが,スピネトラム水和剤,テブフェノジド水和剤,カルタップ水溶剤およびBT 水和剤では,散布前に比べて散布11 日後の密度は大幅に低下し,いずれも補正密度指数10 以下の高い防除効果を示した.

  • 串田 篤彦
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 121-124
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    エンバク野生種のキタネグサレセンチュウ密度低減特性を評価するため,低播種量および低養分,晩夏播種など,好適ではない条件で栽培した場合の線虫密度低減効果を調査した.推奨播種量(10~15kg/10a)に比べて播種量が少ないほど線虫密度低下率は小さくなったが,播種量5kg/10a でも推奨播種量と密度低減効果に有意な差はなかった.無施肥条件または晩夏に播種して栽培した場合,エンバク野生種の収量は著しく減少したが,線虫密度低下率は施肥した条件または8 月初旬播種と同程度に高かった.試験を通じて,収量は線虫密度低減効果にあまり影響しなかった.これらから,エンバク野生種の線虫密度低減能は高く,効果を発揮できる栽培条件の幅が極めて広いことが明らかになった.

  • 相場 聡
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 125-128
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    透明な容器を用いたダイズシストセンチュウの発生状況の簡易的な診断法について検討した.容量約500ml のポリエチレンテレフタラート製容器の内側壁面にダイズシストセンチュウ感受性品種「湯あがり娘」および抵抗性品種「トヨムスメ」の種子を貼り付け,診断する圃場の土壌を詰めてそのまま圃場に埋設し,8 週間後に掘り上げて根に着生した雌成虫およびシスト数(以下,シスト数)を外側から肉眼で計数した.本法では,着生シストを容易に視認することができた.線虫の初期密度と感受性品種での視認シスト数には正の相関が認められたことから,本方法を圃場内のダイズシストセンチュウ密度推定に利用することが可能であると考えられた.また,感受性品種と抵抗性品種への着生数の違いから,寄生性判別にも利用できると推察された.

  • 久保田 真衣, 横田 啓
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 129-131
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    ダイズのマメシンクイガに対する数種薬剤の効果的な散布時期について検討した.その結果,ジアミド系薬剤であるクロラントラニリプロール水和剤は成虫発生盛期2 半旬前~産卵盛期であり,有機リン系薬剤であるMEP 乳剤の産卵盛期やピレスロイド系薬剤であるペルメトリン乳剤の成虫発生盛期とその前後1 半旬よりも適期幅は広かった.

  • 新藤 潤一
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 132-134
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    テフルトリン粒剤の播種時播溝処理の処理深度の違いが,キスジノミハムシに対する防除効果に与える影響を検討した.本剤播溝処理の防除効果は土壌混和の深度で異なり,3cm 程度の浅めの処理の方が,12cm 程度の深めの処理よりも効果の持続期間が約1 週間長かった.一方,茎葉散布剤の根部被害抑制効果を比較したところ,ジノテフラン水溶剤,トルフェンピラド乳剤およびカルタップ水溶剤の効果が,他剤に比べ高かった.キスジノミハムシの発生が多い夏まきダイコンでは,播種時のテフルトリン粒剤を3cm 程度の浅めに播溝処理し,これらの効果の高い茎葉散布剤を中心に,生育初期から後期まで7 日程度の間隔で継続して散布する体系が効果的と考えられた.

  • 齊藤 美樹
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 135-139
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    ホウレンソウ播種前に実施した大量灌水がホウレンソウケナガコナダニ(以下コナダニ)の密度や挙動に与える影響を調査した.コナダニを放飼した圃場に灌水チューブを用いて土壌に100mm の灌水を行い,ハウスを密閉した.ロータリー耕耘が可能な土壌水分条件になった7 日後に再度耕耘しホウレンソウを栽培したところ,灌水区では隣接ハウスに設けた対照区と比較して土壌表層(深さ0~5cm)のコナダニ密度が高く推移する傾向が見られた.しかし,地表面でのコナダニ移動量を反映するトラップ誘引数は播種2 週間後頃まで,株の被害度は播種4 週間後頃まで顕著に低く推移した.また,灌水区では播種~2 週間後頃まで土壌含水率が顕著に高かったが,栽培期間を通して土壌容積重は小さかった.本条件下の大量灌水ではコナダニ密度抑制効果は得られなかったが,土壌がコナダニの生息に適した条件となることでホウレンソウへの移動が抑制され被害が軽減したと考えられた.

  • 横田 啓, 藤沢 巧, 福田 拓斗, 鈴木 良則
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 140-143
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    ホウレンソウケナガコナダニに対する殺虫剤の防除効果と有機入り配合肥料と化学肥料による被害の違いについて検討した.MEP 乳剤2,000 倍の子葉期散布とフルフェノクスロン乳剤4,000 倍の4 葉期散布との組み合わせにより,薬剤を散布しない場合に比べて被害が35%に抑制された.また化学肥料を用いると,有機入り配合肥料に比べてホウレンソウケナガコナダニの密度が低く,ホウレンソウ被害が少なかった.

  • 石栗 陽一, 吉永 直子
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 144-147
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    Spray-coating of apples with a calcium carbonate suspension greatly suppressed oviposition by Carposina sasakii females in an apple orchard. To elucidate the action mechanisms of calcium carbonate, oviposition preference was examined in the laboratory by the two-choice test(calcium carbonate-treated apples vs watertreated apples).The results showed no evidence that calcium carbonate repels or inhibits the ovipositional activity of females. Treatment of the fruit surface with calcium carbonate had no adverse effects on the mechanical function of pubescence as an elicitor of female oviposition. Other potential mechanisms such as the effect of calcium carbonate on volatile emission from apples or change in the color of apples remain to be investigated.

  • 忠 英一, 山本 晋玄, 町田 郁夫, 坂本 清, 藤川 弘幸
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 148-152
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    2012 年~2014 年にフェロモントラップにより青森県内のリンゴ園におけるナシヒメシンクイの誘殺消長を調査したところ,県内全域で誘殺が確認された.発生は,年3~4回であるが,3回の場合が多かった.新梢(徒長枝)の被害調査を実施したところ,新梢(徒長枝)の芯折れ被害がみられた.2013 年にフェロモントラップを設置した園地において,果実被害調査及び聞き取り調査を実施した結果,果実被害がみられた園地,あるいは聞き取り調査で,果実被害がみられたと回答した園地もあった.それらの園地では,「8月末」のナシヒメシンクイの防除が実施されていなかったり,7~8月に散布間隔が19 日間あいたことが2回あった.

  • 佐々木 正剛, 星 博綱, 川口 悦史
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 153-156
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    モモの芯折れから採集したナシヒメシンクイ幼虫に寄生する天敵として,コマユバチ科のApanteles sp.と Lytopylus rufipes(タテスジコマユバチ),ヒメバチ科のEriborus molestae(シンクイクロチビアメバチ),Pristomerus chinensisP. erythrothoracis およびP. vulnerator(アカミムシクロアメバチ)の6種の寄生蜂とヤドリバエ科のElodia morio E. flavipalpis の2 種の寄生蝿が確認された.これら8 種の天敵の中で優占種はタテスジコマユバチであった.本種の羽化総数に対する割合は,ナシヒメシンクイの越冬世代から第4 世代まで世代を経過するに従い上昇し,ナシヒメシンクイの発生量と発生時期に影響を及ぼしていると考えられた.

  • 羽田 厚, 藤根 勝栄
    2015 年 2015 巻 66 号 p. 157-159
    発行日: 2015/12/18
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー

    クビアカスカシバ Glossosphecia romanovi によるブドウの加害は近年全国的に増加傾向にある.本研究では,岩手県内の2 地点で6 年間にわたりフェロモントラップによる誘殺数等を調査した事例と,北日本における先行事例を比較し,クビアカスカシバの有効な防除時期について考察した.その結果,誘殺始期,誘殺盛期および誘殺終期のいずれも先行事例の発生時期と大きく異なることはなかった.このことから,岩手県内のブドウ園地において食入前の本種幼虫を効果的に防除できる薬剤散布時期として,6 月第5 半旬頃が有望であると考えられた.

講演要旨
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